104、寝坊助な男達
なんてこった……ちょっと昼寝するつもりが……目が覚めてみればもう夕方じゃないか……
三人ともこんな時間まで目を覚まさなかっただなんて……そういえば昔もこんなことがあったなぁ。あれは忘れもしない初等学校時代。クタナツ南門の外で狼ごっこをしたよなぁ。あの時も昼飯を食べた後、その場で寝ちゃったよな。一時間だけ寝るつもりが三時間近くさ。いやぁ恥ずかしいなぁもう。
「か、カース君……寝過ごしちゃったね……」
「やっちまったね。買い物は明日にしようか。とりあえずスティード君を起こすよ。」
しかし、昼にあれだけ食べたのにもう腹が減ってるとは……人体の不思議かな。ずっと寝てただけなのに。
「え……えええぇ!?」
「スティード君おはよ。よく寝てたねぇ? もう夕方だよ。」
「うそ……どんだけ寝ちゃったんだ……起こしてくれればよかったのに。」
「いや、それが僕もセルジュ君も今起きたんだよね。いやぁよく寝ちゃったよ。」
「は、はは……みんな疲れが溜まってたのかな……」
「それはあり得るかもね。とりあえず中に入ろうよ。そろそろ夕食の時間だし。」
長距離移動ってのは座ってるだけでも疲れるもんだしね。
夕食。当然のようにアレク達に笑われてしまった。帰ってきたアレク達は私達が裏庭で寝ていることをマーリンに聞いたらしく、顔を見に来たらしい。で、あまりにもよく眠っているものだから起きるまで寝かせておこうと判断したと。そんな私達が夕暮れまで全然起きなかったことがおかしくてたまらないわけね。
で、結局買い物は明日五人で出かけることになった。せっかくの卒業旅行が一日、もしくは半日潰れてしまうわけだが……まあそれも青春の一ページだよね。
そして翌日。買い物は昼までに終わった。よって昼飯を食べてから出発することになった。食べ過ぎに注意しないとな……
昼食後、マーリンやダムートンに南の大陸土産を渡してから出発。昨日渡すの忘れてたんだよね。感動の再会だったから。
そういやダミアンの奴、姿を見せなかったな。マーリンによると月に一、二回しかうちに来ないらしい。忙しくしてんだろうなぁ。私は私で辺境伯のところに挨拶ぐらい行っておくべきなんだろうけど、卒業旅行が終わってからでいいよな。バカンス中は余計なことなどしないに限るもんね。
あ、でもリゼットの所に顔を出さないのはまずいかな。あいつもあいつで楽園に行きたがってる女を集めてるはずだし……ちょっと寄り道するとしよう。買い物してる最中に近くを通ったってのに……
みんなを待たせるのも悪いから全員で行くとしようか。少しだけ遠回りにはなるけど城門までのルート上と言えなくはないしね。
マイコレイジ商会が見えてきた。中に入ると見覚えのある丁稚くんがすぐに駆け寄ってきた。よく見ればもう中学生って感じに成長してるじゃないか。
「いらっしゃいませ魔王様! ですが申し訳ありません。本日会長は出かけておりまして、番頭さんをお呼びしましょうか!?」
あらら。まあそういうこともあるよな?
「いや、いいよ。じゃあリゼットにこれを渡しておいてくれるかな? 南の大陸からのお土産だってね。」
「はい! かしこまりました!」
うんうん。元気で素直、いい子だね。
「十日後ぐらいにまた来るとも伝えておいてくれるかな。これは君へのお駄賃だよ。お仕事頑張ってね。」
「はい! 分かりました! ありがとうございます!」
卒業旅行が終わってから改めて顔を出すとしよう。
「お待たせ。これで心置きなく出発できるよ。」
「やけに早かったわね。リゼットはいなかったのかしら?」
さすがアレク鋭い。
「そうなんだよ。どこにいるかは聞かなかったしね。また十日後ぐらいに来ることにしたよ。二度手間な気もするけど、まあ大した手間じゃないしね。」
何だかんだで今回の他に楽園に行く用ぐらいできそうだしね。
今度こそ北の城門から外へ出て、楽園へ出発だ。ヘルデザ砂漠に入るまでは速度遅めで行くぜ。
「あれ? こんな所に港なんてあったっけ?」
領都から北東に進むとここの上を通るんだよね。
「あら? スティードったらお義母様が言われてたじゃない。ここグラスクリーク入江よ。」
サンドラちゃんはこの辺来たこともないだろうに、よく分かるなぁ。
「あっ、そういえばそうだね。僕らの両親まで総動員だったんだっけ。すごいよね!」
「工事の最中に大襲撃も起きたって言うし、魔境って怖いよねぇ。カース君とこの楽園も何度か大襲撃に遭ってるんだよね?」
魔境はそれが怖いんだよなぁ。予測できないんだもん。
「そうなんだよ。参るよね。」
「それでも死者も出してなければ魔物の侵入も許してない。さすがカースが築き上げた街だけあるわ。」
「あはは、リリスが優秀なだけだよ。僕は今回何もしてないんだからさ。」
いや、死者が出なかったのは私のポーションのおかげでもあるな。瀕死の奴とかいたもんな。
「それもあるけど、カースが作った防壁がすごいからよ。早くみんなにも見せたいわ。」
アレクがかわいい……
「アレックスちゃんがそこまで言うなんて、楽しみね。あ、もうヘルデザ砂漠に入ったのね。早すぎだわ……」
ここまで来れば後二、三十分てとこかな。高めに飛べばそうそう魔物に襲われることもないだろ。




