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その世界を見るために  作者: 坂崎高々
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弍話。現代の化物と旧き化物

「どういう意味だ……。これは…………」

サンチョは仕掛けておいた悪魔の情報が無くなり慌てていた。

このままでは計画が台無しになってしまうと思い、急いでビルを出てきた。

額には汗が垂れており、先程までの知的な雰囲気を取り繕えていない。それほどまでにこの計画の失敗に対するショックが大きいのだろう。

そして、辺りはというとまさに地獄絵図だ。遊具は破壊され、木々も倒れている。大きな穴も空いているが、幸いなのは、やはり人がいないことだろう。この戦いで一合一合交える度にとんでもない圧が発生して、戦いの中心から、遠くへ、遠くへと押し退けていくような感じだ。

そもそも、人間と九尾。その戦いは既に結末を簡単に予想することができる、弱者と強者の戦いだろう。

しかし、ブリキと九尾の戦いは違うのだ。全くもって展開の読めない戦いと化す。

ブリキは弱者ではなく、強者なのだ。現代の持ちうるかぎりの技術と知恵を以てして完成した現代の英知なのだ。

現代の化物と旧き化物。化物通しの戦いなど、人間の予想を遥かに凌駕する。だから分からないのだ。

しかし、そうなった原因は概ね理解した。樺八坂直がブリキにけしかけられ戦いを挑むが、ブリキに圧倒されて倒れる。そして、データに載っていた使い魔であるコンが主人を守ろうと、今戦っているのだろう。と、考えた。

そして、この状況を打破するべく、サンチョは携帯を取り出して、電話をかけた。


「ヒヒヒ、いいですねぇ。日本でも有数の実力を持つ悪魔と、こんなにも熱く!刺激的なぁ、戦いを送れるなんて、はぁ、今死んでもいいぃぃぃ‼」

コンとの戦いで傷だらけになっているが、異様な興奮具合を見せるブリキに、コンは面倒くさそうな顔で対応する。

「なら、とっとと死んでくれないかな。俺も、暇じゃないんだ」

そう言ってコンは長い尾をすごい勢いで叩きつける。通常の人間であればそれで即死。そのはずだが、ブリキは普通の人間ではない。それをコンも感じ取っているため、次々と攻撃の手を休めず、何度も叩きつける。

しかし、尾をナイフで切りつけられ、攻撃の手を止める。

「ヒヒヒヒ、痛い………。けど、この感覚………………堪らない!」

ブリキは攻撃を受けながら、ある思考にずっと囚われていた。


こいつをどうするか。それだけを考えていた。


改造を施されたブリキにとって痛覚という概念はあまりなく、たまにあるものが、薬物のような刺激的な何かに変わっていった。

そのためか、自分に痛みをくれた者達をいかにして殺すか、それを求めている。

「今度は、僕のターンですかね」

そう言うと、コンの視界から外れる。

コンの頭上に接近する。それに気付いたコンにより、攻撃するが、コンの長い尾では十二分に戦いづらく、ブリキによって尾を切られていく。

そして、コンの攻撃が少し止んだところで、ブリキは体を曲げ、勢いよくパンチを繰り出す。それが見事にヒットするが、それだけではない。その手は取れ、爆発し、赤い光を伴って遠くまでコンを飛ばす。

コンは地面に着地するのではなく、遊具にぶつかり、鋭利な鉄の棒が刺さってしまう。また、当たり所が悪く、その鉄の棒を取ることができたものの、更に運の悪いことは続く。

治癒ができないのだ。どうやらブリキとの戦闘の際にあのナイフで毒を盛られたようなのだ。

コンの体は切り傷が至るところにあり、白い毛は赤く染まり、白と赤のコントラストは見るものの心を痛ませる。そして、治癒ができないためか足取りが重い。

「ヒヒヒ、どうですか?これでもまだいけるんですよ」

ブリキはそう言っているが、ブリキの服は破れて、腕も攻撃のため取れている。また、痛覚がないとはいっても血は通っている。そのため、出欠多量なのか、顔が白くなってきている。

そして、再び沈黙が流れると、コンが攻撃を仕掛ける。

長い尾を使い、雨のように、再び攻撃を繰り出すが、それをブリキは逆手にとってコンの尾を伝い、全速力で駆ける。

とっさのことにコンは驚くも、直ぐに戻り、間合いを詰めるブリキを攻撃する。先程までと違って二三発攻撃を浴びさせると、ついに耐えきれなくなったのか、ブリキはナイフで対応する。

しかし、伝説の悪魔の攻撃である。それを何度も受けて無事だったのもすごい。だが、折れてしまう。

さらに、ブリキは足を滑らせて落ちてしまう。という不運に苛まれ、空中で抵抗できなくなる。

すると、それを好機とみたコンがすかさず攻撃を入れようとした時、


「待ちたまえ」


その声により、両者は一斉に声のする方へ目をやる。すると、そこには猫の獣人がいた。

「吾輩は、猫と申す。貴殿らの争いを仲裁するためにここへ来た」

すましたように言う猫に両者は不快感を表すが、そんなのどうでもいいのか、話を続ける。

「吾輩は、貴殿らのどちらかが死のうが別に構わん。しかし、上からの指令がきたのでな。止めさせてもらおう」

すると、それに納得がいかなかったのか、コンが攻撃をしようとした。

そうすると、猫は腰に下げていたサーベルを抜くやいなや、目にも止まらぬ速さで突いたのだ。

うねりをあげるコンをチラリと見る、そしてあくびをしてから続ける。

「貴殿らが満身創痍であることに変わりはない、ここで暴れるなら、貴殿らの生死は保証できんぞ」

すごい目力で押され、これ以上は何もできないと両者は悟り、ブリキが帰ったことにより、勝敗はつかなかったものの、地獄のような戦いは幕を引いた。





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