第83話 サルザンカの宝-『黒の苦労と白の不安』
「と、言うことなので、お願いできないでしょうか」
「僕、テミスって言います。よろしくお願いします!」
ライランは、アンスに一部始終伝える。その隣で元気に挨拶をするテミスの笑みは、素直そうなものだ。彼女は、大きなリュック一つを背負って、旅立つ準備万端といったところだ。
そんなキラキラした瞳を見せるテミスを見て、アンスは頭をかきながら悩んでいた。
「あー、拒否……はできねぇよな」
アンスはライランの顔をうかがう前に、ポロクルとケルンの顔を見る。すると、二人とも嫌そうな顔で頷いている。
さらに、アンスはライランの顔を見てため息を吐く。
「できれば、そうしていただけると助かります。彼女きっての願いなので、私としても叶えてあげたい所です」
アンスたちにとって、ライランの方が立場は上だ。もし、ここでライランの要望を拒否して、契約をその時点で決裂されても文句は言えない。
「それに、大きな馬車です。一人増えた所で問題ないでしょ。もし積載量に問題があるのなら、それなりの対処をいたしますが?」
「いや、そういう問題じゃなくて……」
ライランは、数十人の人間を詰め込んで運べる大きな馬車をアンスたちにあてがっている。
その馬車に一人増えた所で、荷物の問題が出ることなど無いと分かっていてでの発言だ。つまり、アンスたちの逃げ道を絶ったのだ。
それでもアンスは、何か逃げ道はないかと捻り出す。
「実は、今後の活動について、話をしているんだ。その内容を部外者に聞かれると不味いだろ。それに、相手は情報屋と来たもんだ。一番聞かれたくない相手だ。商人同士、分からない話ではないと思うんだが」
アンスの言い訳は大方嘘ではない。話の内容は商売話ではなく軍事話だ。関係者以外に聞かれると、とても不味い話をしているのは間違いない。そう、関係者以外ならの話だ。
「でしたら、シルトタウンまでその話を我慢していただけないでしょうか。シルトタウンに着いてからすぐに活動に入りたいのは、よく分かりますがご辛抱ください。それに、一日中彼女が側にいるわけではありません。夜は私たちの所で寝泊りをすると言っております。どうしてもと言うなら、その間で話し合いをしていただけませんか」
ライランは丁寧に言っているが、要するに聞かれたくない話をするなと言っている。
その最もな意見にアンスは、確かにと呟いてしまっていた。
詰めが甘いのですよ。とポロクルは諦めたような顔だ。
「それに、もし聞いてしまっても、僕、そのことは絶対誰にも話しません。邪魔でしたら、荷台の隅で大人しくしています。どうか、お願いします」
とどめとばかりにテミスが頭を下げる。そこまで言われてしまって、流石に逃げ道は無いと、アンスを含めた三人は諦めのため息を吐く。
「馬鹿野郎だな。奴から逃げられる訳がないだろうが」
諦めたアンスを小さな声で罵るヘスティアは、テミスを睨みつける。だが、テミスはそれに対して笑みを向ける。その一瞬で負けを認めたヘスティアは、彼女に背を向けて荷台の中へ入って行った。
そのため息とヘスティアの退きの良さの意味を知らないリョウとミルだけが、不思議そうな顔をしている。
「そ、そこまで言うなら、しょうがねぇか」
「本当ですか! ありがとうございます!」
渋々折れたアンスにテミスは手を差し出す。感謝と喜びを振りまきながらテミスは、熱い握手を交わす。
その全身で喜びを表しているテミスにアンスは少し退いている。
「んじゃ、テミス。一つだけ聞いていいか?」
「はい。何でしょうか。何でも答えますよ!」
そんな明るいテミスにアンスだけは一つだけ質問する。
「そこまでして俺たちの馬車に乗りたい理由って何だ」
一瞬、質問の意味を考えて、不思議そうな顔をしたテミスだが、すぐに満面の笑みに戻る。ともて素直で純粋で穢れをまったく知らない。そんな幼さの残る子供のような顔だ。
「だって、雑魚の乗る馬車より、強者が乗る馬車の方が、安全そうだもん」
その理由にアンスたちを含めライランをも苦笑いを浮かべる。
素直で純粋。嘘などまったく知らない子供のようなテミス。彼女はこのまま育っていった方がよいのか、少し大人という穢れを知らなければならないのか。アンスたちはそれを教えるべきか悩むところであった。
「うわぁー」
テミスを荷台に乗せて馬車は再び動きだした。
「この馬車って、とっても」
テミスは荷台の真中でくるくる回りながら周囲を見渡す。その瞳はとても輝いていて、楽しそうなものだ。
「汚くて、臭いですね」
満面の笑みで素直な感想を言うテミスに、アンスとケルンはため息を吐く。
「なあ、テミス。お前、何しに来たんだ」
アンスの質問にテミスは答えようとせずに、荷台の隅のアヌビスのところへと近づく。
「あれ? アンス。テミスと知り合いなのか」
顔見知りのような振る舞いを見せるアンスにリョウは疑問を持つ。
「ああ、リョウは知らなかったよな。こいつは―――」
アンスが説明しようとすると、テミスはくるりと体をひねって、リョウに向きなおして彼の目の前に立つ。
「そう言えば、君には自己紹介がまだだったですね」
リョウに向ってテミスは敬礼をする。
「リクセベルグ国第十軍黄の部隊指揮官テミスです。グロスシェアリング名は黄色の天使だよ。よろしくおねがいします」
「ってことは……グロスシェアリング騎士団の一人?」
「うん。そうだよ。ヘスティアや団長と同じ騎士団だよ」
身内だったのかと知ったリョウは、アンスに不思議そうにする目を向ける。
「だったら、何ですぐに乗せてやらなかったんだ」
「あー、それはだな……」
アンスが気まずそうに誤魔化しの笑みを浮かべる。
「みんなに嫌われているからだ」
だが、ヘスティアがあっさりと真実を告げてしまう。
「へ?」
理解できないリョウは、ヘスティアに向きなおす。
「こいつ、あちこち旅していて、時々部隊に混ざって行動するんだ。だがな、そのたびに部隊の失敗とか秘密を洗いざらい調べて、聖竜王や四軍神に報告しやがるんだ。まったく、こいつと一緒にいて、いいことなんてあったこと無いんだ。だから、みんなこいつと行動するのは避けたがる」
ヘスティアにはっきりといわれたテミスは、頬を膨らませて反論する。
「僕、悪いことしてないもん。本当のことを報告しているだけだもん」
「それが悪いと言っているんだ馬鹿野郎。場合によっちゃ、隠さなきゃいけないこともあるんだよ。馬鹿」
「同じ組織内で隠し事はよくないと僕は思うよ」
「事実を告げて、その組織を乱すようじゃ、意味がないだろうが馬鹿。お前は、シルトタウンに着くまで、荷台の隅でおとなしく寝ていろ。馬鹿野郎が」
ヘスティアにきつく言われたテミスは、わざとらしく頬を膨らませて、ならない足音をならそうとしながら、アヌビスの近くまで近づく。
「団長〜。ヘスティアがいじめる〜」
「テミス。今のアヌビスには近づかない方がいいですよ」
「へ? どうしてですか?」
ケルンの忠告を無視して、何気にアヌビスに近づくテミス。すると、彼女はアヌビスの剣の間合いに入ってしまった。
その瞬間、何があってもピクリとも動かなかったアヌビスが、その真っ黒なマントの中から真っ白な刀身の剣を引き抜く。
そして、それをテミスの頭上から振り下ろす。
「わ、あわわ」
テミスは驚いて後ろに二歩大きく飛ぶ。彼女はなんとかアヌビスの一振りを回避することができたが、床は回避できず腐りかけた木が粉々に砕け散った。
その穴が境界線だと言わんばかりにアヌビスと彼女達を二つに分けた。
「だ、団長どうしたんですか」
「ついさっきの戦いで、黒を吸った後なんだ。死にたくなきゃ、ケルンの言う通り大人しくしているんだな」
「へーそうなんだー。団長が黒を吸うぐらいの戦いがあったんですね。でも、……黒衣の死神と恐れられる団長が、そこまで力を使ってもアレクトがいない。ふふ、団長の手が回らなかったのか、部隊のみんなが無能だったのか。どっちらなのでしょうか?」
周囲が聞くと嫌味に聞こえてくる質問だ。だが、テミスは本心からの疑問である。
それを知っているアンスは、文句も反論もできずに無言しかなかった。
だが、その様子を察したのか、リョウが話題を変える。
「そう言えば、さっきから気になっていたんだけど、アヌビスが吸っている黒って何?」
リョウの助け舟に真っ先に飛び乗ったのは、アンスであった。
「ああ、あの黒い箱に入っているタバコのことだ」
「それって、どんなものなんだ?」
「ん〜、詳しいことはしらねぇんだけどな。吸うとやけに強くなるらしいぞ」
長い付き合いのアンスでも、その質問には首をひねる。
「兄さん。それは、違いますよ。実際、昔兄さんが吸った事あったけど、強くならなかったじゃないですか。むしろ弱くなっていたし」
「おお、そう言えばそうだったな。んじゃ、あれって何なんだ。ケルン、知ってるのか?」
「いや、僕も知らないけど……」
小さくなるケルンに対して、何か思い出したかのようにアンスは唸った。
「そういゃあ、いつも吸っている赤い箱のタバコって、タバコ本来の効果はねぇんだよな」
「そうなのか?」
「ああ、聞いた話だとな。アヌビスも吸いたくて吸っているんじゃないらしいんだ」
「それじゃ、なんでアヌビスって、タバコ吸っているんだ?」
アヌビス部隊の三人は、よくよく考えると不思議な隊長について考える。
いつもアヌビスの側にいたアンスとケルンは、答えを知ろうとヘスティアの方へ目線を送る。その二人の頼りなさにため息を吐く14歳の少女。
「馬鹿野郎。あれは、赤と黒の二つで別々の意味があるんだ。赤が鎮静。黒が抑制の効果がある。それぐらい知っていやがれ馬鹿」
すると、ヘスティアは緑のベレー帽を脱いで、中から二つの箱を取り出した。
「お、おい。それって」
アンスがヘスティアの取り出したものを見て驚いている。ヘスティアが取り出したもの。それは、アヌビスがいつも携帯していた赤い箱と黒い箱のタバコだった。
「ふん。合計二箱ずつ持っていたんだ。まあ、あたしは吸わないけど、アヌビスと行動する時は、これぐらい持っていないと、不味いことになるからな。お前たちもそれぐらい学んでおけよ。馬鹿」
ヘスティアの出した箱は、まったく手のつけられていない箱であった。
彼女は、アヌビスの特性を良く理解している。その鍵となるのが、このタバコなのであることもだ。なので、多めに持ってきている。今の所、アヌビスに変異はない。なので、赤い箱を欲するまでは、黙っていようと思っていたのだ。
「アヌビスが知ったら、殴りかかってくるんじゃねぇの」
アンスが引きつったような笑いを見せる。
「そ、そうですよ。早く渡した方がいいと僕も思いますよ」
ケルンも何かに脅えるように忠告をする。だが、ヘスティアはいたって冷静だ。
「馬鹿野郎。いざって時以外にこれは使えねぇんだ。それに、シルトタウンまで後2日ほどだろ。いくら奴でも今晩と明日一晩。それぐらい耐えられるだろうが」
「アンスとケルンの様子からすると、かなり酷いらしいな。でも、どうしてそこまでアヌビスは……」
「ふふ、新入り君は何も知らないんですね」
リョウが悩んでいると、テミスが入ってきた。
「ではでは、情報屋の僕の出番ですね」
アヌビス部隊に入って長い二人も知らない情報を自慢するかのように、テミスは皆の中心に立つ。
「団長ことアヌビスは、測り知れない量の魔力を持つ体質の方です。その魔力は、常に大量の粒子を引き付けているんです。ですが、魔法を使っていない時でも、その効力は働くんです。体に大量の魔力がある。それは、成長の促進になって良いのですが、体を構成する粒子以外が体に大量に蓄えられるのは、命に関わることなのです」
本来、生き物の体は、成長しきったら退化する一方である。これは、成長期。つまり、体に粒子を取り込んで体を大きくする時期のことだ。それが過ぎたら、後は粒子を剥離してゆく一方となってゆく。
これは、引きつける魔力量が一定なのに対して、年月が経つにつれて体に必要な粒子が多くなるからだ。
年を取るにつれて体から疲れが抜けるのが遅くなるのも、壊れた粒子の交換が遅くなっているからだと言われている。
だが、アヌビスは普通とは違う体質だ。その普通ではない魔力量がその原因だ。
アヌビスは、無意識のうちに大量の粒子をひきつけてしまう。なので、体の再生治癒速度や疲労回復速度が極端に早い。歳の割りに幼い顔や小さい体は、成長するために大きくなった粒子をすぐに新しい粒子に変えてしまうからだと診断されている。
その症状からも分かることだが、アヌビスの体質は必要以上に粒子を体に取り込むことだ。
つまり、アヌビスの体は常に不必要で大量の粒子に飲み込まれそうになっているということだ。その状態は、戦士や魔法使いとしては理想だ。だが、アヌビスの場合は、度が酷すぎるのだ。
今すぐにも吐き出しそうな子供の口に、歯を折ってでも食べ物をねじ込んでいる。そんな状況だ。
「なので、その粒子を消費する何かが必要です。昔は、黒衣の死神の名の通り、戦いに明け暮れて消費していたそうです。ですが、軍に入ってからはそうは行かないのです。なので、マリアにあのタバコを作ってもらったそうです。赤は体に溜まった粒子を急速に体外へ放出する。黒は体から魔力が出ないように押さえ込むものです。なので、黒いタバコを吸った時の魔法は、濃縮された魔力を使っているので強力。ですが、常に首を絞められている苦しみがあるそうですよ」
「だから、あの野郎以外が赤いタバコを吸ったら、体の粒子剥離。黒いタバコを吸ったら、魔力製造停止だ。馬鹿でもその意味は分かるだろ」
つまり、赤いタバコを吸うと体が粒子になってなくなる。黒いタバコを吸ったら、押さえ込まれすぎて、二度と魔力が作れない。体を維持できなくなると言うことだ。
「まあ、それなりの実力者が吸っても、体調を崩すだけですむだろうがな。馬鹿みたいに吸わない限り、暴走した魔力を沈めたり、魔法効果除去にも使える薬みたいなもんだ。吸う時は、馬鹿野郎みたいに何十本も吸わないように気をつけるんだな。馬鹿」
ヘスティアは以前、赤の箱に入ったタバコを吸った経験をしている。
その時は、ただの興味本位で吸ったものなので、体の粒子を持っていかれそうになっている。なんとか得意の精霊術で奪われた粒子を補充して助かったが、一般人のようなあまり実力の無いものが吸うと、体の粒子を全て剥離されてしまう危険な薬だ。
なので、かけられた魔法の効果を中和するために使用するのは、本当に命の危機と言う時ぐらいにしかオススメできない薬だ。
「アヌビスって大変な体なんだな」
「俺の苦労が、少しは分かったか?」
リョウが理解すると、背後から聞こえた不気味な声に背筋を震わす。その声の元に皆の目線が集まる。
そこには、真っ黒なマントを引き摺りながら、黒いオーラを吹き出した赤い瞳のアヌビスがいた。
「あ、団長。お世話になってます」
「不機嫌そうだな馬鹿野郎」
グロスシェアリング騎士団の二人は、いたって普通に彼に接する。だが、アンスとケルンとリョウの三人だけは脅えている。
「アヌビス。お、おはよう。よく寝られたか?」
アンスが必死の作り笑いを見せるが、アヌビスの見下ろす真っ赤な瞳は冷たかった。
「ギャーギャー騒ぐ連中がいて、寝ていられるわけが無いだろうが」
のしのしと歩くアヌビスが通った後は、ひんやりした空気が流れる。それを肌で感じたテミスとヘスティアは、相当厳しい所に来ていると察知した。
今アヌビスの体の中では、魔力が押さえ込まれている。それでも大量に作り出される魔力がにじみ出ている。時期に爆発してしまうかもしれないからだ。
「アンスとヘスティアとリョウ、罰だ。今晩は貴様らで見張りをしろ」
それだけ告げると、アヌビスは馬車から飛び降りてしまう。
だが、そのタイミングを待っていたかのように馬車も止まる。
「今晩はここで停泊のようです。みなさん。準備してください」
何も知らないポロクルの声が荷台に届く。
「ちょ、なんであたしまで見張り役なんだよ。馬鹿野郎」
いつものようにヘスティアはアヌビスに噛み付く。すると、アヌビスはゆっくりと振り向く。
「ほう、貴様は一日中手綱を握ったポロクルか、この状態の俺に夜寝るなというつもりか? 貴様には、日中寝ている時間があっただろうが」
いつもとは違う攻め方にたじろぐヘスティアだが、彼女の横には笑みを浮かべるテミスがいた。
「そうだ。テミスはどうした馬鹿野郎。こいつもいるぞ」
こうなったら道連れを一人でも増やそうと、ヘスティアは試みる。だが、テミスは既にそれの回避法を持っていた。なので、テミスはまったく悩むことなく笑顔でヘスティアに事実を告げる。
「ごめんなさいヘスティア。僕は、ライランさんのお客さんなのです。なので、夜は彼のところで過すのです。では、みなさん。見張り、よろしくお願いしますね」
八重歯をキラリと輝かせて、その短い紫のミニスカートを翻しながらテミスは、荷台から飛び降りてライランのいる方へと走っていった。
「なっ! あの馬鹿。都合のいいことばかり言いやがって」
むきになるヘスティアだが、アヌビスは冷めた声でヘスティアを攻める。
「忘れたか。奴は自由奔放な旅人。誰にも縛られない縛ることの許されない存在だ。そもそも、奴に頼るほど危機的状況ではないだろうが。さっさと野営の準備をしろ」
アヌビスの一声で皆が荷台から降りる。外はすっかり日が暮れて星が見えるほどであった。
「ねぇねぇ、リョウ」
テントの準備をしようとしていたリョウの服の袖をミルが引っ張る。
「ん、どうしたんだ」
「今晩は、私誰と寝るの?」
その質問にリョウはしばし考える。今夜、見張りをするのは、アンスとヘスティアとリョウだ。一晩中寝ていられるのは、アヌビス、ポロクル、ケルンの三人だ。
いつもならルリカやアレクトが一緒だったミルだが、今夜は一人になるだろう。
「流石にケルンと一緒じゃ不味いだろうからな。たぶん一人になるんじゃないのか」
「そう……」
ミルは少し不安そうに曇った表情をする。
「もしかして、怖いのか」
「う、ううん。そんなことは無いよ」
必死に否定するミルの頭を軽くリョウは撫でてやる。
「心配するなって、俺以外にもアンスやヘスティアまでが見張りに入るんだ。安心して寝ていいぞ」
「うん。ありがとう。リョウ」
そのままリョウはテントの設置に入る。一人になってミルは、みんなの様子を眺めがなら、一人離れた所で座る。
「はあ、……夜に一人眠る。あの町だと私は、今夜どうなってしまうのだろう」
ミルの心の中には、神隠しが起きているあの町の思い出が浮かんできていた。
この物語はフィクションです。
登場する人物名・団体名・地名などは全て空想のものです。
実際に存在するものとはなんら関係がありません。
一部、誤解を招きやすい表記があるかもしれませんが、ご了承ください。
今回を持ちまして、休載に入らせていただきます。
この作品の問題を直してから、再び連載を始めたいと思います。
読者の皆様にはご迷惑をおかけしますが、ご了承ください。