表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第5章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1947/3235

36、アレクサンドリーネのフルコース

「ピュイピュイ」


コーちゃんが呼びに来てくれた。


「できたそうです。屋敷に戻りましょうよ。」


「まあ待て。ここで食べようではないか。この宝石を砕いたかのような星空の下での。」


このジジイえらくロマンティックなこと言うじゃないか。


「ピュイピュイ」


ああ、コーちゃんもそっちの方がいいのね。コーちゃんらしい。私の返事を待つことなく、屋敷へ戻っていった。

私も配膳を手伝いに行くべきかとも思ったが、だめだな。それはアレクを疑う行為だ。

万が一、いや億、いやいや兆が一……アレクが食事に毒を入れたなら、私は大人しく死ねばいいだけの話だ。料理を任せるとはそういうことだからな。


もっとも……アレクのことだから違う薬は混ぜてそうなんだよね。まったく、悪い子だ。




「お待たせしました。お屋敷にある物は使わせていただきましたわ。どうぞお召し上がりください。」


アレクがテーブルを浮かせて持ってきた。


「ほほう。これは旨そうではないか。我らが村の食材にローランド王国の料理。ありがたくいただくぞ。」


村長はそう言って箸を取り出した。おっ、イグドラシル材かな?


「おぉ……干しておいた木耳(ウリキュレイル)か。見事に戻しておるではないか。ふむ、この味付けは……」


「近くにあった卵と赤い実、ローランド王国で言うところの赤茄子(トマイト)と合わせてスープにしてみました。木耳(ウリキュレイル)の食感、赤茄子(トマイト)の旨味と酸味、そして卵のほんのり甘い滋味が出ているかと思います。」


旨いなぁ……キクラゲ、トマト、そして何かの卵。それだけじゃないな。わずかなとろみと香ばしさ。どうやったのかさっぱり分からないけど美味しいなぁ。


「アレク、すごく美味しいよ。最高だよ。いくらでも飲めそうだよ。」


「うふふ、ありがとう。順番が前後しちゃったけど次はこれもどうぞ。」


スプーン一つにつき料理が一つ。それが一人あたり三つ。これ知ってる。どこかの高い店で最初に出てきたやつだ。王都のハスコーリ・ダ・レイサだったかな?


「ほほう? わずか一口しか食わせてもらえぬのか。えらく期待させるではないか。どれ……」


イクラを無造作にスプーンに乗せたように見える。私も食べよう。


「ほう……山卵栗(ユーフス)の実か。目ざとく見つけたものよの。そしてこの味付けは……」


「ヒイズルで手に入れた醤油(しょうゆ)と言います。これに短時間ほど漬け込んでおります。」


「ほほう。これが醤油か。聞いた覚えがあるの。魚との相性が良いそうだの。うむ、旨い。口の中で弾ける山卵栗(ユーフス)の実と醤油が一体となって踊っておるわい。やはりヒイズルは侮れぬの。」


私もそう思う。味噌に醤油、畳に酒。いい国だよなぁ。うちの国王も滅ぼすのではなく属国にしたのはナイスアイデアだよな。あーこの実おいしいなぁ。まるでイクラじゃん。強いて言うなら本物のイクラよりわずかに酸味があるぐらいだろうか。これは酒が進みそうだ。


あ、畳で思い出した。


村長(むらおさ)、これに座ってみませんか?」


魔力庫から畳を取り出す。六畳ほど。そこにテーブルごと料理を移動する。


「ほう? これは敷物か? いささか固いようだが……おお……これは何たることか。芯の固さに反するかのように……わずかに柔らかい表面。そしてかすかに立ち昇る春の野山を思い起こす香り……ひとたび吸い込むと夏の太陽のようですらある。これもまさかヒイズルの物かの?」


えらく気に入ってくれたみたいだな。それならしまったな……食後に出せばよかった……


「まあまあ、まずは食べましょうよ。冷めてしまいますよ?」


「おっと、儂としたことが。すまぬな嬢ちゃんよ。おお、この細く切った清白大根(ラディスブランコ)も良い味が付いておる。爽やかな歯応えに何かの肉のソースか。いや、これは旨い。旨いの。」


「オークやブラックブラッドブル、それからコカトリスなどの肉から抽出した出汁(ブイヨン)をベースに作りました。思いのほか、ラディッシュと相性が良かったようで。」


大根にしっかりと味が染み込んでるわけじゃないけど旨いなぁ。軽くさくさく食べられる前菜って感じ? あ、そりゃ前菜だもんな。あはは。


「さ、村長。一杯どうですか?」


「おお、すまんの。いただこう。」


村長のマイお猪口って何かの角なんだよな。酒豪だねぇ。


「ふうぅ……旨い。旨いのぉ。つくづく人間とは興味深い存在よの。確かに虫ほどの価値すらない者がほとんどかも知れぬ。だが、時にはこうして儂の心を揺るがす者とて現れる。見下げ果てたものではないものよのぉ……」


超上から目線な気もするが、意識改革に一歩前進ってとこか。別にそんなことする気なんかなかったんだけど。ファンタジーあるあるだとエルフが人間と積極的に交流すると、ロクなことにならないんだからさ。まあ、この村に住んでる限りその心配はいらないだろうね。村を焼かれるとかさ。この村長ならドラゴンが群れで襲ってきても楽勝だろうしね。


「そうかも知れませんね。」


まあ、その辺は私が心配することではない。どうせ交流なんか無理だろうし。


あー美味しい。アレクの料理もヒイズルの酒も。これはそのうちスペチアーレ男爵にも飲ませてあげないとな。


ふぅ。アレクの料理と美貌に乾杯。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] いくら好きです!日本酒にばっちり。 そういう実があるなら栽培してみたいですね~ アレクのコース料理、食べてみたいです^^
[一言] 今回はアレク回でしたねー。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ