もうっ!
「もうっ! なんでいきなり抱きついてきたのかと思ったら夢で私が魔王軍に殺されたですって? もうっ! それは流石に心配性すぎ」
「ははっ...だよねぇ」
僕は一応予知夢的なものを見たとして話したのだが、やはり信用はされない。
いきなりこんなことを言っても絶対に信用されないのは事実だ。
だけど一応言っておいた方がいいだろうと思い話したのですが...。
「...はぁ。どうやって魔王軍がこの小さな村に勇者が生まれていると分かるんですか? この村は閉鎖的で付近の町や村ともそこまで友好関係がないんですから」
と言われるのがオチである。
それもそうだ。
チュートリアルの範疇では確かに外のマップに出ることはできても隣町にまで行くことはできなかった。
しかし、それはあくまでもゲーム内での話であり今の世界とは少々違っているともいえよう。
なぜなら、あのイベントが少し早めに起きたのだから、今回のループでも再びあのイベントが早めに起きる可能性は否定できない。
もう一度あの惨劇が起こらないようにするには...と考えた時に僕は思いつく。
(できるかは知らないけど、最初の薬草採取イベントの時に隣町にくらいまで行ってみようかな)
そう、最初の村ではロクな武器も防具も売っていないし、御守りすらないので負けイベ回避するための装備を集めるのは流石に無理ゲーすぎる。
なのでまずはそこに向かおうと思う。
ということは...。
(主人公であるメルが僕を選んでくれないとね)
最初に選べるNPCは3人いて近距離剣士のセリア、中距離魔法使いのユシア、遠距離弓使いのレインだ。
残念ながらマフユはその時に一緒には連れてはいけないので残念だった記憶がある。
(まあ、それはいいだけどさ。とにかく僕が選ばれるようにメルの行動を誘導しないとね)