30ー4.男達の休日~美少女とのパラダイスを添えて~
チャラい若者三人はリーネ達に迫る。
「リーネ様! こいつらを始末するように命令をください!」
「ダメよバレッタ。こんな所で揉め事は起こしたくないわ」
「だったらどうするのです!」
「信じて待つのよ。あいつらを」
「こんな状況で誰が助けに来るんだよ・・・さあ、俺と遊ぼうぜ」
セイがリーネの腕を掴もうとした。
その瞬間、ある男がセイの肩に腕を回し耳元で裏声を発した。
「そんなに遊びたいんだったらわしらと一緒に遊びましょ!」
「誰だ!」
セイが後ろを振り返った。
そこには五十人は超えるほどのおじさん達に囲まれていた。
「暇なおじさん達じゃよ」
「お前らおっさんに用はねえんだよ! おいこいつら全員潰すぞ! ジョウ! ベルト! 手伝え!」
セイが取り巻き達に指示をしようと周りを見た。
取り巻きの一人肥満体型のベルトはゲイルに絡まれていた。
「おい! なに勝手にうちのアイドルにちょっかいかけてんだ? えぇ?」
「この子は僕の物だ!」
「うるせえデブが!」
俺はベルトの顔に渾身の右ストレートを放った。
ベルトはその巨体にもかかわらずパンチの勢いによって数メートル飛んでいた。
「おい! 立てよデブ! こんなんじゃあ終わらねえぜ!」
「ひいぃい!」
ぼさぼさの黒髪の男、ジョウにはカイが絡んでいた。
「汚い手でうちの女の子に触れようとしちゃってんの? ・・・僕ですらまだそこまで行ってないのに!」
「うるせえ! お前が遅いだけだろうが!」
「問答無用!」
「てめえみてえなガキが一人で俺に勝てるとでも思っているのか!?」
「誰が一人で戦うって言ったよ? なあ皆!」
「「「うおおおおお!」」」
カイの後ろに居た総勢五十名のクリスタリア王国軍の皆さんはジョウに対して全力で襲い掛かった。
「ひぃいい! 助けてセイさん!」
ジョウは男の波に飲まれていったのであった。
女の子とイチャイチャしたかったんだろうが男とイチャイチャする羽目になるとは新たなトラウマ誕生だな。
「残りはおぬしだけのようじゃな」
「クソ爺の分際で調子に乗んなよ!」
セイはグレイの胸に向かって思いっきり殴った。
「ぐああああ! 殴った俺の方がダメージ食らうなんて・・・なんて硬さなんだ!」
「その程度か?」
グレイは余裕そうにセイに向かって挑発した。
セイは逃げる事が出来ずグレイに向かって立ち向かうために拳を振り上げた。
「クソおおおお!」
グレイはセイの攻撃を手で防いだ。
そしてグレイの拳がセイに直撃し数メートル飛んだあと気絶した。
それから数分後、セイは意識が回復し目を覚ました。
そこには信じられない光景が広がっていた。
「こ、ここは!?」
セイは首から下を砂の下に埋められ首以外全く動くことが出来なかった。
「な、なんだこれは!? 動けねえ! ジョウ!? ベルト!?」
近くに居たジョウとベルトも同様に首から下が砂に埋められていた。
「おい! これは一体どういう事なんだ!? 何やってんだこれは!?」
「何ってあれじゃよ・・・海で定番のやつ」
「海で定番? ・・・っは! 生き埋め?」
「そんな定番あってたまるか! どこのマフィアだ! マリアナ海溝に沈めっぞ!」
あまりにもぶっ飛んだ回答に俺は突っ込まざるおえなかった。
「じゃあこれは一体なんなんだよ?」
「・・・スイカ割だ!」
セイはスイカを探すため周りを見渡した。
だが、スイカらしきものは影も形もなかった。
「・・・? ここにスイカなんて無いぞ」
「何言ってんだ? ここに三つあるだろ」
俺はセイを指で指した。
「・・・もしかして俺達だったりする?」
「お前ら以外にどこにスイカ役が居るんだよ」
「いやいやおかしいでしょ! どうやったら俺達がスイカに見えるんだよ!」
セイの悲しい抗議は俺の耳に届くことは無かった。
「準備は整ったし始めるぞ」
「「「おおおお!!」」」
「無視か!? 無視なの!?」
「じゃあやっちまおうか」
俺達はスイカをたたき割るのにふさわしい武器を手にしてチンピラ三人組に迫っていった。
「やめろ! やめてくれ!!!」
その後、俺達はチンピラを殺さない程度にスイカ割を楽しんだ。
ある程度遊び終わったのでチンピラどもを開放してあげたが腰を抜かしてしばらく立てずにいた。そして小鹿のような震える足でその場を去っていった。
「あら生かして帰すなんて随分優しいのね」
「命の代わりにとんでもないトラウマは植え付けたがな」
グレイに関しては本当に英霊剣心デブラスネーヴァを取り出して本気で斬りかかっていたからな。
寸止めか掠る程度だったがあれは一生物になるだろうな。
「今日は色々あったけど楽しかったわ」
「またやってもいいんだぜ」
「暇があったらね」
そうして俺達の楽しい休日が終わった。