2話「イスタージュ」
本編2話です。作品の時間を合わせるのって結構難しい…
ログイン後オンラインかオフラインかを選択するところがあった。今の所オンラインでやる予定はないためオフラインを選択した。
そして名前、自分の名前をいじるか…。タイチは論外、シダもアウト、シタ…ないな、ダシ、なんか料理されそう。ダイチ、う〜ん候補。ダチ、いない。シ◯イ、『不適切な用語です』、知ってる。
ダイチにしよう。名前を入力して決定ボタンを押す。
その瞬間ホワイトアウトした。
目を開けるとそこは人が溢れかえった街の中だった。
「どういう、ことだ?キャラクリとかチュートリアルがない?」
周りを見渡し自分の姿が見えるものがないか確認する。窓を見つけ姿を確認する。
そこにはベリーショートの髪に少し目尻がつり上がった目つきの悪い目、手入れはあまりしていなかったため少し太くなった眉毛や普通にしていても口角は少し下向き、不機嫌に見える口等、現実世界の自分の姿が映っていた。
「なっ…なんだよこれ。もろリアルバレもいいところじゃないか!オフラインにして正解だったな…」
とりあえず落ち着いて、この後自分がどうするかを考える。普通はGMに連絡するだろう。
だが俺は、自分が強くなりたい。そう思っている。そうすると自分の姿というのは帰って都合がいいかもしれない。ここは幸いオフラインだ。オンラインも可能なゲームだが、やはり1人で強くならなくては意味がない。
「このままやってみるか」
そう判断した。
「さて。装備は初期装備だな」
装備を確認する。ショートブレードにレザーアーマー、レザーグローブ、レザーパンツ、レザーブーツ。ゲーム開始時だからこんなものかと納得する。
「とりあえず、冒険者ギルドだな」
ギルドを探しにダイチは街を歩き出した。
ギルドは歩いて数分で見つかった。案外近かった。まぁ人に聞いたけども。ここが無駄に広くて困る。
ギルド内に入ると正面におそらくクエストの受け付けやらのカウンター。その左側、掲示板がある。クエストの依頼書だろう。掲示板が幾つにも分かれている。左からF、E、D、C、B、A、S、SSと文字が並んでいる。多分ランクだな。
ギルド内を見渡しながら登録と書いてある受け付けへとたどり着く。
「冒険者ギルドへようこそ!ギルドへの登録ですね。今回が初めてですか?」
受付へ着くと、NPCの女性がプログラムされている言葉を言う。登録が目的のためここは頷いた。
「はい」
「ではギルドの説明からさせていただきます。
まず冒険者ギルドとは、ギルドにきた依頼をこなし報酬をもらうところです。
依頼にはランクというものがあります。ランクは下からF、E、D、C、B、A、S、SSというふうに依頼をこなすことで上がっていきます」
ふむふむ、RPGの醍醐味でもあるよな。ランクが上がってくのを見るたびに強くなった実感が持てるのはすごくよかった。
「F〜Dが初心者にあたります。次にC〜Bが腕利きになります。腕に覚えがある方、くらいですね。
Aが達人クラス、腕に覚えがありまくる方ですね。
Sは達人クラス+ギルドマスターの推薦でなれるクラスです。
最後にSSですが、これは伝説級の方ですね。ありえないくらいに強い方たちです。例を挙げるとするなら、この世界で最強クラスのドラゴン。ドラゴンは現在4種類の個体が確認されています。
そのドラゴンですがSランクの6〜7人パーティの人たちですら勝つのは難しい相手です。そのドラゴンとソロで、しかも武器は持たず拳のみで戦いドラゴンに認められるくらいに強い方もいらっしゃいます」
なにそれ、ヤベェめっちゃ怖いじゃん。しかも武器は拳のみってどんな男だよ!
その人がプレイヤーって可能性もあるよな。でもそいつ倒したら確実に強いことを証明できる。
「次の説明です。依頼についてです。受けられる依頼は自身のランク、または自身のランクより低いものを受けることも可能です。自身のランクより高いものは緊急時以外は受けられませんのでご了承ください」
「緊急時って言うのは?」
「例えば魔物暴走、魔物が集団で攻めてくることを指します、この場合最低ランクのF以外の方は強制参加になります。こういった緊急時の際ランク問わず依頼を受けていただくことになります」
なるほど、大体わかった。とりあえずFはすぐに抜けたいな。
「依頼の説明については以上になります。では、魔力測定を行います。のでこちらのオーブに手をかざしてください」
言われた通り手をかざす、するとオーブが赤と緑色に輝き出す。
「おや現在は2属性の適正がありますね」
「それは、いいのか?」
「珍しいと言えますね。属性は火、風、水、土というのが通常です。火は赤、風は緑、水は青、土は茶色と別れます。そのほかに闇、光があり、闇は紫、光は黄色と別れます。あなたの場合は火と風の適正がありますね」
「へぇ〜なるほど。わかりました」
「はい、ではギルドカードを作成しますのでしばらくお待ちください」
そういって受付嬢は奥へといなくなった。しかしなんていうか会話がNPCには思えないほどスムーズにいったなぁ。そう言えば街もなんか今までのゲームより鮮明に作られてたな。まるで本当にそこに存在してるかのような感じだ。
「ギルドカードの作成が完了しました。このギルドカードは身分証として扱われます。他の街に行った際ギルドカードを見せることで街に入る事ができます。
ギルドカードを紛失した場合、金貨1枚で再発行が可能です。ですができる限り紛失させないようお願いいたします」
「わかりました。」
結構わかりやすい説明だった、ってそういう風に設定してあるなら当然か。
「最後に大陸についてです。」
大陸とは、また話が大きそうだ。
「今現在、大陸は6つ確認されております。
まず世界の中心とされているこの大陸。
赤竜が守りし大陸。
蒼竜が守りし大陸。
白竜が守りし大陸。
黒竜が守りし大陸。
そして最後にこの大陸と正反対の位置にある、魔が住みし大陸です。」
ふむ、かなり広いなこの世界。しかも竜が守る大陸とか半端なくワクワクしてきた!それでなくてもそう言った大陸に旅に出るというのはロマンがある。
「もし、別大陸に行く際は必ずギルドに報告に来てください。こちらでも行く大陸の情報やそちらのギルドで、いろいろ教えてもらえるよう計らっておきます」
なんという、これが至れり尽くせりというやつだろうか?
「ありがとうございます。その時はよろしくお願いします」
「はい、それでは依頼の受付等は隣のカウンターとなりますので依頼を受ける際はそちらでお願いします」
「はい、詳しく説明してくれてありがとうございます」
受付を離れる際、受付嬢の一礼にお礼を返して依頼が貼ってある掲示板に向かう。
「あ〜どうするかぁ、とりあえず最初だしこの薬草×5の調達あたりでいいか」
依頼を持ち依頼の受付に向かう。
「初めての方ですね。それでは依頼内容の確認をいたします」
俺は依頼を受付嬢に渡す。
「はい、確認の完了をしました。これから依頼の受付、完了の報告をする際は私、マリナが担当をいたします。よろしくお願いします」
受付の人が自己紹介をしてきたのでこちらもしない訳にはいかないと思い俺も自分の名前を言うことにした。
「よろしくお願いします。ダイチです」
「はい、受ける依頼のアドバイスなどもいたしますので頑張っていきましょう」
「はい、じゃ行ってきます」
「ご武運を」
さて、薬草を取りに行くため俺はギルドを後にした。
──あ、薬草の場所わからねぇ。
太一「薬草はどこだ」