表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/12

最初から

 それから、私達は付き合いはじめました。何度かデートに行って、思っていたよりもずっと優しく、良い人だったので、付き合う事にしました。

 

 もしかしたら、この文章を読んでいらっしゃる方は、私をとんでもない尻軽女だと思うかもしれません。ただ、私は夫に対して、最初から、ある種の雰囲気を感じ取っていたのだと思います。それは何と言えばいいかわかりませんが、ある誠実な、真面目な、あるいはどんなにふざけていても、その底は覚めているというような…うまく言えませんが、そうしたある感触が、私にとってそれほど嫌なものではなかった、というのは彼と出会った当初から私の中にあった感覚です。私はいってみれば自分のその感覚を信じて、彼と付き合いだしたのですが、これはなかなか、人には伝わりづらいものかもしれません。

 

 とにかく、私は夫と付き合いはじめました。一年後に私達は結婚するのですが、結婚したあとに、夫に気になった事を質問してみました。付き合うにしても、どうしてあんな変な、ぶっきらぼうな、唐突な言い方をしたのか、と。夫はへらへらと笑ってまともに答えようとしませんでした。それで、私は次のように聞いてみました。

 

 「私の事、もしかして最初から好きだったの?」

 

 「うん、まあ…そうだよ」

 

 夫はそう言いました。夫は大の照れ屋ですので、それ以上は言いませんでした。それでも、その時の私は十分嬉しかったと、ここではそっと書いておく事にしておきましょう。あのぶっきらぼうな呼びかけは、実は深い感情から来たものだと、夫の私に対する態度はそういうものだと、私は思い込んでいたいのです。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ