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23-3.ルーエンブル領主城潜入

前回のあらすじ

 なんとかリーネの作戦により領主の前まで来ることが出来た

 だが、領主は俺達を相手にせずそのまま外に追い出そうとしていた

 そんな時、リーネはウイッグを外し自らがリーネ・クリスタリアだと名乗りを上げたのであった

「バレッタ。もうそのウイッグ脱いでいいわよ」


 リーネは小さな通信機にそう伝えるとモニターに映っていたバレッタは銀髪のウイッグを脱ぎ捨てた。


 その瞬間モニターに映っていたカイは口を大きく開け指をさして驚いていた。


 まるでこの世の終わりでも見るような感じだった。


 何も知らされてなかったんだなカイ・・・。


「な、なんだと!?」


「というわけよ。私が本物ってわかったかしら」


「ハッハハハ、アーハッハハハ。ついに俺にも運が回ってきたようだな」


「何がおかしいのかしら?」


「何がだと・・・? 敵軍の大将が自ら首を捧げに来てくれたんだぞ! これが笑わずにいられると思うか?」


「もう勝った気でいられるなんて早とちりが過ぎるわよ」


「いいや。勝っているさ。お前達が自ら首を捧げたくなるようなものを俺は持っているんだからな! おい、あれをモニターに映せ!」


 そう言われ兵士はモニターに牢獄の映像を映し出した。


「お前達の一番の協力者グレイ・オーネストは俺の手中にあるんだ! どうだ? こいつを殺されたくなければ自らの首を差し出せ!」


 バード・ルーエンブルはドヤ顔でこちらに向かって話しているんだが・・・。


「誰も居ないじゃないの」


 そういわれたバード・ルーエンブルはモニターを二度見した。


 とても状況が信じられないのだろう。


「そんな馬鹿な!? 牢屋を監視している兵士に繋げ! 状況を説明させろ!」


「何度も呼び掛けているのですが繋がりません!」


「なんだと・・・!? もういい! 城内の兵士に捜索させろ!」


 バード・ルーエンブルは焦りに焦って俺達が居る事すら忘れているみたいだった。


 そんな時に俺達の後ろにある扉が開いた。


 そこには白髪の屈強な老人が立っていた。


 一瞬敵かと思って反応したがその老人は俺達を無視してバード・ルーエンブルに近づいて行った。


「なあ領主よ。この葉巻に火をつける道具とか持ってないかの? 部屋に行ったんじゃが見つからなくてな」


「ん? ああ、これか」


 領主は振り向きもせずその老人に小さな棒の先端に丸い板が張り付いた道具を渡した。


「おお。これじゃこれじゃ。さすがは領主。気が利くのぉ」


 老人はその道具の先端に先端が斬られた葉巻を押し付けて火をつけていた。


「・・・ってお前は誰だ!」


 バード・ルーエンブルは振り向いた。


「わしじゃよ」


「グレイ・オーネスト・・・! 貴様どうやってここに来た!」


「どうと言われてものぉ、鉄格子をこう人が通れるぐらいの幅に広げて出てきたんじゃが」


「・・・な!?」


「それで、わしの首はリーネ様が首を縦に振るほど価値があったかの?」


「聞く前にお前が居なくなったから聞けなかったぞ」


「それは惜しい事をした。この老いぼれの首の価値を聞いてみたかったんじゃがの」


 グレイ・オーネストは葉巻を吸いながら悲しそうにした。


「そんなに知りたいなら教えてあげるわグレイ・オーネスト。あなたの首に価値なんて無いわよ」


「リーネ様。そこは老人を立てて嘘でもいいから首を縦に振ったぐらいは言ってほしかったわい」


「あら、嘘なんてもう懲り懲りだと思っていたけどそんなに嘘を言ってほしかったの?」


「これは痛い所を突かれましたわい」


「久しぶりねグレイ・オーネスト」


「お久しぶりでございます。リーネ様」


 グレイ・オーネストはリーネに向かって跪いた。


「全く会いたくなかったわ」


「わかっております。この首、この戦いの後にどうにでもして頂いてもかまいません。今はお傍で戦う事をお許しください」


「勝手にしなさい。私は使える者は勝手に使う主義なの」


「は!」


「さすがはリーネ・クリスタリアだ。ここまで計算してグレイ・オーネストを我が領に潜伏させておくとは・・・恐れ入ったよ」


「何言っているのかしら。私は会いたくなかったって言ったでしょ。これはただの偶然よ」


「いいえ、リーネ様。これは偶然ではありません」

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