未来への一歩
出逢い、別れるまでの三年間。
君と触れ合ったのは
高校最後の体育祭
フォークダンスの練習と本番のときだけだ。
時間にして一分もなかっただろう。
手と手を繋いで
僕は君の目を見れなかった。
君の手は冷たく、少し汗ばんでいて
儚く、弱々しかった。
「君」という言葉で思い浮かぶのは、君の姿。
「好き」という言葉で思い浮かぶのは、君の姿。
「恋」という言葉で思い浮かぶのは、君の姿。
「告白」という言葉で思い浮かぶのは、君の姿。
ふと思い出す。
思わず抱き締めたくなるような
美しく、儚く、愛おしい、その姿を。
だけど、それはもう過去の話。
僕は君から意識を逸らして生きていく。
それが、僕に課せられたものなのだろう。