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俺は幸せをこの手で掴み取る  作者: シラス
一章イシュタージュへようこそ
4/30

3話「初依頼」

本編3話目です。初依頼、慎重に選びましょう。

 


 受付に戻り薬草の場所を聞いた。場所はこの王都の西側の門を抜けた近くの森に生えてると聞いたので西門に現在向かっている。

 ちなみに西門の街道には途中小さな村があるそう。その村は休憩場所としても使われていると聞いた。その先に海の見える街がある。海だとクラーケンとかいそうだな。リヴァイアサンとかいたりして。


 そんなことを考えながら西門に着いた。西門の近くには兵士のNPCが立っていた。


「おっ依頼か?」

「そうだよ」

「てことは薬草かボアあたりの討伐だな。ま、頑張れよ!」


 応援してくれるのはありがたいがおもいっきり背中を叩くのはやめてほしい。痛い。

 俺は軽く手を振り門から離れ街道を歩く。


「この辺りか」


 街道を出て少し歩いたところの森の中に入る。薬草は地面に生えていて他の草よりも緑が深い色をしているため見つけやすいと聞いた。


「おっあれかな、本当に色違うわ」

 案外簡単に見つかった。試しに取ってみると、


 薬草

 塗り薬、また調合でポーションを作る事ができる。


 というウィンドウが表示された。

 ──ふむ、調合かぁ、レシピとかあれば作りたいな。

 

 なんて思いながら薬草を採っていく。わかりやすいがこの辺りは少ないみたいだ。まぁ5枚だから少なくてもゆっくり採っていこう。と思ったが……。


ガサッ


「?…っ!」

 その音をした方を見ると草むらから狼が1匹警戒しながらこちらの様子を伺っていた。俺は腰にあるショートブレードを抜いた。

 その行為で俺を敵と判断したのか狼は俺に向かって走り近くまで来るとジャンプをしてその前足についた鋭い爪で俺に攻撃してきた。


「くっ!」

 その攻撃をショートブレードで受け止め自身の体を右にずらし受け止めたショートブレードで左へ攻撃を受け流す。しかし狼はもう片方の前足で俺の左腕を攻撃する。


「っ、ぐぅ!」

 その攻撃を避けきれず左腕を爪で攻撃され激痛が走る。更に攻撃を受けた衝撃で尻餅をついてしまった。だがそんなことより……。

 ──ゔっぐぅ、い、いってぇ…なんだこれめちゃくちゃ痛え!

 爪で引き裂かれた腕を押さえる。そこは赤いエフェクトが3本横に入っている。血が出ているわけではないがそのエフェクトの部分がひどく痛い。

 その痛みに俺は、恐怖を覚えた。いや、思い出した。


──ぐっ、やべ!

 痛みで動けなくなっている俺に狼はトドメとばかりにふたたび襲いかかろうとした。


「ふっ!」

 突然聞こえた声とともに狼の首が飛んだ。

 狼の横には鎧に身を包んだイケメン騎士のプレイヤー?が振るった剣の刀身を布で拭き鞘に収めるところだった。


「大丈夫か?」

「……」


 鞘に収めた後俺の方に歩いて来る騎士。何も返せない俺を怪訝そうな顔で見る。


「怪我をしているのか、ならこれを飲むといい。」

 そう言って渡してきた物。ウィンドウには、


 ポーション

 軽傷を回復。HPを20%回復。


 と表示された。


「ありがとう…」

 そのポーションをありがたくもらい、飲んで見る。味は薄いレモン水みたいな味がした。

 そして、ポーションを飲み干すと痛みがみるみる引いていく。


「それで、なぜこのような状況になっている?」


 その質問に俺は起きたことを説明する。説明中、騎士の顔が険しいものへと変わっていく。


「そうか、1つ聞いても?」

「?あぁ」

「では、その状況になり、何故君は逃げなかった?」

「え?」

 ──何故…?何故って、あれなら倒せると思ったから…?


「もしや、あの程度倒せると思ったのではあるまいな?」

 騎士の声が冷たいものに変わっている。そして図星を突かれ俺は視線をズラしてしまった。


「そうか、確認だが貴様は異界人だな?」

「⁉︎」

「やはりそうか」

 ──どういうことだ?なんでそんなことがわかったんだ?


 このゲームではプレイヤーのことを異界の旅人と表されている。それはNPC側がプレイヤーを呼ぶ際の呼び方にもなる。だがやはりこの騎士はNPCには見えないがここはオフラインのためこの騎士がプレイヤーということもありえない。

 なんというか本当に"生きてる"人と話しているような感覚になる。


「以前、同じようなことがあった。その者たちは冒険者になりたてでだろう者たちだ。

そして、その者たちは採取依頼をしている最中魔物に出くわした。ここでの通常の判断は戦わず逃げることだ。

しかしその者たちは何に対しての自信かわからんが、その者たちはあの程度なら倒せると思ったと口を揃えて言っていた。そして魔物の攻撃を受けてその者たちは恐怖し事もあろうか動けなくなった。」

「……」


 …心当たりがありまくる。まさしくさっきの俺と同じだ。他のゲームで苦労なく倒せていたものだ。この世界でもそれは変わらないだろうと俺は倒せると思っていた。


 甘かった。その考えが、何よりそう考えた自分がこの世界を甘く考えてた。


「結論から言わせてもらおう。甘すぎる。その考え、対応、何もかもが。自分の力量くらい自分で判断しろ。

こんなはずじゃなかったか?当たり前だ。何もかも上手くいくなど稀だ。嘆いてる暇があるならその状況変化に対応できる力と判断力を身に付けろ。常に最悪のパターンは想定して、そうならないために考えろ。行動しろ。敵を目の前にして止まるな、動けなくなればそれまでだ」


 その言葉に俺の心に深く抉られた。





太一「甘い…か」

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