108、ボーイズトーク
それからアレクと少しだけイチャイチャして夕方。スティード君達も帰ってきたから夕食だ。今日のところは普通に食堂で。
「散歩はどうだった?」
サンドラちゃんはアレクとお喋り中だからセルジュ君に聞いてみる。
「すっごくよかったよ。外側の景色は見えにくかったけど、それでも初めて見る景色じゃない? なんというか新鮮だったよ。」
「あの城壁もそうだけどさ。外の堀も、その外の小山も、全部カース君が一人で作り上げたんだよね? とんでもないにも程があるよね。どうやったらそんなことできるんだよ。こんな魔境の真っ只中でさ。」
セルジュ君とスティード君で全然感想が違うね。セルジュ君はしっかり観光してるって感じだし、スティード君は騎士ってより兵士って感じ?
「地道にこつこつ作ったよ。いやぁ大変だったよ。でも思ったよりは魔物は来なかったかな。場所がよかったんだろうね。」
なんせヘルデザ砂漠とノワールフォレストの森の間だもんね。そこそこ広い緩衝地帯とでも言おうか。我ながらいい場所を選んだもんだわ。でもまあ今思えば、もっと海に近くてもよかったんだよなぁ。平野部のなるべくど真ん中を選んだんだからさ。砂漠からも森からも海からも離れてるもんなぁ。
先王のノルドフロンテはめっちゃ海が近いってのに。
「はは、カース君らしいね。そもそも普通はこんなの一人で作ろうと思わないし、一人じゃなくても作れないよね。どう考えてもイカれてるよ?」
「酷いなぁセルジュ君は。でも城壁の高さや厚みを考えると本当にどうかしてるよね。何百人が何年働けばできるものなのか想像もつかないよ。」
それは私も分からないなぁ。
「だいたい幅六メイルの高さ十五メイルだね。今思えばもっと高くしてもよかったかも。まあ人間の軍勢が攻めてくるわけじゃないからあのぐらいでちょうどいいとは思うけどね。」
大型の魔物対策であの高さにしたわけだけど、空飛ぶ魔物だといくら高くしても意味ないしね。
「すごいよね。ドラゴンがぶつかっても跳ね返せるんじゃない?」
「間違いないね。きっと無敵の城壁だよ。」
二人ともヒートアップしてんなぁ。
「いやそれは無理だからね。さすがにドラゴンは想定してないから。無理すぎるって。」
本当にマジで。悲しいことだがドラゴンを相手にすると紙みたいなもんじゃないかな? さすがにドラゴンを想定して城壁を作るとなると今の三倍ぐらいは厚くしないと駄目じゃない? うーん、できなくはないけど……やる気は起きないなぁ。大外の囲いが終わってから考えよう。あれも、もう半分以上はできてるし。
「そう? 僕は生でドラゴンを見たことないからなぁ。スティード君もないんだっけ?」
「ないない。せいぜい遠くからワイバーンを見たぐらいだね。見たいけど出会いたくないよね。」
あれ? 今の国王の即位式の時にヘルムートを見てない? あ、その時は二人ともまだフランティアの領都か。卒業した後だったもんね。
「ドラゴンと言えばさ、今までで一番やばかったのがこの服になった白王龍ってのがいてね。いやぁ大変だったんだから。」
この際だから武勇伝を少し。あいつは本当に厄介だったんだから。
「ふぇええ……やっぱりドラゴンて危ないんだね……カース君より魔力が高いって意味分かんないよ……」
ごり押しで勝てない相手って困るんだよね……
「自在反射だっけ? それすっごく興味があるんだけど、教えてくれない?」
スティード君が貪欲すぎる……むしろ努力家か? 騎士なのに……
「いや、それがね。教え方が分からないんだよ。でもいいこと考えたよ。近いうちに教えられる人がいる所に行こうよ。」
まあ、人じゃないけど。
「えっ!? 本当!? 行く行く! 行きたい! どこどこ!?」
「北だよ。エルフの村。」
セルジュ君やサンドラちゃんにとってもいい刺激になるだろうね。私も蟠桃もぎたいし。




