1/6
25.5.25 ケジメ
「どうしてそこまでするんです。手も足も、
もうボロボロじゃないですか?!
あんなこと、してやる必要があるんですか?!」
「言いたいことは其れだけか…?」
「―それだけって、」
「悪いな。これは俺がやり始めたことなんだ、
俺が片付けなきゃ…」
「そんなに俺達は頼り無いですか?」
「違うさ。頼りにしてる、
負の遺産は、無い方が良い…
俺等が出来なかったことを、やりたかったことを
、お前達が成してくれ。」
「…」
「頼りにしてるぞ…」
「なんで、なんでそんなに優しいんですか。」
「―優しいんじゃない、これは只、ケジメを付けて
るだけさ。」
「…」
「―じゃあな…」
―駄目だ。この人は、俺達が止めても――
今の自分には、後ろ姿を見送ることしか出来ない、
其れが精一杯だった。
「俺達に出来る事はないのかな?」
「あの人が整えたのを、邪魔しないこと位かな。」
「―其れしか無いか…」
溜息が出た。
自分の始末を付けに行く、其れが自分で出来る状況
の人は幸運だ。周りに、自分の力に、恵まれている。