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3/12~

 3/12から


 ここから、電気がつくまではほとんど同じことの繰り返し。

 食料を探し、ガソリンがあるところを探し、ラジオを聞く。

 ラジオから流れてくるのは、災害情報のみ。たまにACのあれ。聞きすぎて、ACのCMが嫌いになった。

 日が明けたら起きて、日が沈むのと同じくらいに寝る。

 何もやることがなかった。災害情報を聞くだけだった。

 当時の私はゲームを電池が切れるまでやっていた。正直、暇だった。何もやることがない。ラジオは災害情報のみで、私の近くにいるのは大人だけ。

 地震の時にそんなことを考えているのかと思うが、少なくとも私は電気がつくまでのあの一週間くらいがとてつもなく暇だった。昼寝をしても、少しの揺れで起きてしまうからあんまり寝られなかった。


 そんな中、家族から同級生が一人津波に巻き込まれて亡くなったと聞いた。

 私は、彼とはそんなに仲良くはない。同じクラスになったことがない。幼稚園の時に少し遊んだ程度だ。

 それを聞いたとき、「そうか」と割とあっさりと受け入れられた。薄情だなとは思う。

 彼を思い出さない日もある。


 けれど、彼を思い出さない年はなかった。


 必ずだ。震災が近くなると必ず彼のことを思い出す。

 顔も声も、もう思い出せない。ただ、名前だけはずっと思い出せるのだ。こんな薄情な奴でも名前だけは思い出せるくらいだ。おそらく彼と友人だった人たちはずっと覚えているのだろう。


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