24-4.ルーエンブル領主バード・ルーエンブル戦
前回のあらすじ
根源解放をしたバード・ルーエンブルはその圧倒的な力を見せつけ
グレイ・オーネストやリーネをも簡単に吹き飛ばしていた
そしてゲイルの元に降ってきた異世界の武器
果たしてこの戦いはどうなるのか・・・?
バード・ルーエンブルは襲い掛かってきたリーネを吹き飛ばし、今度こそ異世界武器に向かおうとした。
だが、ゲイルによって武器は確保されていた。
「取った!」
異世界武器は取られたがバード・ルーエンブルはまだ諦めていなかった。
バード・ルーエンブルは異世界武器を確保したゲイルに向かって鋭い爪で下から上に突き上げるように攻撃した。
「それが最後の言葉でいいんだな?」
俺はとっさに断罪剣ヴァルカンザードでバード・ルーエンブルの攻撃を間一髪防いだ。
だが断罪剣ヴァルカンザードは上に打ち上げられそのまま天井に刺さった。
「しまった! 断罪剣ヴァルカンザードが」
バード・ルーエンブルは悩みの種の断罪剣ヴァルカンザードが使えなくなったのを知ると大きく後ろに飛び俺と距離を取った。
「ハッハハハ! これで俺の魔法は消すことはできなくなったな」
俺は異世界武器の対戦車ライフル銃を地面に置き、寝そべる形でバード・ルーエンブルの胸に照準を向けた。
「無駄だ! 魔族では異世界武器を使いこなすことはできんぞ!」
バード・ルーエンブルは頭上に金色の巨大な魔法陣を組み上げた。
あれは避けないと死ぬな。
だが避けても多分結果は変わらんだろう。
だったらここであいつを打ち抜く!
「それはどうかな?」
「虚勢を張っても何も変わらんぞ! 竜魔法・竜破滅殺!」
バード・ルーエンブルは頭上の金色の魔法陣から極太のビームが俺に飛んでくる。
だが、俺は避けない。
最後まで照準を合わせ続けた。
そしてビームが俺に当たる直前、照準が完全に一致した。
今だ!
俺はその重たい引き金を力一杯引いた。
「虚勢かどうかはその身をもって体験することだな!」
轟音と共に撃ち放たれた口径12ミリを超える弾丸がバード・ルーエンブルの胸に向かって撃ち放たれた。
到達までにコンマ一秒とかからない、躱すことは不可能だ。
だが、俺が撃ち放った弾丸はまたもバード・ルーエンブルの障壁によって到達を阻まれてしまった。
「ハッハハハ! 残念だったな! 竜魔障壁を貫通することが出来なかったぞ! 俺の勝ちだ!」
障壁を突き破ろうと高速回転している弾丸にはまだ威力は残っている。
だが、あの障壁をどうにかしないと弾丸の威力が落ちて貫通することすらできなくなる。
クソ!
俺にはどうすることもできない。
そう諦めていたそんな時、まだ一人諦めていない人物が行動を起こした。
そうそれこそリーネ・クリスタリアだ。
「まだよ!」
グレイ・オーネストが自分の剣を天井にある断罪剣ヴァルカンザードに向かって全力で投げた。
グレイ・オーネストの投げた剣は天井を貫通し瓦礫と共に断罪剣ヴァルカンザードが落ちてきていた。
「姫様!」
「よくやったわ! 後は私に任せなさい!」
リーネは落ちてくる瓦礫を踏み台にし空中に浮いていた断罪剣ヴァルカンザードを手にした。
「竜魔障壁が貫通できないのであるならそれを破壊してしまえばいいのよ!」
「まさか・・・断罪剣ヴァルカンザードか!」
空中にいるリーネはそのままバード・ルーエンブルの元まで向かいその竜魔障壁を断罪剣ヴァルカンザードで斬った。
その瞬間、竜魔障壁は打ち砕かれ弾丸がバード・ルーエンブルの胸を貫いた。
「ば・・・バカな。この神に選ばれし英雄たるこの俺が・・・ここで敗れるだ・・・と・・・」
バード・ルーエンブルの胸に大きな風穴があき、バード・ルーエンブルはその場に倒れた。
「私達の勝利よ!」
リーネの勝利の声が部屋中に響き渡った。
それを聞いたルーエンブル領の兵士は膝から崩れ落ちた。
兵の中には涙を流しながら悔しがる者もいれば憎悪の目でリーネを睨みつける者の居たが誰一人としてリーネに襲い掛かることは無かった。
それはなぜか?
ルーエンブル領最強の人間を倒した人間に勝てるわけがないとそう誰もが思い、誰も行動しないからだ。
統率者を失った兵に戦う意思は欠片も出てくることは無かった。
リーネは喜びを一緒に戦ったゲイルと一緒に共有しようとゲイルが居る場所に振り向いた。
「ゲイル。よくやってくれ・・・。ゲイル!」
そこには左半身が先ほどのビームによって削られたゲイルの姿があった。
ゲイルの持っていた大型ライフルもビームによって跡形もなく消えていた。
リーネは急いでゲイルの元に駆け寄ってゲイルの体を両手で支えて起こした。
「悪い。あれは避けられなかった」
「まだよゲイル! 諦めないで! こんな所で終わるなんてあなたらしくないでしょ!」
「だがなあ、こんな状態じゃあどうやってももたねえよ。・・・こんな最後だが、悪い気はしないんだ。こんな達成感のある戦いなんて人生最初で最後だからな」
「最後だなんていわないで! これからもあるわよ。大丈夫。絶対に直して見せるから・・・まだ・・・」
「ありがとな。そんな悲しそうな顔をしないでくれ」
俺は失った左手でリーネの顔を触った。
・・・あれ?
失ったはずの手がなぜあるんだ?
というより左半身全部回復してね?
「ゲイル・・・。・・・なんでこっちの手があるのかしら?」
「悪い。なんか回復した」
「ゲ・イ・ル!」
俺は怒ったリーネのそばから離れ立ち上がった。
その瞬間、右半分しかない服が下にずり落ち全裸になった。
俺の大事な部分をリーネはガン見する羽目になってしまった。
「・・・っ! この変態魔王!」
「ちょっと待て! 仕方ないだろ! 体は戻っても服は戻らないんだ! 待て待て待てそれはシャレにならん! 断罪剣ヴァルカンザードはシャレにならないって! マジでそれで斬られたら死ぬから!?」
「ちょっと一回死んできなさいよ!」
こうして俺達は最初の一歩を踏み出すことが出来たのだった。