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魔闘少女ハーツ・ラバーズ!  作者: ハリエンジュ
第十話『乙女心がわからない!? 詩織と千雪のすれ違い!』
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その7 そして少女は動き出す

★魔闘少女ハーツ・ラバーズ! 

第十話『乙女心がわからない!? 詩織と千雪のすれ違い!』

その7 そして少女は動き出す



teller:ナハト



 惑星オーディオを統べる王宮・オディキングダム。


 そこのテラスでロイヤルミルクティーが注がれたマグカップに口をつけているのは姫っちことアガペラバー。


 姫っちの桃色の髪が、風に僅かに靡いている。

 ついでに黒い猫耳も揺れる。

 姫っちの傍に置かれたレアチーズケーキは、オレがさっき地球で結構人気の高いケーキショップで買ってきた物だ。


 さっきと言えば、ネスも同じタイミングで地球に行っていた。

 アニマを出現させて、暴れさせようとした所でハーツ・ラバーちゃんたちに邪魔されて――なんていう、いつものパターンだ。


 先程から、ネスは苛立たしげに壁やら椅子やらに当たり散らしている。

 物に当たる癖、直した方がいいって言ってんのにな。


 それにしても。


 ブラックコーヒーに口をつけ、オレはオーディオの暗い空を仰ぐ。

 オレとネスは頻繁に地球侵略の為に地球にちょっかいを出しに行ってるけれど、その度にハーツ・ラバーちゃんたちに撃退されている。

 それどころか、ハーツ・ラバーちゃんはどんどんどんどん増えている。


 ゼロがオディキングダムから持ち出したラブセイバーは五つ。

 今、覚醒しているハーツ・ラバーちゃんたちは四人。

 あと一人目覚めれば、ハーツ・ラバーちゃんが揃っちまう。


 まずいなあ、と策を巡らせたくなる。

 ハーツ・ラバーちゃんが全員揃ったら、流石に厄介だな。

 思わず、苦い笑いを浮かべそうになった。


「ネスくんもナハトさんも、ダメダメだね」


 ふと、姫っちが口を開いた。

 それは何とも耳が痛いお言葉で。


 返す言葉もなかったのでオレはへらりと笑ったけれど、ネスはその辺の椅子を蹴り飛ばして姫っちを睨みつける。


「んだと、アガペ!? ケンカ売ってんのか!?」


「やーめろって、ネス。事実なんだからさ。わりぃな、姫っち。面目ないとは思ってるよ」


 どうどう、と二人の間に割って入ってネスを宥める。

 姫っちがオレらを責めるのも無理はない。

 何度も行っては失敗しているだけなんだから。


「ネスくんも、ナハトさんでも難しいって言うなら……私、ハーツ・ラバーに興味出てきたかな……ダーリンにも会いたいし……」


 姫っちがマグカップをテーブルの上に置く。

 ゆっくりと立ち上がって、ハイライトの無い瞳をオレたちに向けて。


 ぞくりとする程の緊張感が、瞬間的にオレらの間を流れる。


「……次は、私が行こうかな」


 そう、姫っちが静かに告げた。


 ああ、これはとうとう。

 ハーツ・ラバーちゃんたちもやばいんじゃないんかな。

 姫っちが本気を出したら、凄いから。


 でも、心配してやる義理なんて一個も無いのに。

 無い筈なのに、不思議と。


 あの子の――いつも無邪気に、馬鹿みたいに笑っているカーニバルラバーちゃんの笑顔が曇るかもしれないと考えたら、何故か一瞬、胸が痛んだ。

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