24-2.ルーエンブル領主バード・ルーエンブル戦
前回のあらすじ
バード・ルーエンブルを追い詰めたゲイル達
だが、バード・ルーエンブルは最後の足掻きにアジトを人質に取った
リーネは勝手にしろとアジトに居る人間を見捨てるような発言をした
ゲイルはそれに反発したが目的のためだと割り切ってゲイルも見捨てる事にした
作戦開始命令を出して数分が立った。
その間スピーカー状態にして俺達にアジトに居る人達の悲鳴を聞かせてきた。
だが、その悲鳴は何かがおかしかった。
何と言うか悲鳴を上げている人間の数が多すぎるような感じがしていた。
そんな違和感を持っているのはアジトに居る人数を知っている俺とリーネぐらいでバード・ルーエンブルは全く違和感を持っていなかった。
「おい、状況はどうなっている? 誰か通信に出させろ!」
「は!」
「はいはい~」
通信機から出てきた声は女性の声だった。
それにどこかで聞いたことがある声だった。
「なんだその腑抜けた返事は・・・。まあいい。状況はどうなっている」
「状況ですか? 状況は・・・ルーエンブル領の兵士の死体が魔獣の森に散らばっているって感じですね」
「な、何を言っている! そもそもお前は誰だ!」
「私ですか? 私はクリスタリア王国軍の軍医セレネ・ワーランドですよ」
「クリスタリア王国軍の人間だと・・・? 我が軍はどうなっている! 他の兵士繋げ!」
「だから」
「言っているでしょ」
「ルーエンブル領の兵士は」
「全滅です☆」
別の兵に通信を変えるもそのすべての通信機からセレネの声がした。
「す・・・全ての通信機の反応が・・・途絶しました」
「な・・・何がどうなっているんだ!」
バード・ルーエンブルの動揺する姿を見てリーネは笑っていた。
「フフフ、こうも作戦が上手くいくなんてね。出来過ぎなんじゃないかしら」
「貴様! 何をした!?」
「何もしてないわよ。ただあなたが根源憑依者の居る所に兵を放っただけじゃない」
「そんな馬鹿な!? お前達の戦力は居ても武技解放者までしかいないはず・・・。それにそんな奴が居るのだったらなぜ戦場に連れてきていないんだ!?」
「連れてこなくても勝てるからに決まっているじゃない。それに、奥の手って言うのは最後に出すから効果を発揮するのよ」
その言葉を聞いたバード・ルーエンブルの表情は絶望に染まっていた。
自らの作戦も力も何もかも敵わなかったそんな相手にどうやって勝つかなどもう考えてもいられないだろう。
「まさか、俺にもセレネの事を秘密にしていたとはな」
「悪いわねゲイル。あなたに喋ってしまったらあの場面で余裕を見せてしまって敵軍を動かせなくなると考えたからよ」
敵を騙すならまず味方からってか。
マジで見捨てるかと思ったぞ。
こんな思いするなら騙された味方の気分なんて味わいたくないぜ。
「結果としては良かったんだ。別にいいさ」
「さて、バード・ルーエンブル。もう足掻きはここまでかしら?」
「クソッ! なぜだ! 英雄になるはずじゃなかったのか! どうして!?」
バード・ルーエンブルはまたも後ろに下がった。
だがそこはもう部屋の壁だ。
これ以上下がるのは無理だった。
「もう、終わりのようね。終わらしてあげるわ」
リーネは結晶剣でバード・ルーエンブルの首元まで届くぐらいの高い結晶の足場を作成した。
そしてリーネはその足場を使ってバード・ルーエンブルの首元まで走り込んだ。
「八ノ型・空曲斬」
空中に飛んだリーネは一瞬でバード・ルーエンブルの首を切り落とした。
バード・ルーエンブルの首が地面に落ちると切り離された体は青い光を放ちながら消え去った。
完全にもう終わったとそう思っていた。
だが、バード・ルーエンブルは首だけの状態でまだ生きていた。
「ハッハッハッハッハ! 神はまだ俺を見捨ててはいなかったぞ!」
「首だけで何を言っているのかしら?」
「感じるんだよ! 力をな! 竜神剣ドラゴレアス・根源解放」
バード・ルーエンブルの首が赤い光に覆われて行った。
「そ、そんな!? あり得ないわ!」
リーネがこれまでにない動揺をした。