第一章 SHOCKING PINK first part
復活してからスランプ続きで遅くなりましたがやっと更新できました。
この調子でどんどん更新していきたいです。
・ヌーチャーストーン
古代からある錬金術での唯一の成功作である。
宝石のように輝き、微弱な石は原子一種類
強力なものは多数の原子を操作ることができる。
その製法はほとんど、資料が残っておらず、
現代では、ごくわずかな資料を基に微弱な石しか作られていない。
古い遺産に使用されているモノと発電に使用されているモノ以外のヌーチャーストーン は、ほとんど、兵器に使われている。
【原子兵器の歴史:著者グラレ-バレル】
第一章 SHOCKING PINK
書類がバラバラと色々なところに散乱している部屋の中。右の横に青い髪が一房だけ出ている黒のツンツン頭が、椅子にだらけて座り、机に足を乗せ、手に持っている薄い画面を見上げていた。青色の右目と黒色の左目は、ある記事に目が止まる。
その記事は、昨夜、リーベルの瞳を盗んだ、怪盗 Wiseのニュース。
「あー、また俺が載ってる。」
ツンツン頭は、自分のニュースを見て変な気持ちになりながら、ダラリと、画面を持っている手を下に下げた 。
彼、ツンツン頭は、世間を騒がしている怪盗 Wise。
ここ、街の一角にあるマンション部屋に繋がっているの地下をアジトに様々なヌーチャーストーンを盗んできた、この都市で一番有名であろう怪盗だ。
「ヒマ。」
ワイズは今、昨夜盗んだリーベルの瞳が、ヌーチャーストーンか、普通の宝石かを別室で調べている、相棒・・・・草壁を待っているところだ。
アレが目的のモノだったいいんだけどなぁ・・・・・・・
盗んだモノ全てが、ヌーチャーストーンなのではない。
時々、盗んだモノが宝石だったこともある。
ヌーチャーストーンの色には、様々な色がある。
宝石では、有り得ない色のモノもあるのだが、
たいていのモノは、宝石と見分けが付かないと似ているため、特別な検査をしないと分からないのだが、
検査をするには、その遺産を壊すことになる。
そこで、世界連合と呼ばれる機関の決まりで、その検査は古い遺産に対して禁止となっていた。
だから、古い遺産の中でどれがヌーチャーストーンを使っているモノなのかが、分からないのである。あの赤いヌーチャーストーンは、情報屋から教えてもらったモノだ。
特別に安くしてもらったとはいえ、ハズレなら、情報料を払った意味がなくなる。
ワイズは、うーんと唸りながら、画面を放り出し、両手を頭の後ろに置いて、さらにだらけた。
しばらくすると、部屋のドアが、開く音がした。
ワイズがその方へ首を動かして、見る。
「相変わらず、だらけているんだな。」
そこには、手に赤い石を持った肩まで伸びた青い髪をした男が立っていた。
目元には、青みのある黒のサングラスを付けている。
「草壁。やっと、できたのかよ。」
「あぁ。」
男の名は草壁。ワイズの相棒で、データ関係の仕事が得意である。
現場では、セキュリティーシステムのハッキングをしたり、戦闘の時には、射撃で応援をしたりと、様々な面で、ワイズのサポートをしている。
ゴーグルは、いつも付けていて、ワイズもたまにしか、彼の素顔を見ることがない。
「それで、どうだったわけ?」
ワイズは、だらけていた体を起こし、机の上にあった足をソファーの上に動かし、アグラをかきながら言った。
「ヌーチャーストーンだったが、残念ながら、私達の探しているモノではなかった。」
それを聞いたワイズは、口をポカンとさせて、一瞬固まった。
「・・・・・・・・・・・・・えっ?」
ワイズの中には、呆れと絶望が入り交じっていた。
ヌーチャーストーンだけど、目的のモノじゃない?
と顔で、違うよな?と訴えながら、草壁を見る。
「残念ながら。微弱なヌーチャーストーンだよ。」
それを聞いた途端、ワイズはまたかぁあああと叫びながら、ソファーに寝っ転がった。
「あぁあ!!なんだよ!!!あれだけ、苦労してたのによぉ!!」
そのまま、ワイズはソファーの背もたれの方に体を向けた。そして、拗ねた顔を草壁の方に向けながら、訊ねる。
「でー、結局、何のヌーチャーストーンだったわけ?」
「カルシウムだ。」
ガバッと、ワイズは勢いよく起き上がり、ビシッと草壁を人差し指で指した。
「何?その体を丈夫にしそうな原子!?」
何も武器になりそうにない原子。
体は健康になりそうだが、ワイズにとって今は何よりも、武器になりそうな原子のヌーチャーストーンが欲しかったのだ
ハズレでも武器になりそうなものを求め、淡い期待を乗せてきいたのだ。
それが、カルシウムというのだから
落胆したのである。
「役たたないだろ!!!カルシウム!!!!!」
「消石灰とかにして、目くらましとかには、なるぞ。」
「そんなちっせぇ攻撃はいらねぇよ」
今時のGサツは、皆ゴーグル付きのヘルメットを着用しているから、目くらましにもならねぇよ。
Gサツ、怪盗達の隠語で「警察軍事機関」のことである。
グレイクローズドシティの政府は、「議長」1名に「代表」12名の議員制の都市国家。
そして、代表は二名一組で行政事務を行う「機関」を統制する。
機関は、「警察軍事機関」「科学開発機関」「教育指導機関」「経済税務機関」「医療福祉機関」「外交貿易機関」の6つ。
その中でも、「警察軍事機関」はグレイクローズドシティの治安を守る機関である。
「確かに他のサツならゴーグル着けてなかったから、効いたかもしれねぇ。てか、何でGサツの警官は防御装甲を着てんだよぉ。」
「この国は、世界一怪盗からの被害が多い国だ。しかも経験をつんだ奴等が最終的に訪れる場所。強い怪盗達に対抗するには、それなりの戦力が必要なのだろう。」
ゴーグルをかけ直しながら、草壁はさらに続けた。
「今の時代、軍と警察が合同となっているからな。同業者がよく言うだろう。『サツは、その国の軍事力を表す』と。」
人口が少ない都市国家時代、戦争がない国では、軍に人材をお送るのは無駄である。しかし、戦争が起きた際に国民を懲役することは禁止されている。そこで警察官に軍事訓練をさせて、軍人にする。そうすることで、警察と軍の両方の人数を削減しているのである。そして、セキュリティさえ役に立たない怪盗に対しては、軍が使用されている。
「他の国みたいにはいかねぇってか。昨夜の仕事が証明しているわけだしぃ。」
嗚呼、もう少し楽だとおもったのに・・・
そこまで聞くとワイズは寝転がりながら、呻き始めた。ワイズは世界一のヌーチャーストーンの宝庫であるグレイクローズシティだが、そのサツは弱いと考えていたのだ。彼の落胆は、明らかに彼の情報不足である。そんなワイズを見た草壁は呆れながらクローゼットまで行き、扉を開いた。
「この国に来て、初仕事だったからな。そんなすぐには『当たり』は出ないさ。」
そういうと、草壁はクローゼットからスーツを一着取り出し、ワイズにハンガーごと投げ渡し、ワイズに提案した。
「とりあえず、次の仕事を探そう。そうじっとしているより気が紛れそうだしな。」
ワイズは、うなずくと青のTシャツを脱ぎ、渡された青の縦縞の入ったワイシャツを着始める。
「シャドウショップ本店かぁ。オーナーはどんな人だった?」
シャドウショップは、この都市国家の地下に存在する闇市のことだ。他の都市国家に支店を持ち、世界一の規模の闇市。そのシャドウショップ本店のオーナーは、すべての支店も統括してるらしい。
もともとスーツのズボンとワイシャツだった草壁は、自分の上着を羽織り、ネクタイを手に取り、上を向いた。それを結びながら、難しそうな顔をして、その人物の顔を思い出す。
「今回の情報を売ったのは彼だ。初めて見たときは驚いたよ。なんせ、今までのオーナーとはぜんぜん違ったからな。」
ズボンも履き替え、ベストまで着終わったワイズは、鏡が立ててある棚まで行くと、コンタクトとスプレーを取り出すと、スプレーで髪の青い部分を黒に染めた。ワイズは、今まで行ったシャドウショップのオーナーを思い浮かべる。
んーなんか皆マッチョだったような気がする・・・
ワイズの中で、シャドウショップのオーナー=マッチョなイメージがあるようで、本店のオーナーを想像したワイズは、右目に黒のコンタクトを入れて、顔をゆがめる。
「マッチョを超えたマッチョなのか・・・・?」
黒のソフト帽をかぶったワイズの頭には、いかついゴリマッチョが浮かんだようだった。
シャドウショップとバトルシーンを入れると長くなりそうなので、今回は三つに分けます。次話からは通常シーンとバトルシーン、二つに分けるつもりです。