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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第5章

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166、トーク山の黒ミカーゲ石

見えた。まだ三時ってとこかな。今からなら収納しても余裕で領都の閉門に間に合うな。よし、降りよう。


おっ、これはすごいな。ブルーブラッドオーガの死体がざっと三十ほど転がっている。相当な襲撃があったんだろうね。まだ解体してないところを見るとついさっきの出来事か? 冒険者側は無事なんだろうか。


現場事務所に顔を出してみるかな。


「リゼット会長の依頼で岩を運びに来た七等星カースってもんだ。そんなことよりオーガの襲撃があったようだがポーションは足りてるか?」


うわぁ……怪我人だらけじゃん。当然か。


「ま、魔王か……!?」


へー。私のことを知ってる者がいたか。冒険者だね。


「ああ。依頼は岩の運搬だが怪我人がいるならポーションは出すし領都まで連れて帰ってもいいぞ? 冒険者はお互い様だからな。」


真っ当な冒険者ならお互い助け合うのが普通なんだよな。


「それはありがたい。もし可能なら五人ほど連れ帰ってもらえるか? 重傷なのは一人だけだが今日で依頼期間が終わるもんでな」


「今日? もしかして今日の日没までか? 一時間以内にはここを出るつもりなんだが。それに重傷者がいるなら一刻も早い方がよくないか?」


領都の閉門までには帰りたいぞ。


「それはそうなんだが……」


「こっちは岩の収納が終わり次第出るからな。それに間に合うなら連れて帰ってやるよ。で、現場監督はどこだい?」


「あ、ああ。石切り場にいると思う……」


さすがに日没まで待つ気はないぞ。領都に入れなくなってしまうからな。とりあえず岩の収納に行こう。


あ、いた。見覚えのある現場監督だ。


「リゼット会長から岩の運搬の依頼を受けた七等星カースってもんだ。どれを運べばいいか指示をくれるかい?」


「ま、魔王さんか……こ、こっちだ……」


荒くれた雰囲気を持つ現場監督だが、私のことを覚えていてくれたようだな。前回と対応が違う。


あれ? 前回と切り方が違うような。前は一つが一立方メイルの立方体に揃えてたと思ったが。今回はやたら大きくない? 体積で言えば四、五倍はあるよな? まあ収納する回数が減るぶん楽でいいんだけどさ。

それに色も違う。前回のは白っぽかったのに、今回のは真っ黒じゃん。別物かな?


では『収納』


「さすがに全部は入らないな。残った分はまた明日にでも来るとするよ。」


「あ、ああ……会長によろしく伝えてくれ……」


現在私の魔力庫はほぼ空っぽだ。一辺が五十メイルの立方体ほどもある魔力庫がいっぱいになるほど岩を詰め込んだ。


「ちなみに前回は城壁に使う岩だと聞いたけど、今回のこれは違うのかい?」


リゼットに聞いておくべきだった気もするけど、使い道に興味なんかないもんね。


「ああ……こいつは街道用だ。現場で加工する必要があるから大雑把に切ってんだ」


「あー、辺境伯が直々に指揮してる街道用ってことかい?」


「おおよ。昔から街道にぁトーク山の黒ミカーゲ石って決まってんのよ。ムリーマ山脈からぁ色んな岩が取れっけどよぉ。このトーク山の西からぁ黒ミカーゲ石、東からぁ白ミカーゲ石が取れんだわ」


ふーん。ミカーゲ石って言うのね。色が違うだけで同じ種類なのね。ん? 御影石?


「石切りって先王様も従事されてる偉大な仕事だよな。これからも頑張ってくれよな。」


「はあぁ!? 先王様が石切りいぃ!? 何だよそりゃあ!?」


あー、そりゃ知らないか。知らないなら教えてやろうではないか。


「先王様が北の地で新しい街を開拓されてるのは知ってるだろ? そこではな、先王様自ら石切りをされてるんだよ。総オリハルコンの王剣まで使ってさ。」


「マジかよ……先王様が……王剣で……」


「つまり石切りは国の行く末を担う偉大な仕事ってことだな。すごいよな。じゃ、また明日来るわ。」


「おお! 任せとけ! 石切り場は俺が守るからよぉ!」


うおっ。急に元気になった。私の適当な話が効いたのか? 嘘ではないしね。




さて、現場事務所に戻るかな。依頼は大事だが、それ以上に仲間の命は大事ではないだろうか。


「待たせたな。もう出るぞ。同行したい奴はいるか?」


「こいつだけ頼めるか? できれば領都の治療院まで運んでもらえないか?」


「いいぞ。引き受けた。ちなみに明日もまた来るから帰りたい者は乗せてってやるよ。」


「ありがたい。すまんが頼んだぞ!」


「ああ、気にするな。同じ冒険者だしな。じゃあ、また明日な。」


「ま、魔王……すまん、恩に着る。こいつのギルドカードはこれだ。頼む、どうか……」


「ああ。真っ先に治療院に運ぶさ。任せとけ。」


よし、帰ろう。来た時より飛ばそう。なんせ応急処置しかしてない重傷者がいるもんな。




よし。治療院に運んだぞ。後はお任せだ。


では次、マイコレイジ商会の資材置き場に行こう。




「お……なんと三十六万七千トン……ですか……」


そんなにあったのか。我ながらすごいな。


「で、ではこれを会長にお渡しください……」


「ここでいいのかい? リゼットからはいくらか現場に運ぶようにも頼まれているが。」


「よ、よろしいのですか? ならば全てお願いできますでしょうか……私も同行いたしますので……」


あらら。全部なのね。でも街道の石畳用だとするなら、そりゃあここより現場の方がいいわな。

今入ってきたばかりの領都をもう出ないといけないのか。日没に間に合うよな?


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― 新着の感想 ―
[一言] もはやどうやって重さを測ってるのか興味あるレベル(笑)
[一言] やっぱりカース、お人好しですな。
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