プロローグ その2
練習みたいなもんですな。
私は斎藤香奈。不本意だけど、そこで這いつくばっている幸廣の幼馴染み。そりゃあ、小さな頃は仲が良かった方だと思う。だけど今は、その逆・・・。って言っても、私が一方的に嫌っている。幸廣は昔から変わらない、ずっと変わらない。そして、今も・・・。英輝に殴られて、机を巻き込んで私の足下にいる。口から血を流し、英輝を見上げている。そしてその目は、憎しみの目ではなく、希望に満ちた目、前を向いている。毎日のように殴られているのに、生気のある目。笑みを浮かべている。
・・・変わらない。悪意ある目で見られても、悪意ある言葉をぶつけられても、殺意ある暴力を振るわれても・・・。なんで、そんな目が出来るの?なんでこんなにも、イジメられているのに学校に来ることが出来るの?なんで笑みを浮かべることが出来るの?なんで反抗しないの?
なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?・・・気に入らない。気に入らない。気に入らない。気に入らない。気に入らない。気に入らない。気に入らない。気に入らない。だから私は、
「何、人の机をメチャクチャにしてるのよ!」
幸廣を蹴った。それでも笑みを浮かべている。・・・気持ち悪い!私の蹴りを合図に、クラスの皆が暴行を始める。幸廣は丸くなり、耐えている。しばらくして、動かなくなった。幸せそうな顔をして、気絶している。こんなにボロボロになっても、幸廣は死なない。時間が経てば、動き出す。だから、皆も気にしない。先生も気にしない。むしろ、『邪魔だから廊下に出しとけ。』と言う始末。・・・たぶん、ううん。確実に私達は腐っている。だけど、それが日常。それは、いつもの光景。だけど・・・、
「な、なんだ!」
英輝が声を上げる。そう、教室の床から光が溢れてきたのだ。よく見ると、ゲームとかでよく見る魔法陣のようなものが浮かび上がってくる。
「・・・何が起こっているの?」
未知の体験に恐怖する。クラスの皆からは悲鳴や怒号が聞こえる。そして、視界が白に染まっていく中で、ユキ・・・幸廣は白から滲み出た黒に、真っ黒な手に引き込まれていく姿を見ながら、全ては白に染まった。そして・・・、
見知らぬ場所に私達はいた。辺りを見回すと石造りの部屋・・・大広間のような場所だ。皆、戸惑っている。私もそうだ。そんな中、近付いてくる人がいる。皆も気付き、視線を向ける。・・・息が止まるかと思った。その人は、白い肌、ピンク色で緩やかなウェーブの長髪、大きな青い瞳に艶やかな唇、きらめく白いドレスを纏い、穏やかな笑みを浮かべている。人間離れした容姿の女性は私達を見て、スカートの裾を持ち、優雅にお辞儀をした。私も含めたクラスの皆は見とれてしまった。この女性に・・・。そして、私達が見とれていた女性が口を開いた。
「私はフェベニア王国第19代国王ハウゼンが一子、エディンと申します。ようこそおいでくださいました、勇者様方。」
行き当たりばったりな作者です。