表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔闘少女ハーツ・ラバーズ!  作者: ハリエンジュ
第八話『千雪のジェラシー? こずえと千雪の距離のハナシ!』
81/109

その7 大切なトクベツ

★魔闘少女ハーツ・ラバーズ! 

第八話『千雪のジェラシー? こずえと千雪の距離のハナシ!』

その7 大切なトクベツ



teller:秋風(あきかぜ) 千雪(ちゆき)



「こずえちゃん、いい子だね」


 秘密基地で、拓海くんと二人きり。

 他愛もない話でひとしきり盛り上がった後、私はぽつりとそんな言葉を洩らした。


 拓海くんは不思議そうに眉を顰め、首を傾げる。

 何でそんな変な表情してるんだろう。

 こずえちゃん、素敵じゃんかよ。


「どこがだよ、おどおどびくびくしてるだけだろ、あんなの」


「そんなこと言っちゃって。大好きなくせに」


 拓海くんの相変わらずのこずえちゃんに対する素直になれなさに、思わず吹き出してしまった。

 そういう所が拓海くんの魅力だとも思うけど。


 しばらくくすくす笑った所で、拓海くんの視線を強く感じた。

 拓海くんの方を見ると、拓海くんは何とも言えない顔をしていて、その頬は赤くて。


 どうしたんだろう、と訊ねるよりも先に、拓海くんが口を開いた。


「……なあ、こないだの話だけど」


「こないだ?」


「……オレがねーちゃんを一番好きなんじゃないかって話」


「……ああ」


 我ながら恥ずかしい子どもじみた嫉妬をしてしまったと思う。

 こずえちゃんには申し訳ないことをした。


 でも、そのくらい、私にとって拓海くんはたった一人の特別だから。

 世界で一番、大好きだから。


 拓海くんが、また言葉を紡ぐ。


「……ねーちゃんは、そりゃ大事だよ。たった一人のねーちゃんだから。家族だから」


「うん、わかってる」


 それから、拓海くんは少し迷う素振りを見せて。

 ――でも、最後は私の目をまっすぐに見つめて。


「でも、千雪は……オレの一人だけの特別だよ。これは、自信持って言える」


 とくん。


 心臓が、不思議と甘く高鳴った気がした。


 なんだろ、この気持ち。

 いつもの胸が温かくなる感じとは、ちょっと違う。


 気のせい、かもしれないけど。

 でも、なんか、変な感じ。


「……ほんとに?」


「……ああ。すっげー大事だし大切」


「私は、拓海くんのトクベツ?」


「……おう」


「……そっか」


 嬉しいような、胸が締め付けられるような、不思議な感覚。

 でも、決して不快さはない。


 この気持ちは何なんだろう。


 首を傾げたくはなった。

 でもまあ、今はとりあえず。

 目の前の、この男の子がひたすらに大好きで。


「ぎゅーっ」


「は!?」


 拓海くんがめちゃくちゃ焦った声を上げた。

 一方私は、甘えるように拓海くんにぎゅうぎゅうと抱きついている。

 実際甘えてるんだけど。


「な、ななな何してんだよ!?」


「甘えたくなったから、ぎゅーって甘えてる」


「んなもん見たらわかるよ! だーっ! 離れろっての! 恥ずかしい!」


「いいじゃん、マブダチなんだから」


「急に現実突き付けてくんのやめろ!」


「何の話?」


「なんでもねーよ、千雪のばーか!」


 拓海くんの怒鳴り声が応接室に響く。

 拓海くんはしばらく私を引き剥がそうと奮闘していたけれど、やがて諦めてくれた。


 ヤッタ。これで、思う存分くっつける。


 ああ、なんだろ。

 私、今、すっごく幸せ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ