表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第5章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2034/3087

122、古い記憶

アレクはいい子だなぁ。でも金の心配をさせるのはよくないな。


「大丈夫だよ。それに先の話だけどダミアンが辺境伯になったら白金貨八百枚だからね。一生遊んで暮らせるよ。」


「そうね。カースに心配なんかいらないわよね。」


「でもありがとね。嬉しいよ。」


アレクを抱き寄せた。心配そうな顔したアレクも可愛いんだもんなぁ。


「あうっ、か、カース……ここ、こんな所で……」


ぎゅっと抱きしめつつ、ほっぺとおでこにチュッチュ。このぐらいで我慢しとこう。公衆の面前だからね。


「えっ……そ、そんな……もう終わり?」


「うん。続きは領都でね。」


そんながっかりした顔しないでくれよハニー。なぜ肩が少しはだけてるんだい? 私は触ってないぞ?


「うん……」


「かぁー! 見てらんないねぇ! アタシも早く帰りたくなっちまったよぉ! さあさボスぅ! さっさと帰ろうじゃないのさぁ!」


さんざん他の男と遊んでおきながらダミアンが恋しくなったか。いや、逆かな。他の男と遊んだからこそ恋しくなったのか? くっそどうでもいいけど。


「お待たせいたしました。こちら今回の買い取り価格と口座分です」


受付嬢、いやトリスタが布袋を持ってやって来た。


「ありがとよ。手間をかけたな。」


「一応中をお確かめください。白金貨四枚と金貨三百二十枚と銀貨が六枚です」


「私がやるわ。」


おっ、さすがアレク。面倒なことは自分に任せろとばかりに。


布袋から白金貨と金貨を取り出して……何やら魔法を使ってるな。


「間違いないわ。さあ、これで心置きなく領都に行けるわね。」


おお……ほんの十秒であれだけもの硬貨を数えたのか。すごいぜ。


「ありがとよトリスタ。ゴレライアスさんによろしく伝えておいてくれ。」


「はい。またのお越しをお待ちしております」


ラグナに何か言いたそうな冒険者君には悪いが無視して出発だ。クタナツ南門へと向かう。




「あれ? 来た時と違うねぇ。北から出るんじゃないのかぁい?」


「領都に行く時はいつも南門から出るんだよ。」


ギルドからだと北門の方が近いんだけど、南門からの方が領都に近いからな。私の移動速度を考えると誤差でしかないけどさ。むしろ歩く時間が長くなる分、南門から出た方が遅くなるんだけどね。


「ふぅん。習慣みたいなもんかぁい?」


「その通り。あっち方面に行く時は何となく南門から出たいんだよな。」


北門には冒険者的な思い出が多いが、南門には友達的な思い出が多いんだよな。今でも卒業式の後日にサンドラちゃんを見送ったことはよく覚えている。




揉めることも待たされることもなく南門を出た。

馬車がすごいな。何十台と並んでるじゃないか。やっぱ今のクタナツって景気がいいんだね。

何人か話しかけたそうな空気を感じたが、その前に飛ぶ。きりがなくなりそうだからな。




風景が後ろへと流れていく。いい景色だよなぁ。草原に山々。フランティアは美しい。


「あ、そう言えばさ。アレクなら覚えてるかな? 僕の命を狙ったクラーサって。さっきの受付嬢の……姉かな?」


名前的に兄じゃないだろ。


「クラーサ? 聞き覚えのない名前だわ。でもカースの命を狙った女……あっ!」


「おっ、分かる?」


「ほら、カースが魔力を使えなくなってた頃よ。どこかに行った帰りに同道して、隙を突かれて首を刺されたって。あの件じゃない?」


あっ! あの時か! ギルドの受付嬢と無尽流道場に一緒に行った帰りだよな?


「おやおやぁ? ボスともあろうお人がぁ? 首を刺されただってぇ? もちろん後ろからなんだろぉ? つまりぃ、背中ぁ見せたってことだねぇ? いやー面白いこともあるもんだねぇ。ボスらしくもないさぁ。」


「うるせぇぞ。歩いて帰るか?」


ここからなら歩いて六日ってとこかな?


「じょ、冗談だってぇ。勇者の霍乱(かくらん)って言うしねぇ。」


無敵の勇者ムラサキでも珍しく手傷を負うことぐらいある……そりゃそうだ。でも霍乱って病気だろ。どうでもいいけど。


「でも思い出したよ。これですっきり。ちなみに殺したのは僕じゃなくてカムイだよ。な?」


「ガウガウ」


なんせあの時は一瞬で気を失ったもんな。毒を塗った針で首を刺されてよく生きてたもんだわ。おまけにあの事件がきっかけで魔力を取り戻したってんだから世の中分からんもんだね。


「思い出したわ。いつもなら南門で待っててくれるカースがいなかったから。急いでマーティン家に走ったもの。それから治療院に行って……そしたらお義母様が……」


「色々あったよね。ところでラグナ。禁術・心身傀儡を使える奴って闇ギルドにいたのか? 特に魔蠍(まかつ)なんかにさ。」


「さあねぇ。いてもおかしかぁないけどねぇ。でも禁術なんざぁ使えるのは宮廷魔導士ぐらいだろぉ? あいつらが易々と禁術を教えてくれるたぁ思えないねぇ。だいたい禁術ってぇぐらいだからさぁ。習っても覚えられるとは限らないしねぇ?」


そりゃそうだ。だいたいそこら辺の捜査は丸投げだったし、とっくに終わってるだろうしね。黒幕が誰かは結局分からなかったんだよな。分からなくても多分全滅させてるだろうしね。どうせ魔蠍系だろ。


おっと、与太話をしてたらもう領都が見えてきた。北門前にいきなり降りてやろう。自重する必要も、行列に並ぶ必要もないからね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 領都につきましたか。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ