167、休めないセルジュ
その後スティード君とサンドラちゃんも戻ってきた。きっちり解体するのではなく欲しい部位だけ取って残りはダークエルフへのプレゼントだそうだ。
「やっぱり大物の相手は大変だね。剣が欠けなくてよかったよ。」
「サンドラちゃんの補助もよかったよね。魔物の目を眩ませたり鼻を騙したりさ。」
「スティードが攻撃するんだし、わざわざ私が強めの魔法を使う必要ないもの。効率よく仕留めないとね?」
うんうん。この三人の連携は問題ないみたいだね。省エネで難なく仕留めたんだろうなぁ。セルジュ君は泥まみれになったみたいだけど。囮になったんだったか。
「うぉーいカース、来たぜー。今度は南から三メイル級が五匹だってよ。行くかー?」
「んー、疲れてんだよね。スティード君どう?」
「あ、行く行く。三メイル級なら手頃だと思うし。」
「仕方ないわね。それなら私も行くわ。」
「じゃあ僕は行かなくていいよね。頑張って。」
セルジュ君たらものぐさだなぁ。はは、私が言うなってか。だって疲れてんだもん。大仕事したんだからさー。
「なんだよカース行かねーのかよぅ。そんならもう酒飲んじまうか?」
「それも悪くないな。何かいい酒ある?」
クライフトさんたら悪い人だぜ。いや、人間じゃなくてダークエルフだけどさぁ。
「あるわけねーだろ。何かないのかよぅ。飲ませてくれよぅ。」
それが本音かよ。そりゃあ今のダークエルフ族は酒造りどころじゃないもんなぁ。
「一杯だけな。」
お高い酒はもうほとんど残ってないからな。適当な酒で勘弁してくれよ?
「へへっ、悪ぃなぁ。おっとっとぉ。次ぃ来た時ぁちゃんと作ってやるからよっ。」
「アレクも一杯どう?」
私も一杯だけ飲むとするよ。
「ええ、いただくわ。カースの作った丸い氷で飲みたいわ。」
おっ、それいいね。透明な丸氷でロックといこうか。私もそれにしよう。
『氷球』
きんっきんに冷やしてやるぜ。
「ありがとう。はぅ……熱いお茶の後に冷たいお酒って不思議な感覚ね。」
「うん。意外と心地いいよね。」
それにしても魔物が多いよなぁ。そりゃあ山岳地帯だし当たり前なんだろうけどさ。おまけに魔力をどっさり使ったもんな。そりゃあ来るわ。
「ちっ、そんじゃあ俺も行くわー。ったく今夜は寝れねーかもなー。」
「そう? 頑張ってね。」
それなら多少はヘルプするかもね。がーんば。
「ガウガウ」
おっ、カムイも行くのか。お前にしては珍しい。実は小腹が空いたんだろ?
ふふ、ぷいっと顔を背けて行ってしまった。
むっ? これは……
「うーん、血の匂いが漂ってきたね。もうちょっと休憩したら僕らも行こうか。」
「それもそうね。でも先に私が行くからカースは休んでて?」
「いや、一緒に行こうよ。僕らの連携も見せてやらないとね。」
誰にだろうね?
「うふふ、それもそうね。じゃあ私が指示出してみるわ。カースお願いね?」
「おっ、いいね。やってみようか。じゃあとりあえず北側に行ってみよう。」
カムイが南に行ったからさ。つまり南はもう放っておいても大丈夫だろ。西と東はどうなんだろうね? まあ困ったら呼ばれるよな。
「んもー! それなら僕だって行くしかないじゃないかー。カース君たら働き者なんだから。」
「セルジュ君も来る? カースがいるんだから見てるだけでも勉強になるわよ? 魔力の使い方とかね。」
ははは、悪いねセルジュ君。せっかく休んでたのにさ。さすがに一人だけでぽつんと休憩はしにくいよね。
「参考になるわけないじゃん……魔力運用の基礎からして別格なのに。でも面白そうだし行くよ。見てるだけだからね?」
それはそう。私って特別なことやってるわけじゃないからね。
「やっぱ毎日しっかり錬魔循環するのって大事だよね。」
「じゃあ行くわよ。セルジュ君は何もしなくていいけど魔物が行ったらどうにかしてね?」
アレクったら誘導する気満々かよ……
「もぉー、アレックスちゃんの意地悪ぅー。」
でも何気にこの三人でも魔物狩りって初めてだよな。ちょっと楽しいかも。アレクの采配に期待だね。




