その4 拒絶
★魔闘少女ハーツ・ラバーズ!
第十一話『未来を夢見て! フューチャーラバー誕生!』
その4 拒絶
teller:小枝 こずえ
後日、私はまたミクちゃんの居るあの丘を訪れた。
ミクちゃんは相変わらずの無表情で景色を撮り続けていて。
そんな姿を見ると何故だか胸がぎゅうって苦しくなった。
初めて会った時、ミクちゃんは自分の死を望んでいるかのようなことを言っていた。
それはきっと、会いたいからだ。
かつての大切な友達に。
友達の居ない世界。
それがいかに息苦しいのかは、少しならわかると思う。
鈴原くんと出会うまで、私はきっと、死んだように毎日をただ浪費していたんだと思うから。
いつかナハトさんに突き付けられた孤独な精神世界も、苦しくて苦しくて仕方がなかった。
ミクちゃんは今までずっと、あんな想いを抱えて生きてきたんだろうか。
「あの……ミクちゃん……」
名前を呼ぶと、ミクちゃんは静かに振り向く。
やっぱり、その瞳には何の感情も宿っていない。
そのことが、私の心に確かな痛みを与えた。
ミクちゃんは、私を見ても何も言わない。
「あの……小野寺先生から、ミクちゃんの話、聞いちゃって……」
「……先生?」
「あ、えっと……小野寺先生、私の担任の先生で……」
「ふーん」
別段興味もなさそうな反応。
ミクちゃんは、世界の全てに対してこんな感じなんだろうか。
また、胸が痛くなる。
「あの……えっと……友達に会えなくなっちゃったのは……辛いと思う……」
視線を逸らしそうになる。
逸らしてしまえたらきっと楽だ。
でも、今は視線を逸らしちゃいけない気がして、ミクちゃんの目を見て話す。
「でも……死が救い、なんて言っちゃだめだよ……ミクちゃんには未来があって……ミクちゃんの友達もきっと、そんなの望んでないと思うし……」
「――きみに、何がわかるの?」
冷たい声。
一瞬、息ができなくなる。
ミクちゃんは、私をじっと見据えていて。
「きみに、ぼくの何がわかるの?」
「……それは……」
言葉に詰まってしまう。
だってミクちゃんの言う通り、私はミクちゃんのことを何一つ理解していないんだから。
「何もしてくれないくせに、何ができるわけでもないのに、口先だけの同情なんていらない。気持ち悪い」
「……っ、な、何でも……したい……」
ほとんど、無意識に出た言葉だった。
ミクちゃんは、眉一つ動かさない。
でも、本当に、ミクちゃんのことは放っておけなくて。
独りぼっちの辛さはわかるから、独りぼっちにはしたくなくて。
その為なら、私にできることなら何でもしたくて。
「やっぱり口先だけだ。きみにできることなんて限られてるくせに。偽善的だね」
だけど、ミクちゃんの口から出て来たのは拒絶の言葉。
息どころか、心臓が止まりそうになる。
原っぱに座っていたミクちゃんが立ち上がり、私の横を通り過ぎる。
「やっぱりぼくは、きみが嫌いだよ」
最後に、そんな言葉を吐き出されて。
情けなくもつう、と一筋の涙が頬を伝って。
私は情けなくもその場に崩れ落ちるように座り込んでしまった。
それだけで。
あの子への無力感が、私の足を止めてしまっていた。
ぽつぽつと孤独に響く自分の嗚咽が、私も、嫌いで嫌いで、仕方がない。




