25.ルーエンブル領奪還作戦その後
前回のあらすじ
ルーエンブル領領主バード・ルーエンブルを何とか打ち破った
それによりゲイル達はルーエンブル領をダリウス王国から奪い取るという偉業を成し遂げたのであった
ルーエンブル領の戦いから一カ月の時が立った。
その間ルーエンブル領の経済の立て直しや新たなる指導者設立をし、ルーエンブル領は新しく生まれ変わった。
そうして全ての悩み事を解決したある日の夜の事だった。
俺はリーネにアジトの近くにある湖に呼び出されたのだった。
俺は無人になったアジトから湖に向かって行った。
アジトと湖の間にある森は相変わらず暗いが道はわかっているから変な方向に行かなければ迷う事は無い。
そして森を抜けた時、目にしたのは湖の前に丸い机と椅子が二つあった。
机の上にはワインとグラスが二つ置いてあった。
そしてその片方の椅子に佇む人物がいた。
その人物は美しいクリスタルのような髪持っており髪が月夜に照らされまばゆく輝いていた。
「待たせたなリーネ」
「そうね。どれだけ待たせるのかしら?」
「あんまり時間はズレてないと思ったんだがな・・・」
「冗談よ。待っていたわ」
俺はもう一つの開いた席にゆっくりと座った。
リーネはというと二つのグラスにワインを注いでいた。
そして互いにグラスを持ち、軽くグラスどうしをぶつけた。
「乾杯」
「ああ、乾杯だ」
互いにグラスに入ったワインを一気に飲み干した。
相変わらず豪快だな。
「呼び出した要件を聞こうか」
「まずは今回の戦いの参加してくれてありがとう。あなたのおかげでこの戦いに勝利したと言ってもいいぐらいの働きをしてくれたわ」
リーネは握手をしようと手を出してきた。
俺はそれに応じた。
「そうか。それは傭兵冥利に尽きる言葉だ」
「その栄誉として借金の金貨一枚は帳消しにするわ。これで私達に無理に付き合う必要は無くなったわ」
「だがそうなると俺、明日から無職になるんだが・・・」
ついでに言うと金も無い。
明日からどうやって生きていくんだろう・・・。
「大丈夫よ。あなたが望む職業に就かせてあげるわ」
「そうか。それはありがたいな」
「だからまともな職についてハユちゃんと幸せに暮らしなさい」
「まともな職って言ってもなあ、俺が出来ることは限られているからな・・・。なあ、本当に俺が望む職なら何でも就けるんだよな?」
「ええ。私の威信にかけて絶対に就かせて見せるわ」
リーネは自信満々にそう言った。
多分どんな職を言っても本当に就けさせてくれるんだろうな。
なんたって一領丸ごと奪い取った人だからな。
「そうか。だったらクリスタリア王国軍総大将リーネ・クリスタリアの右腕って言う職が良いな」
「ちょっと! これからは無理に戦う必要なんて無いのよ。もっと平和に過ごした方が幸せでしょ?」
リーネの意見はもっともだ。
だが、それは生きていると言えるのだろうか?
否だ!
目的を忘れ戦いから逃げ出すのは俺らしくないからな。
「悪いなリーネ。俺の目的はこの戦いの中でしか得られないんだ」
「ダリウス王と魔族の支配者アンダーの打倒だったら私が責任をもって果たして見せるわ。だから・・・」
「いいやダメだ。これは俺がやらなければいけない事なんだ。決して他人任せにしていい目的ではない」
俺の意志が全く動く気が無い事をリーネに示した。
リーネはため息を吐いて諦めたような顔をしていた。
「頑固ねえ」
「お互い様だろ?」
「確かにそうね。でもハユちゃんはどうするの?」
「一緒に連れて行くさ。近くにいた方が守りやすいしな」
「良いわ。あなたは私の右腕として雇ってあげるわ。ただし私の隣に居るんだから命の保証はしないわよ」
「上等だ! 刺激のある人生で楽しめそうだ!」
「それじゃあ改めて・・・」
「「「ようこそクリスタリア王国軍へ!!!」」」
なんとこの湖の周りにはリーネ以外にアジトに居た隊の連中とハユが森の茂みに隠れていたようで、その全員が一斉に飛び出し俺の入隊に喜びの声を上げていた。
中には肉や野菜を持ってきている奴もいて歓迎会の準備が万端だった。
「お前らどうしてここに!?」
「リーネ様だから言ったじゃないですか。ゲイルは絶対に抜けないって」
「そうね。今回はあなた達の言う通りなったわね」
カイが酒と肉を一緒に持ってきて俺に渡してきた。
「ゲイルさあ飲んだ飲んだ! 今日は新たな仲間が出来た祝いだよ!」
「全く・・・お前らと居ると飽きねえな」
そうして俺達の騒がしい一日が終わっていった。
そしてこれからが俺達の戦いだ。これからも俺は戦い続けるだろう。
その果てに今日の日のような笑顔で迎えれる日が来ることを祈るばかりだ。
これにて一区切りですね
最後の方が打ち切りエンドみたいな感じになってますけど終わりませんよ
というわけでこれからもよろしくお願いします。
次の投稿はしばらくかかるかも・・・