第39話 神隠し戦−『満月の夜に新たな出現』
「ガタゴト、ガタゴト、夜道を進む〜。お空のレレルに手を振って〜」
幌を外した荷台から体を乗り出して上機嫌に歌うミルの歌声を聞きながら俺達は到着間近となったヴィルスタウンの打ち合わせをしていた。
満月と星が美しくミルも上機嫌に歌っていて心地がよい夜だ。
打合せと言ってもほとんどポロクルの指示を聞くだけになっていたのだ。本心を言うと、俺もミルと月を眺めていたいところだ。
「ヴィルスタウンには明日の朝ごろに着くでしょう。街に着いたら各自割り当てられた仕事をこなしてください」
それからはヴィルスタウンでの注意事項の説明が始まった。何度も聞いていたので聞き飽きていた俺は夜の聖クロノ国を眺めていた。大きな港町が近いので道は綺麗に舗装されていて竜車が大きく揺れるようなことはなかった。商人や旅人に配慮された街道だが、町や宿場すらない。草も伸び放題で竜車を止めて休めそうな所もない。暗い草原には聖クロノ国の象徴だと歌っているかのように風車だけが音を立てて存在を知らせていた。
「リョウ、聞いているのですか」
ポロクルに注意されて慌てて向きなおした俺は誤魔化しの苦笑いをポロクルに見せた。ポロクルも深く攻めるつもりはなかったようですぐに話に戻った。ポロクルが軽く流したのには周りの状況もあった。アヌビスとアンスは熟睡。ケルンとヘスティアは手綱を握っている。
そんな状況でポロクルの話を聞いているのは俺とアレクトとルリカしかいないのだ。何度も話していることの最終確認なのでムキになって話すことでもないのだが、策士のポロクルにしたら勘違いされていては困るからなのだろう。毎晩のようにこの話を聞いていた。
「いいですか、ヴィルスタウンは聖クロノ国の領土というだけではなく、他国の商人が多く訪れる街なのです。そんな街ではくれぐれも問題を起こさないでください。それと、メネシスやアレスにはくれぐれも見つからないようにしてください」
「見つからないようにって……俺の仕事は店番だろ。そう心配しなくてもいいと思うんだが」
ヴィルスタウンでの俺の仕事はミルとルリカをアレクト一緒に警護しながらの店の運営だ。偽りの商人とは言えそこまで忠実にしなくてはならないのかと思ったが、商売で賑わうヴィルスタンで商売をしない商人の方が目をひきつけてしまうそうだ。
「まあ、二人の警護に重点を置いて商売は二の次。損得は考えなくても結構です」
「何言ってるの。商売は儲けるものでしょ。やるなら徹底的にだよ」
真面目だけど楽しそうなアレクトを見てポロクルは作戦失敗の予兆を感じ取ったかのようだ。
「どのようにするにせよ、何かあった場合や他の応援要請には答えてくださいよ。商売に夢中になっていたなどのいいわけは聞きませんから」
俺たち以外のメンバーはそれなりに忙しい役を任されている。アンスとケルンは獣や魔物の線から、アヌビスはメネシスから、ポロクルは商人たちから、神隠しについて有力な情報を得られないか奮闘するらしい。
ヘスティアは元々、ヴィルスタウンの知事に話をするために俺たちに同行していただけだ。彼女はシルトタウンで作られた武器の管理をしている。それの輸出先のヴィルスタウンでの武器の流れが怪しいと考えてそのような行動をすることにしたそうだ。
「分かっているって、もう心配性だねポロクルは。もういいよね、解散にしようよ」
「そうですね……アヌビスの言葉を真似るつもりはないのですが、臨機応変に自分の実力をよく見極めて効率よく動いてください」
この打ち合わせをいつも閉めているのはアヌビスで、『自分の力で解決しろ。厄介ごとは全て消し去れ』といいくくって終る。実際、最後は個々の力に頼ることになるのは嫌でも気づいてしまっているのかもしれない。
「おい、竜車を止められそうな所を見つけたぞ。どうするんだ」
ヘスティアが眠気と不機嫌を混ぜた声で報告してきた。元々アヌビス部隊のメンバーではない彼女だが、竜の扱いはアヌビスに次いで上手いので竜車の操縦をよく任せている。さらに、今夜は見張りの役まで押し付けていた。
「なら、そこで止めてください。暗闇を進むのは迷い込む元ですから」
「けっ、元上官に命令かよ。ポロクルも偉くなったもんだな」
「ええ、間違いなくあなたの下でいた時よりも知識は豊富になりましたよ」
いつにないニコニコと嫌味に笑うポロクルに毒を吐きながらヘスティアは竜車を止めた。
「今夜の見張りは、私とヘスティア、ケルンで行います。……テントを張れる状況ではないですが、休んでおいてください」
そう言いながらポロクルたちは見張りの準備に入った。最後まで俺たちに付き合ってくれていたルリカとミルは疲れていたようで頼りない足取りで荷台の中で横になって目を閉じてすぐに寝息を立て始めていた。
竜車を止めたのは街道の脇にある草が伸びていない所だ。正確には伸びていないのではなく、何度も踏み固められている場所だ。馬車などを止めるための最小限のスペースしかないのに加えて、真っ白な岩や小石があちこちに転がっていてテントが張れる場所ではない。まあ、近くに小川が流れているので、ポカティに必要な水の補充にはこと困らない所だ。
残された俺とアレクトはそんなのどかな風景に小さく微笑んでいた。流石に俺も睡魔や疲れが溜まっていたみたいですぐに寝たい気持ちだ。
「それじゃ、アレクトまた明日」
俺が夜の挨拶をしようとすると、アレクトは俺の体の匂いをかぎ始めた。すると、彼女は少し嫌そうな表情を俺に見せた。正直、かなり傷つく。
「リョウ君。この前いつお風呂に入ったの。かなり臭うよ」
「えっと……フレッグの街にいるとき、だったような……」
本当はもう少し前だった気がする。前回から今までの間に血や汗やタバコの煙を一杯吸った軍服からは異臭を放っていた。
「ん〜、リョウ君顔は悪くないんだから身なりにも気を付けようよ。……よし、水浴びに行こうか」
「あのさ……やっぱり俺、眠いから寝るわ」
「そんなこと言って逃げようとしないの。ほら、服脱ぐの」
アレクトの腕力には逆らうことができず、小川の淵まで来たものの心地良く水浴びができる心境ではなかった。水浴びに抵抗があるのではない。むしろ好きな方だ。俺もさっぱりして寝たい日もある。
だが、相手がアレクトなのが問題なのだ。俺一人で水浴びをするならなんら問題ない。でも、彼女も軍服の上着を抜いて私も浴びますといっている。胸元に黒いさらしを巻いたアレクトを俺は直視できず、チョコチョコと見ることしかできない。そんなアレクトの胸元には輝く忠誠の銀色のアミュレがあった。
「お、俺はいいからさ。アレクト一人で入ったら」
「むー、女の子に嫌われても知らないよ。……清潔にするのは上流紳士の当然のたしなみなのに、我が部隊の男性陣ときたら……」
川の淵でぶつぶつと愚痴り始めたアレクトは短い茶髪にバシャバシャと水をかけ始めていた。アレクトが俺に向けている背中で黒いラインとして目立っている黒いさらしがアレクトの容姿に不似合いでありこの国の風土にも合っていない気がした。
俺は一人水浴びしているアレクトを白い岩に座りながら眺めていた。
「アレクトのそれって……さらしだよな。この国の文化なのか」
アレクトのさらしに目線を送っていると、アレクトが俺に冷たい目線を向けているのに気付いた。
「リョウ君……もしかしてそれが目的だったとか」
「い、いや、そんなつもりは決して……ただ、似合わないなあって思ってさ」
「うう、意外と失礼だね。リョウ君のそのアミュレよりかはマシかと思っていたのに……」
アレクトが指さしたのは俺が少し自慢げに首に掛けていたアミュレだ。戦いがあまりなさそうな時は短剣ではなくアミュレにしている。俺的には気に入っていたのに異性にそういわれると恥ずかしくなってくる。
「冗談、冗談、似合っているから、そんな目に見て分かるような落ち込み方しないでよ」
髪を洗い終わったアレクトは濡れた子犬のように首を振って水しぶきを飛ばして気持ちよさそうな笑顔を見せた。
「えっと……んー、ある人がね『軍人で戦うならこれの方が役立つだろう』ってくれたの。私も遠出や戦中じゃなかったらほとんどコルセットだよ。さすがに動きにくいからねぇ」
髪をかきあげたアレクトは脱ぎ捨てていた軍服の匂いを確認して少し悩みながらもそれを羽織って俺と同じ岩に座った。二人座るには小さな岩だったので、アレクトが密着してきて少し逃げたくなったが、腕を捕まれて笑顔を見せられた。
「う〜かわゆいねぇ。ウブウブだよ。でもね、リョウ君。色仕掛けには強くなった方がいいよ。この変態君」
そして、可愛くアレクトに頭をコツリと叩かれた。だが、小さな振動の次に首の骨を折る勢いで揺らす振動と傷みが頭蓋骨の一部分に発生した。あまりの痛さに俺は患部を押さえてうずくまった。
「痛い……なんだよ。女の子らしく小突くならいいけど、今の魔力込めただろ」
「そんな酷いことするはずないじゃん。うわ、血が出てるよ」
そう言われてよく触ってみると少し湿っている。アレクトじゃない。だとしたらこの痛みの原因は……。
そう思いながら辺りを見渡して一つ変わったものを見つけた。それはスイカぐらいの大きさの岩だ。その岩は小川に転がっている白い岩と同じものだが、一部分に少しだけ赤いものが付いていた。たぶんそれは俺の血だろう。それに、その岩は丸く、緑の草の真中に一つだけ置かれていてとても目立つのだ。俺たちが来たときにはなかったはずだ。
「岩が空から落ちてきた……なんて、ありえないよな」
「うにぃ、……うう、痛い。って、石?」
アレクトの頭にも白い石が当たったようで、二人そろって満月が輝く夜空を見上げて不思議そうに何かも分からないものを探していた。
すると、赤い真っ直ぐな線が黒い空に何本も引かれた。その線は星を結ぶように何本も現われたり消えたりを繰り返していて、星と赤い閃光の幻想的な夜空に俺は見とれていた。
だが、そんな素敵な空なのにアレクトの表情は笑顔と楽しそうなものから曇って緊迫した表情に変わっていた。
「来る。大きい……」
青くなったアレクトが俺よりも先に目を送ったのはアヌビスたちの方だった。だが、そのアレクトの目を一瞬でひきつけるかのように小川に大きな水しぶきと音を立てて何かが空から落ちてきた。
「ぺ、ぺ、ぺ。汚い水。うし、潰す」
小川の真中に立っていたのは一人の女の子だった。肩ほどの長さでゆるいウェーブのかかった金髪と赤い瞳で身長は130ぐらいだろう。歳はヘスティアと同じ14歳ぐらいかな。だが、その魔を秘めていそうな表情からはもっと年を取っているのかもしれないと直感で分かった。
そんな大人な雰囲気を放っている少女の着ている服はメイド服だ。赤を基準としたもので白いフリルをあしらっている。頭にはカチューシャとここまでは派手なメイドさんだ。だが、ミニスカに白ニーソとこちらの世界にしては異質な服装だった。
彼女はニーソに染みができたことに不機嫌そうな顔をしていた。そんな彼女が一度だけ俺とアレクトを見た。だが、俺らなど眼中にないようですぐに空を見上げた。
「襲って……こない。敵じゃないの」
剣を抜いていたアレクトだが彼女の興味がこちらにないことを知って、張っていた体が少しだけ緩んだようだ。
「どじったなぁ。あいつらウザイ」
女の子は笑顔で空へ手をかざした。すると、手の平から魔法陣が展開された。それも、7つもだ。アレクトほどの実力者でも魔法陣を複数展開させるのには時間を有するのに、彼女は何の苦もなく一瞬で魔法の準備を終えた。その時点で俺とアレクトは悟った。彼女は俺たちに興味がないのではなく、見なくても問題ない小石と同じと感じたのだろう。
「ウザイの邪魔」
彼女がそう言うと魔法陣から黒い鏃の付いた魔法で作られた槍が何本何十本も現われて黒い空へと伸びていった。そして、黒い宙でパリンとガラスの割れる音がした。
「くふふ、串刺し」
その宙には上半身だけだがガラスでできたような大きな像が串刺しになってとまっていた。その像は5体ほどあったが、全てが彼女の魔法の一撃で砕け散った。
だが、その串刺しになったガラス像を打ち砕いて現われたのは赤い閃光の雨だ。真っ直ぐに加速を続けるその光は彼女に容赦なく降り注いだ。赤い閃光で覆われた彼女の姿は確認できず、彼女の立っていた小川が沸々と煮えたぎる熱湯へと変わっていくのを見てその光の威力は前と変わっていなかった。
そう、俺はこの魔法を見たことがある。俺の予想を確実にするようにその魔法を使った人物、いや悪魔が空から高速で降りてきて、まだ蒸気で存在が確認できないのに彼女の立っていた場所に赤い球体を次々と叩き込み追撃を加え始めた。
黒い長い髪と真っ白な肌、コウモリの羽に鞭のような尻尾。人間からは悪魔とも呼ばれる魔物の統括者の一人。プリンセスが取り乱して魔法の球弾を絶え間なくはなっている。
「落ち着くのにゃ。よ〜く見た方がいいのにゃよ」
プリンセスの肩に手を置いたのはアロハシャツを着たジャックだ。彼になだめられてようやくその場所にあの少女がいないことをプリンセスは理解したようだ。だが、彼女は気が狂っていたわけではないようだ。
「あ、あれ。ですが、確かにここにナナがいたのですが……」
プリンセスが目を擦りながら俺たちとジャックを見た。そして、大きく飛びのいて俺たち三人に赤い閃光を容赦なく打ち込んだ。
プリンセスに最も近くにいたジャックがガラスの像を出して全ての攻撃を防いでくれたおかげで俺達は無傷ですんだ。
「ええっと、ちみたちは黒ジョーちゃんの子達だったにょにゃ。ごめんにゃ、驚かせて。今回はちみたちが相手じゃにゃいから安心するのにゃ」
そして、ジャックは大きな一歩でプリンセスの懐に入り短いアッパーでプリンセスの顎をたたいた。とても優しくて柔らかい動きに見えたが、プリンセスは大きく仰け反り高く飛ばされ小川に頭から落ちた。
「プリンセスちゃん。目は覚めたかにゃ」
びしょびしょになりながら立ち上がったプリンセスは咳と血反吐を吐いて小さく頷いた。
「あ、ありがとうございますジャック様」
「どうしたのにゃ。冷静なちみにしては珍しいのにゃよ」
「お恥ずかしいことに……お三方がナナに見まして、魔法をかけられたのだと分かっていたのですが、逆らうことができず……申し訳ありません」
ジャックが頭をかきながら大きな欠伸をして肩の力を抜いて首をぽきぽきとさせた。
「うにゃ〜、ナナの力は感知でにゃいし、眠いし、帰るのにゃ」
「申し訳ありません」
ジャックに自分の失敗を悔いているプリンセスが何度も謝っている。だが、ジャックは何も考えていないのか楽天的なのかニコニコ笑っている。
「気にしないのにゃ。くよくよするより、早く寝て一杯食べて楽しく遊んでまた探すのにゃ。ああ、ちみたちこの事は黒ジョーちゃんにはあまり話さないで欲しいのにゃ。って言っても、話しちゃうよにゃ。まあ、いいのにゃ。んにゃ、また会おうにゃ」
最初から最後まで笑っていたジャックは俺たちに手を振って黒い草原へと消えていった。そのあとを追いかけるプリンセスだったが、ピタリと止まって俺を睨んだ。そして、アレクトに一礼してそのまま走り去っていった。
「な、なんだったんだろうね。あれ」
「さあ、喧嘩にしては大げさだよな」
残された俺達は滅茶苦茶になった小川を見ながらその場所に棒立ちになっていた。
「行ったみたいだね」
舌足らずで幼声がした。この声はプリンセスが取り乱してでもしとめたい相手の声だった。
声に気付いて振り向くと、白い岩の上に座ったさっきの少女がいた。
「全然気付かなかった……あなた、何者」
アレクトの質問に少女はにこりと笑って見せた。
「難しい質問だなぁ。人間、獣、魔物、作り物、中には神と呼ぶ人もいる。さあ〜て、ナナは誰でしょう。ふふふ」
はっきりとしない子だ。そんな子供にアレクトは剣を抜いた。
「だったら、貴方は私たちの敵か味方か答えて」
「貴方って呼ばれるのは心地良くないなぁ。ナナちゃんって呼んでくれると嬉しいな」
「どれだけ力に自信があるのかは知らないけど、うちには神ですら手懐けられない人がいるの。素直に答えてくれるとたすかるのだけど」
「知ってるよん。アヌビスって言うんでしょ。本当に怖い人だねぇ。でもね、今はぐっすり夢の中だよん。くふふ」
初めははったりかと思った。だが、あれだけ大きな魔法が発動してから時間が経ったのにアヌビスが来ない。それどころか、見張りのポロクルやヘスティアもだ。彼らがナナの魔力を感知できていないというのだろうか。俺にでも分かるほどの膨大な圧力の魔力があるというのに。それとも、ナナの言うとおりアヌビスたちは寝ているのだろうか。
すると、ナナは剣を抜いたアレクトに近づいてきた。アレクトが剣を突き出そうとしたが、ナナが指先で剣先を押さえると、アレクトはそれ以上剣を進められなくなっていた。
剣に制限を付けられたアレクトは後ろに一歩退いて制限を解除した。
そのアレクトを追うこともせずナナは心地良い香りを嗅ぐように大きく息を吸った。
「いい香り。暖かな炎と優しい風。どっちもナナの大好物。やっぱり、こんな物よりずっといいなぁ」
ナナが座っていた白い岩をけるとそれは人間の女性の顔をした岩だった。上手く作られた石像以上で、嘆きや苦しみの表情が生々しく生きた人間をそのまま石像にしたかのようだ。
「貴様……ナナ、なぜ私の属性が分かった」
魔法を使う人間として、使える属性を敵に知られることは好ましくない。それなりの対策を立てられてしまうからだ。だが、アレクトはナナの前で魔法を使っていない。どれだけ優れた魔法使いでもまったく魔力を出していないアレクトからそれを探るのは無理だろう。アレクトも未知な存在に力を隠したかったらしく意識して隠していたようだ。
屈辱に染まるアレクトに笑みを見せたナナは小さく笑って答えた。
「だって……食べ物の種類ぐらい香りで分かるのよん」
そう笑うとナナは背中から白い翼を広げると空を飛んだ。
「それじゃあ、またさらいにくるね。アヌビスたちに、よい悪夢からの目覚めをって伝えてよん」
そう挑発的な台詞を残してナナは白い羽を散らしながら黒い空に消えていった。
草原に転がる白い岩は、人間の顔に見えたり手に見えたり足に見えたりと、意識すれば見えないこともないなと俺は感じていた。
この物語はフィクションです。
登場する人物名・団体名・地名などは全て空想のものです。
実際に存在するものとはなんら関係がありません。
一部、誤解を招きやすい表記があるかもしれませんが、ご了承ください。