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心のささくれ

心のささくれ~中学校時代より、折れた前歯とサッカースパイク~

作者: 山本大介

 ふとたまに思い出す、記憶の一ページ。


 人には心に残る苦い思い出が一つや二つあるという・・・私は、一つ二つどころではないな、結構ある・・・いや、かなりある(笑)という訳で、ふと今だに思い出す、心のささくれを披露したい。


 それは中学生の多感な頃、親戚の甥っ子と家でふざけて遊んでいた時のこと、ソファか何かでふざけて跳ねていたら、彼の後頭部が、私の歯にぶつかり、右の前歯が半分ぽっきりと折れてしまった。

 なんという石頭・・・それまでの笑顔から呆然とする私と、困り戸惑う彼がいた。

 お互いに苦い思い出だっただろう。

 ふふふ、数十年経った今はいい思い出と苦い思い出。


 歯医者に行くと、神経がやられているとか何かで(正確に覚えていない)、前歯はぬかれてしまった。

 そこには差し歯が入った訳だが、かみ合わせを合わせる為に下の歯を削るので、それが痛い事、痛い事、もうねアレは泣くよ。

 終わった後も痛みはしばらく残って、さらにその差し歯が数回外れるものだから、たんびに歯を削られた。

 あんま外れるので終いにコーンみたいな黄色い歯を埋め込まれてしまい、学校に行くのが恥ずかしくて、恥ずかしくて、真っ黄色なんて、多感な年頃にはないよな絶対にない・・・怒りと憤りを内に秘めていたなあ。  

 そこの歯医者は以来いかなくなった。

 そういう気持ちを隠しつつ学校に行く、私・・・実に健気なり(笑)。


 それから、甥っ子の両親からお詫びにと、サッカースパイクが贈られた。

 なんだか、申し訳ない気持ちがあったが、前のスパイクが痛んでいたので、やったーと箱を開けると・・・白いスパイクがそこにあった。

 一瞬、固まる私。

 当時は黒のスパイクが主流で、白なんて履いてるヤツは上手い人か、目立ちたがり屋ぐらいだった。

 察してよ~と子どもながらに、震える手でスパイクを持つ私。

 いや、なかなかいいじゃないかと自分に言い聞かせるが、なかなか心に納得がつけられない。


 しかし、貰った以上履かない訳にもいかず、部活で履いてみると白い目で見られた。

 やはり、やはりの反応である。

 それでも一月は履いただろうか、でもある日からそっと白いスパイクを家に持ち帰り、前のスパイクで部活をするようになった。



 子どもなので如何ともしがたいけど、勇気をもってあの時「痛い」「恥ずかしい」「黒のスパイクに変えて」と言っていたら、少しは状況も変わっていたのかもしれないけど、まぁ当時の自分でははしゃーない。

 ていうか、出来なかった。



 たまに思い出す。

 心のささくれの一つ。



 ささくれひとつ書きました。

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― 新着の感想 ―
[一言] むごすぎる… (>_<) 甥っ子との遊びで、肉体的代償と他者からの精神圧殺を味わうなんて… 社会ではどうしても浮いたら損ですもんね~ 山本さんの言う通り中学生じゃあ、なかなかユーモアで切り…
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