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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第4章

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286、ヤチロのギルド

さて、気を取り直して散歩の続行だ。どこに行こうかな。


「ねぇカース。ギルドに行ってみない?」


「うんいいよ。行こう行こう。何か依頼でも受けたいの?」


また絡まれたら面倒だけど、アレクが行きたいって言ってんだから喜んで行くとも。


「ううん、どんな依頼があるのか見てみたいだけ。クタナツだと素材の納品や護衛が多いけど、この街だとどうなのかなって。」


「なるほど。アレクは勉強熱心だね。確かここから近いよね。よーし行ってみよう。」


昨日行った治療院からも近いはずだ。




見えた。あれか。オワダのギルドより小さいな。


中に入ってみると……人がいない。受付におばさんが二人座ってるだけ。昼前だからかな? まあいいや。依頼を見よう。どれどれ……


栄螺(さざえ) 買取 一個につき五千ナラー(大きさ制限あり)

(あわび) 買取 一個につき一万ナラー(大きさ制限あり)

赤貝(あかがい) 買取 一個につき千ナラー(大きさ制限あり)


貝ばっかじゃねーか!

他には……


(たい) 買取 一匹につき六千ナラー(大きさ制限あり)

(さば) 買取 一匹につき四千ナラー(大きさ制限あり)

(すずき) 買取 一匹につき五千ナラー(大きさ制限あり)


魚ばっかじゃねーか!

どうなってんだここは?


・ゴブリン討伐 一匹につき百ナラー(魔石は別途百ナラーで買取)

・コボルト討伐 一匹につき百二十ナラー(魔石は別途百ナラーで買取)

・オーク討伐 一匹につき五百ナラー(魔石、肉は別途買取 応相談)


やっとまともな依頼だが……こんなの誰がやるんだ? 安過ぎるぞ……


・手紙の配達 一万ナラー(オワダまで、契約魔法あり)

・手紙の配達 五千ナラー(トツカワムまで、契約魔法あり)

・手紙の配達 三千ナラー(テンモカまで、契約魔法あり)


配達ばっか……もう見る価値ないな。護衛っぽいのも少ししかないし。


「アレク、帰ろうか。」


「そ、そうね。いい勉強になったわ……」


「ちょっとぉーあんたらさぁ? てっきり依頼人かと思ったら何ぃ? 冷やかしかい?」


受付おばさんだ。


「いや、どんな依頼があるのか勉強に来ただけだ。邪魔したな。」


「へぇ? 腕に覚えがありそうねぇ? 見たこともないような装備しちゃってさ。どうだい? ちょっとヤバい依頼があるけど受けてみるかい?」


ほう、私達の服装を『装備』と評したか。少しは見る目がありそうだ。


「聞くだけ聞いてやるよ。面白そうなら受けてもいい、よね? アレク。」


「ええ、いいわよ。まずは聞くだけね。」


「話を聞いたからって受けろなんて言わないさ。こっちに来てもらおうかい?」


別室ね。いいとも。


おや、ちょっといい部屋だ。もしかしてこのおばさんは……


「ヤチロ冒険同業者協会会長フカミ・マチハギだ。あんたらは?」


会長が受付やってんのかよ……


「ローランド王国フランティア領クタナツ所属、六等星カース・マーティン。」


「同じく八等星アレクサンドリーネ・ド・アレクサンドルよ。」


「やっぱりローランドもんかい。オワダで大暴れしたらしいじゃないか。ここでも暴れるってんなら黙っちゃいないよ?」


へぇ、知ってる奴は知ってるのか。あれから一ヶ月以上は経ってるし当然と言えば当然か。


「好きで暴れるわけないだろ。で、依頼は?」


「こいつさ。ここらヒイズル南西部一帯を荒らしまわった盗賊団『夢の雫』さ」


へー、盗賊か。それにしても、なんてメルヘンな名前なんだ……

まあ盗賊退治は得意な方だし受けてもいいかな。


「どこら辺にいるんだ?」


「ヤチロから東に五十キロルほど行った所にある山さ。通称『龍の背山』と呼ばれてるね。そこのどこかに居ることまでは分かってる。深い山なんでね。隠れるところなんざいくらでもあるってわけさ」


特に難しい依頼ではないな。


「これのどこが難しいんだ?」


「おいおい、簡単に言ってくれるねぇ? まあ、そうさなぁ……仮に居場所を見つけられたとしようかい? あいつらは強いよ? 手練れの六等星パーティーが護衛についた商人がどれだけやられたことか。しかも五等星にゃ手を出さないだけの分別もあるときたもんさ。おまけにだ。囚われの女の中にそこそこ重要人物が居てねぇ? 依頼主は無傷で取り返せってうるさいのさ。これでも簡単かぁい?」


簡単じゃない……人質救出なんて私が最も苦手とする事だ……

どうしよう……


「カース、お願いしていい? 私……この依頼、受けたいわ……」


「いいよ。受けよう。じゃあ会長、約束をしてくれるか? この依頼を受けるから情報の出し惜しみは無しだ。全て話してもらおうか。それから報酬はどうなってる?」


「いいともっぅぎっばぉ……ちっ、契約魔法かい……味な真似ぇしてくれるじゃないのさ。これ以上何を聞きたいってのさ? 報酬は盗賊一人あたり十万ナラー。幹部なら五十万、頭目は百万ナラーだよ。生死は問わないけど首か死体がなけりゃあ金は払えないから注意しなよぉ?」


へー。盗賊にしてはいい値段だな。


「生け捕りなら別途売り飛ばした代金は貰えるんだろうな?」


「へぇ? 相当な自信があるみたいだねぇ? 値段にバラつきはあるが大体一人十万ナラーで売れるねぇ。腕なんかぶっ千切ったら途端に値下がりするから気をつけるんだねぇ。ただし、女に傷を付けたら罰金一千万ナラーだよ?」


「そのぐらいの金を払うのは構わんが、盗賊のつけた傷とどうやって区別する気だ? 会長だってその女が無傷だなんて思ってないだろ? 女には色んな使い道があるんだからさ。」


当たり前だよなぁ。


「くくっ、使い道があるのは女だけじゃないだろう? まあいいさ。その辺りは生きて帰った者や盗賊に契約魔法をかけて聞き出すのが定番さ。真っ当にやってれば何の心配もいらないねぇ?」


「じゃあ最後に。その女の身元、拐われてどれぐらい時が経ってるかを教えてもらおうか。」


「女はクラヤ商会の長女ヤヨイさ。拐われてから一ヶ月と経っちゃいないね。婚礼前だってのに可哀想にねぇ。」


ほう。それは確かに可哀想だな。助かるものなら助けてやりたいよな。


「その婚礼の相手は誰なの?」


おおアレク。妙なことを気にするんだね。でもダーリン側もそりゃあ心配だろうな。


「オワダのクウコ商会の跡取りらしいねぇ。名前は確か……ナルタ・クウコって言ったかねぇ?」


ん? クウコ商会? 聞き覚えがあるぞ?


「あぁ、あの盆暗息子ね。案外その子って誘拐されて幸せだったのかもね? 聞きたいことは以上よ。」


さすがアレク。あんな奴のことでもきっちり覚えてるんだね。偉い。


「じゃあこの依頼を受けてもいい。最後に期限を確認してからな。」


「期限なんかないさ。すでに婚礼は遅れに遅れてるんだ。早けりゃ早いほどいいってだけさ。まあ二週間経って音沙汰なけりゃあ死んだものと見做すだけさ。他のパーティーにも依頼するんだからねぇ?」


「いいだろう。この依頼を受けよう。動くのは三日、もしくは四日後ぐらいからだ。その山の地図なんかは無いのか?」


「あるわけないだろう。ちょっと待ってなぃ」


そう言って会長は机に移動して何やら描き始めた。




「ほれ、待たせたねぇ。私の記憶だからあんまり当てにすんじゃないよ?」


「ないよりマシだ。ありがとよ。この×印が怪しい地点だな?」


×印が五つほど記入してある。


「ああ、それもあくまで私の知る限りだからねぇ。他に根城にできそうな場所なんざいくらでもあるだろうさ。せいぜい期待してるよぉ?」


「分かった。全力を尽くすことだけは約束する。」


「ああ、頼んだよぉ?」


さて帰ろうか。そろそろランチの時間だし、どこで食べよ「おい! どういうことだ!」


いきなり扉が開き、数人のごっつい奴らが入ってきた。マナーがなってないなぁ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 本当、マナーがなってないですなあ。
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