165、村長の役割
私としては全然構わないけどね。
「いいんじゃない? 何かあるの?」
「カース殿が恐ろしく大量の魔力を込めてくれたからな。間違いなく魔物が押し寄せてくるだろう。普段ならばイグドラシルの結界が阻んでくれるのだろうが、今はまだ、な。」
そういや警戒を厳重にするとか言ってたな。ここは危険ひしめく山岳地帯なんだし。草が生えてるってことは魔物も寄ってくるわな。そもそもダークエルフ達が大穴掘ってたんだし。そりゃ寄ってくるって。
おお、ダークエルフ達は引っ越し作業を継続か。次々に魔力庫から建物が出てくるしイグドラシル周辺の地面をどんどん固めていくじゃないか。
続々と元の村が再構築されていく。つまり魔力を使いまくってる。そりゃあ魔物だって寄ってくるだろ……
「村長、どっちの方から魔物が来てるかとか教えてね。このスティード君が何とかするから。」
「えっ、えぇ……それは、まあ、やるけどぉ……」
「人間の中でも有数の剣士だからさ。頼りになるよ。」
「ほう。カース殿が言われるなら間違いないな。頼りにさせてもらおう。むっ、来たぞ! 北からだ。五メイル級が三匹だ。」
もう来たのかよ。これだから魔物ってやつぁ……
「スティード君なら楽勝だよね。どうせなら三人で行ってきたらどう?」
「んもぉー、仕方ないなぁ。サンドラちゃん、セルジュ君。行こうよ。」
「五メイル級だってー? んもーぉ。」
「これもいい経験になるわ。五メイル級なんて王都じゃまず見れないもの。」
ぶつくさ言いながらも出撃していった。スティード君なら一人でも大丈夫だろうけどね。魔物狩りの経験もまあまああるって聞いたし。
「次だ。北西から小さいのが数匹。オルトヴィーン行けい。」
「分かった」
今度はダークエルフが行ったか。私の出番はなくてもいいよ。もう疲れたし……
そうかと思えばダークエルフもどんどん集まってくるし。引っ越しは一時中断か。全住民の半分は集まってんじゃない? 引っ越しどころじゃないしね。がーんば。
「アレク、お茶をお願いできる? 少し熱いのがいいな。」
「分かったわ。待ってて。」
別に寒いわけじゃないけどさ。なんとなくほっこりしたい気分だからさ。みんな頑張ってねー。
「お待たせ。今日はセティアニアの乳酪茶にしてみたわ。元気が湧いてくるわよ。」
「おお、いい香り。ありがとね。」
ほふぅ。あったかほっこりでリラックスだな。
「いよぅ。よく来てくれたな。ありがとよぅ。」
おっ、珍しいじゃん。いいタイミングで来たねぇ。まあ飲みなよ。
「やあクライフトさん。久しぶりじゃん。調子はどうだい?」
ダークエルフの宝玉加工職人のクライフトさんじゃん。今日は初めて見たな。
「んあー、まあ悪かぁねえな。しっかし今日いきなり大移動とはよぅ。村長も無茶するぜ。」
「でもこれでひと安心じゃん? ようやく本当の意味で復興開始なんだろ?」
「んあー、まあなぁ。村長も苦労するぜぇ。」
「おろ、そうなの?」
「おうよぉ。ほれ、あれ見てみ?」
ん? 村長がイグドラシルの真ん前に座り込んでる。魔力の流れを感じるが……




