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30ー3.男達の休日~美少女とのパラダイスを添えて~

 俺はカイに以前約束したことを思い出した。


 そう言えば俺の目的を話すんだったな。


「カイ・・・俺の目的を知りたいか?」


「いきなりどうしたんだよゲイル」


「俺の事を話すなら今しかないかなと思っただけだ」


「ゲイルが話してくれるんだったら知りたいかな」


「そうか。あれはカイ達と出会うほんの少し前の話だ・・・」


 俺はカイと出会う以前にあった事、俺が別の世界の人間だという事を話した。


「それは許せないね! 自分の都合で呼んでおいて違ったら殺すって意味わからないよ! それにダリウス王国がそんな一方的な虐殺に近いことをやっていたなんて・・・ますます怒りが湧いてくるよ」


 カイは俺の出来事に対して自分の事のように怒っていた。


 俺が自分の事をこんなに話すなんてな。


 そんな友人は今まで一人もいなかったからなんかむず痒いな。


 だが、そんな痒さも心地良い。


「ああ、そうだ。だからこそ俺は目的を果たす為にここに居るんだ」


 俺がカイと話していると黒髪を頭の上でまとめた美女に話しかけられた。


「随分楽しそうですねゲイル・リバスター」


 そいつの頭には黒い角が生えていた。


 見たことあるそいつには怒りすら覚えるほどの人物だった。


「お前は・・・アンダー!」


「え? ゲイル・・・あのダイナマイトボディーの美しいお姉さんと知り合いなの!?」


「あいつは魔族の実質的支配者で俺が殺すべき対象の一人だ」


「これがゲイルを貶めた一人・・・」


「何をしに来たアンダー! 俺を殺しに来たのか?」


「違いますよ・・・考えが野蛮ですね。ただ様子を見に来ただけですよ。元気にしているのかなと・・・」


「お前は上京したての息子を心配する母親か!?」


「誰が誰の母親ですか!? そんな大きな息子を生んだ覚えはありませんよ!」


 アンダーは顔を赤くして大きな声で否定した。


 俺もお前みたいな母親なんてごめんだ!


「というか俺がどうしてここに居るってわかったんだ?」


「あんな大規模な魔法を使える魔族は限られてますからね・・・私利私欲のために天候を変えたのは笑いましたけど」


 アンダーは小さく笑った。


 なんだこいつ本当に何もしない気か?


「本当に様子を見に来ただけなのか?」


「最初からそう言っているではありませんか」


「だったら疑問が残る。俺を生かせばお前の目的、初代魔王復活が達成できないだろ。なぜ俺を殺しに来ない?」


「面白そうだから生かしているだけですよ」


「いつでも殺せるような言い草だな?」


「ええ、いつでも殺すことは可能です。でも、私も私で目的があるという事ですよ」


「お前の目的のための俺は生かされていると?」


「自信過剰なのはある意味美徳ですが、うぬぼれが過ぎると思いますよ」


「なんだと!?」


 俺がアンダーの挑発に乗りかけた瞬間、リーネ達が居る方向から悲鳴が聞こえてきた。


「キャーーーー!」


「なんだか忙しそうですね。顔も見れましたし私はこれで失礼いたします」


「まだ話は済んでねえぞ!」


「話す機会はそのうちあると思いますしその時に話しましょう。瞬間移動(テレポート)


 アンダーはその場に魔法陣を生成した後消えた。


「どっか行きやがった・・・」


「ゲイル、リーネ様の所へ急ごう。何かあったのかもしれない」


 俺とカイはリーネ達が居るであろう方向に向かって行った。


 その頃リーネ達はチャラついた若者三人に絡まれていた。


「何がキャーだよ。ちょっと遊んで欲しいから手を握ろうとしただけじゃん」


 ぼさぼさの黒髪の男が困り顔でそう言った。


 リーネは他の子達を守るように男達の前に出た。


「あなた達一体何者よ! ここが何処かわかっているのかしら?」


「うひょー上玉じゃん。セイさんこの子俺に相手させてくださいよ」


 ぼさぼさの黒髪の男は後ろに居た茶髪で耳にピアスをつけたリーダーのような人物に声をかけていた。


「何言ってんだジョウ。そいつは俺が貰うんだ。お前は後ろの巨乳ちゃん達と遊んでな」


「え~・・・仕方ないっすね」


「お、おでこの可愛い女の子が良い。耳が可愛い」


 もう一人の男がハユに近づこうとしていた。


 その男はスキンヘッドで超肥満体型だ。


 興奮して息が荒くなっていて気持ち悪さ倍増である。


 ハユは生理的に受け付けないのか一瞬でリーネの後ろに隠れた。


「ひぃ! ・・・リーネ様」


「なにハユちゃんに色目使ってのよ! このデブ!」


「誰がデブだぁ! おではぽっちゃり体型だ!」


「どっちも変わらないでしょ!」


 そのデブは顔を急に赤くし今にも暴走しそうな勢いだった。


「あ~あやっちまったな。こいつデブって言われると手が付けられなくなるぐらいに暴れるんだわ・・・でも、今は黙っておこうか?」


 セイがデブに耳打ちをするとデブは急に怯えだした。


「わ、わかった・・・」


「まあ落ち込むなってベルト、これからこの可愛い女の子をお前の好き放題出来るんだぜ? 想像するだけで興奮するだろ?」


「はあ、はあ、はあ、セイさんおでもう耐えられないよ」


「そうだな。じゃあさっそく楽しむとするか」


 チャラい若者三人はリーネ達に迫る。


「リーネ様! こいつらを始末するように命令をください!」


「ダメよバレッタ。こんな所で揉め事は起こしたくないわ」


「だったらどうするのです!」


「信じて待つのよ。あいつらを」


「こんな状況で誰が助けに来るんだよ・・・さあ、俺と遊ぼうぜ」

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