178、解体の技術
みんなで集まって朝食も済んだ。そうなると、やるべきことは……
うーむ、アースドラゴンの解体って難しいのね……
エルフ三人組が苦戦したのも納得だわ。
大抵の魔物なら肛門から切り開けば意外とするする進むんだけど。まあ正確には肛門周りからか。
で、アースドラゴンって肛門ないじゃん。いや、ないわけないんだろうけど、あるべき場所が蓋でもしてあるかのように塞がってんだよね。たぶんこいつって糞をする時だけ開くんだろうな……どんだけ警戒してんだよ。最強生物のくせに。
しかもアースドラゴンって『浮身』で吊るだけでやたら魔力を食う。死んでるのに? ただ重いからってわけじゃないんだろうなぁ。
結局大きめの木に括って吊ることにした。ロープが千切れそうだよ……
両脚が広がるよう二本の木に片脚ずつ、と。右前脚は昨日三人組がどうにか切り落としたんだったな。
私は腹側を何とかしよう。こっちの方が比較的薄そうだからな。アレクからサウザンドミヅチのナイフを借りて。
ちなみにスティード君もテンペスタドラゴンの短剣で参加してくれた。背中側は頼んだぜ!
どうだぁ! やったぜぇ……
どうにか内臓全部出してやったぞ……
正確には腸から下、肛門にかけてがまだ残ってるけどさ。ここは上手く切らないと内容物がどばどば漏れちゃいそうだからな……
こっち側は難しいんだぞ……ナイフを深く入れると内臓が切れちゃうからな。ここまでかなり慎重に進めてきたんだぜ? ドラゴン系の解体は初めてだったけど何とかなるもんだな。
さて、すごく嫌だけど体の内側から直腸に沿いつつ肛門を下からぐるりと切り離すしかないか……まるで周回する潜望鏡みたいに。むっず……やたら堅いし。
このナイフなのに薄皮ですら苦労するとは……
よし……やっと切れた。
これで内臓全てを空っぽにしてやったぜ。そうなると、お楽しみはヒレ肉だ。
これ絶対食べてみたかったんだよなぁ。内臓を全部取り除かないとヒレって取りにくしね。そもそもアースドラゴンにヒレがあるかどうかは開けてみないと分からなかったけど。
背骨が太くごっついことだし絶対あるだろうとは思ったんだよね。やったぜ。
うっほ、ヒレ肉ぶっとい。これ直径何メイルあるんだ? さすがに二メイルはないか。一メイル半ってとこかな。長さは十メイル近い。それが二本。こりゃヒレだけで当分楽しめるな。最っ高。
『浄化』
ふぅ。ナイフをきれいにしてからちょっと休憩。
アレクが水や風の魔法を使ってくれてるから汚れたり臭かったりなんてことはなかった。ただ、何というか気疲れしちゃったな。かなり慎重に進めたんだもん。
スティード君の方はどうだろう。なんせデカいから。あっち側は見えないんだよね。
「カースお疲れ様。見事なお手並みだったわ。」
「おっ、ありがと。美味しそうだね。」
冷たいお茶。今の私にぴったりだね。あぁ美味しい……するっと喉奥に消えちゃったよ。
「ピュイピュイ」
「ガウガウ」
ふふっ、二人とも新鮮な内臓が食べたいって? 特に肝? アースドラゴンの肝かぁ。なんかすごい薬になりそうだよね。特級ポーションとか万能薬とかさ。
しかし、そんな物よりこの二人の食欲の方が優先なのさ。
さあ、お食べ。
『水壁』
水の魔法で大皿を作って、そこに乗せる。この肝ってやたら大きいんだよなぁ。何百キロルあるんだろ……
とりあえず二、三割ぐらい。これだけでも私の体より大きいんじゃない?
「ピュイピュイ」
「ガウガウ」
あっ、やっぱ美味しいんだ。新鮮バラしたてアースドラゴンのレバーか。金で買えない贅沢だよなぁ。さすがに生でそのまま食べたくはないけど。そもそも私もアレクもレバー苦手だし。
よし休憩終わり。スティード君側を手伝おう。どうなってるかな?




