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追放された蘇生術師の、死なない異世界放浪記  作者: ココアの丘
第1章 王都追放篇
32/248

あの大ヒットアニメの?

 そして他の三人と、それから参考までにジルベールの鑑定結果は、こんな感じだった。順番に、ジルベール、黒木、新田、大高だ。


・ジルベール

【種族】ヒト

【ジョブ】騎士

【体力】31/31

【魔力】7/7

【スキル】強斬 連突き 打撃耐性 剣 盾

【スタミナ】 43

【筋力】 41

【精神力】15

【敏捷性】5

【直感】3

【器用さ】1


・黒木

【種族】マレビト

【ジョブ】農術師

【体力】11/11

【魔力】12/12

【スキル】栽培

【スタミナ】9

【筋力】9

【精神力】12

【敏捷性】4

【直感】1

【器用さ】4


・新田

【種族】マレビト

【ジョブ】格闘家

【体力】15/15

【魔力】6/6

【スキル】格闘術

【スタミナ】13

【筋力】14

【精神力】5

【敏捷性】7

【直感】3

【器用さ】2


・大高

【種族】マレビト

【ジョブ】魔術師

【体力】8/8

【魔力】13/13

【スキル】土魔法

【スタミナ】6

【筋力】8

【精神力】13

【敏捷性】2

【直感】2

【器用さ】4


 ぼくは内心、うなってしまった。

 数値が、ぜんぜん変わっていない。

 ぼくはまあ、いいとしよう。ある程度のステータスになってしまっているから、もうゴブリン程度では、数値が上がったりスキルを覚えたりはしないんだろう。それでも、ジルベールと比べると、かなり見劣りするけど。

 だけど、黒木たちのステータスまで変わっていないのは、どうなんだろう。三人がどんな数値だったかなんて、正確には覚えていないんだけど、少なくともスキルのほうは、初期値のままだ。他のステータスも、けっこうな数の魔物を倒したのに、たいして目を引くものにはなっていない。新田だけは体力や筋力が高めだけど、これはたぶん、格闘家というジョブのおかげだよな。

 どうやらこの世界は、「魔物を倒すと経験値がたまってレベルアップ」と言う、ゲームみたいなシステムにはなっていないらしい。となると、残るは「鍛錬すればステータスアップ」になるのかなあ。この三人、それなりに鍛錬はしてきたけれど、チャンスがあれば手を抜いていたのも間違いないからね。数字に動きがないのは、その手抜きの成果かもしれない。

 どちらにしろ、ステータスというものは、そんなに簡単に上がるものではないんだろうな。とっても現実的な結論だけど。


 ただ、だとすると不思議なことがあった。

「じゃあ、どうしてぼくのステータスは上がったんだ?」

 スキルはびっくりするほど増えている(その内容には偏りがあるような気もするけど)し、体力などの数値も、最初のころと比べたら、倍近くになっているものもある。どうしてこうなったんだろう。最初は訓練の成果が出たのかと思ったけど、黒木たちの鑑定結果を見る限り、そう言うわけではなさそうだ。

 でも、実際にステータスは上がっているんだ。いったい、なぜ?


 これについては、ぼくには一つ、考えていることがあった。

 といっても、アイデアというか思いつきレベルの話で、確信を持ってこれだ、と言いきれるわけじゃない。でも、この三人とぼくとの違いというと、あれくらいしかないと思う。格好をつけていえば、消去法による推理、ってやつかな。もしもぼくの考えがあっていれば、これはぼくにとって、逆転のチャンスになるかもしれないんだけど……。

 ヒントは、子供のころに夢中になった、あの大ヒットアニメだ。


 そんな、ちょっとうわつき気味のテンションでシュタールに戻ってみると、なんだか様子が変だった。「北門」と呼ばれている北側の出入り口が、昼間なのに閉じられていて、その両脇には、村の若者二人が立っていた。二人とも、手にお手製の槍のような武器をを持っている。いつもなら門番や見張りなどは立てていない、単なる入り口なのに。

 もちろん、ぼくたちは門を通してもらえたけど、村の中の雰囲気も、なんとなくあわただしかった。いったい何があったんだろう。いったん、村長宅の離れに戻って待機していると、しばらくしてジルベールが訪ねてきた。開口一番、彼は言った。

「おれたちの留守中、村がゴブリンに襲われた」

 ぼくたちはびっくりして、ジルベールの顔を見つめた。

「大きな群れが侵入したわけではない。十匹程度の小グループが、開けたたままになっていた北門から侵入して、村人と鉢合わせになっただけだ。だが、十匹程度と言っても、こっちは満足な武器も持たず、戦闘の訓練も受けていない村人だ。簡単な相手ではなかった。戦闘で三人の男性が負傷し、女性一人が逃げるところを襲われて、大きな傷を負ってしまった。

 これはオレのミスだ。異常事態と知りながら、十分な注意喚起をしなかった」

「しかしジルベール殿は、門を閉めておくように、と村長に言っておられたではないですか」

 大高が反論したが、ジルベールは、

「それでも、もっと強く言っておくべきだった。オレも、もちろん村長も、危機意識が足りていなかった。十分すぎるほどに、兆しはあったんだからな」

 そして、この状況を団長へ報告するために、村から人を出してもらったところだ、と付け加えた。

 この世界には「通信の魔道具」と言うものがあって、それを使うと、遠く離れた相手にも文字を送ることができる。そこそこ大きな街なら、そこにあるギルドや、そこを治める貴族宅に置かれているものなんだけど、この小さな村には、そんなものはないようだ。

「おそらく、なんらかの応援がくると思うが、それまでは、おれたちだけで対応しなければならん。そこで、明日からの訓練の方針を、変更することにする。

 主眼はゴブリン駆除ではなく、村の防衛だ。オオタカたちは今までどおり、村の周囲や森の中を巡回してくれ。ただし、森の奥深くに行く必要はない。直接、村の脅威になりそうな、村に近い場所を重点的に警戒してくれ。

 それから、オレは村に残ることにする」

 え、と黒木が声を上げた。

「しばらくは、ゴブリンどもの警戒をしつつ、村の若いものを集めて、訓練を行うつもりだ。訓練と言ってもごく簡単な、武器の扱い方を教える程度のものになるだろうが、それでも、しないよりはましだろう」

「ジルベールさんが残るのなら、ぼくらも一緒に残った方がいいんじゃないですか?」

 ぼくが提案したが、ジルベールは首を振って、

「いや、やはり森の中がどうなっているのか、情報はつかんでおきたい。そういう意味では、おまえたちの任務はゴブリンの退治ではなく、やつらの動きをつかむことがメインになる。くれぐれも、無理はするな。生きて帰って、オレに情報を届けろ。わかったな」

「って事は、明日からはおれたちだけでやる、ってことですよね……」と黒木。

「そうだ。実戦では、危なくなったら出てきて助けてくれる、そんな便利な助っ人などいない。これも訓練の一つ、いや、これからが本物の訓練だ思って、気を引き締めて臨め」


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