12(終)
……結局……
あれから、どうやらルーナの不自然な成長は止まったらしい。
義姉様にとっても、あの娘が世界で一番であることに変わりはない。それを保証するのは他の誰でもない、本人の願いであるはずだ。
白雪姫は、しばらく隣国に滞在するという便りがきた。
噂が本当なら、あの国の王子は人並み外れた一途さ、言い換えればしつこさの持ち主とのこと。
あの馬鹿娘が一方的に言い寄られて困惑しているのもいい気味だ。
いつも他人を振り回してくれたんだ。たまには自分が振り回されるのもいいだろうさ。
それとも、案外帰りたくないと駄々をこねているのはあいつの方かもね。
……結局……
思い出すのも恥ずかしくなるような台詞と共に粉々に砕け散った、鏡の破片を集めるのに一晩以上かかった。
指先が血まみれになったし、そんな指で何度も拭ったせいで目元も赤く腫れ上がってしまった。
集めた破片を寸分違わず元の位置にそろえてみてようやく分かったのは、師がどれだけ途方もない魔術をこの鏡に込めていたのかということだけだった。
術の中核を成していた鉱石がその輝きを失っていた。この鉱石こそが、鏡の精の機能を司っていたのだが、力を使い果たしたらしい。
だから、私は旅支度を調えた。
長旅になる。
ここから南方にある、小人達の住むといわれる鉱山に、鏡の鉱石が眠っているという。
7人の小人──ドワーフたちは相当風変わりで癖のある連中と聞いているが、そんなのは問題ではない。
どれだけ時間がかかろうとかまわない。どんな障壁があろうと関係ない。
私はもう一度、再び魔法の鏡を元に戻してみせる。
師がやったようにとんでもない情報収集能力を与えることはできないかもしれないけど、私の愚痴に付き合わせるくらいにはなってもらわないといけない。
そして、もう一度こう尋ねてやるのだ。
「鏡よ鏡。世界で一番美しいのは誰だい……ってね」




