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魔闘少女ハーツ・ラバーズ!  作者: ハリエンジュ
第八話『千雪のジェラシー? こずえと千雪の距離のハナシ!』
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その1 もやもやジェラシー

★魔闘少女ハーツ・ラバーズ! 

第八話『千雪のジェラシー? こずえと千雪の距離のハナシ!』

その1 もやもやジェラシー



teller:秋風(あきかぜ) 千雪(ちゆき)



 拓海くんは、私のマブダチ。

 つまりは親友、ソウルメイト。

 ……だと思ってるし、私の中では拓海くんはいつだって私の『いちばん』だ。


 そんな拓海くんは、いつもお姉ちゃん――こずえちゃんの話をする。

 おとなしくって頼りない、といつも呆れ気味に話すけど。

 そう言う時の拓海くんは凄く穏やかな表情をしてるって、拓海くんは絶対気付いていない。

 本当はお姉ちゃんのこと、大好きなくせに。


 拓海くんがこずえちゃんのことを良く良く気にかけていることは凄くわかる。

 痛い程に、伝わってくる。


 それだけ彼が家族想いな証拠だし、それも彼の魅力の一つだとも思う。

 だから、こんな気持ちを抱いちゃいけない。

 頭じゃわかっては、いるんだけど。


「……なんだかなあ」


 いつもの秘密基地で、溜息を零す。

 溜息と共に洩れた台詞を拾った拓海くんが、私の方を見て訝しげに眉を顰めた。


「何だよ、急に」


 拓海くんの方を見て、目を合わせる。

 拓海くんの澄んだ瞳が、私の姿を映してくれる。

 こうして真っ直ぐに私を見てくれる彼が大好きだ、とても。


 ぐっと伸びをしてから、私は拓海くんの問いかけに応えた。


「なんか、私は拓海くんが世界で一番大好きだけど、拓海くんはそうじゃないんだよなあって思って」


 そう言った途端、拓海くんの顔がぶわあっと一気に真っ赤になった。

 そりゃもう、そのまま火でも噴き出すんじゃないかってくらい。

 発火するんじゃないかってくらいには。


「ほ、ほんとに何だよ急に! いきなり変なこと言ってんじゃねーよ!」


 拓海くんは狼狽えたように怒鳴り散らしたけど、私にだって言いたいことはある。

 ちょっとむすっと唇を尖らせて、私は言った。

 ほんの少し、拗ね気味に。


「だってほんとのことだもん」


「ど、どういう意味だよ」


「だって、拓海くんの一番は、こずえちゃんでしょ?」


「……は?」


 私の台詞に、拓海くんはきょとんと目を丸くした。


 小枝こずえちゃん。

 拓海くんの、たった一人のお姉ちゃん。

 凄く小柄で、内気で、でも私と同じく『ハーツ・ラバー』に変身して戦う女の子。


 ハーツ・ラバーについて詳しい説明を受けるのは、明日になっている。

 私がハーツ・ラバーに初めて変身した日は、もう時間も遅くてそれどころじゃなかったし。


 だけど、私が怪物をぶっ飛ばすことで何かが救われるなら、それは嬉しいことのように思えた。


 そんな私と同じ立場のこずえちゃんは、拓海くんの大切な人。

 家族の絆に勝てるわけがない。

 ほんと、わかってはいるんだけどなあ。


「こずえちゃんには、どう足掻いても勝てないんだよなあって思って」


「……そういうのって、比べるもんじゃなくね?」


 拓海くんが、私から僅かに顔を逸らしてぼそっと呟く。


「そうだけど、なんか……モヤモヤする」


 そう、モヤモヤする、モヤモヤするんだ。

 最初はこの感情の正体がわからなかったけど、多分これは所謂ヤキモチってやつなんだと思う。

 大切な親友のお姉ちゃんに嫉妬するなんて、私も随分と心が狭いと思うけど。


 拓海くんは、私がようやく出会えた、たった一人なんだ。


 ふと、拓海くんが何か小声で言った。


「……大体、お前とねーちゃんじゃ好きの意味が違うっつーの」


 良く、聞き取れなかったけど。

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