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23-2.ルーエンブル領主城潜入

前回のあらすじ

 ゲイルは敵に侵入者とばれないように女装するはめになった

 しかもメイド服という黒歴史確定な感じだった

 兵を何とかやり過ごすも結局領主の居場所はわからなかったのであった

 一体どうやって領主の居場所を知るつもりなのか・・・?

「大丈夫よ。私の言う通りにすればすぐにたどり着けるわ」


「嫌な予感がするんだが・・・」


 リーネは作戦を俺に説明してくれた。


 作戦は理解したが本当に聞けるのか?


 という疑問しか出てこなかったがリーネが自信満々に言うもんだから信じてやるしかない。



 そして俺達は一人で巡回している兵士を探した。


 周りを掃除しているふりをしつつ探しているとようやく一人で巡回している兵士を見つけた。


 というよりこの領主城にほとんど兵士が居なかった。


 前線に兵を割いているのはわかるんだが守りが薄すぎるだろ。



 そしてリーネは作戦開始の合図を俺にしてその一人の兵に急いでいるように見せながら近づいて行った。


「兵士さん。領主様は一体どこにおられるのですか?」


 リーネは小動物のような可愛さを演出しながら兵士に聞いた。


 兵士はそんな姿を見て少しにやけていた。


 普段のリーネを知っている俺からすれば怪しさ満点だが何も知らない人からすると急に現れた天使のように見えるんだろうな。


「メイドが領主様に何の用だ?」


 兵士は少しでも目の前の天使に良い恰好をしようとにやけた顔からシャキッとした顔に無理やり戻して格好よくしゃべった。


「それが、メイド長が内密の用があるとかで探しているのですが、一向に見つからなくて・・・。このままではメイド長に私が怒られてしまいます。どうか助けると思って教えて頂けないでしょうか?」


「う~ん、でもなぁ」


 このタイミングで俺は遠くから兵士を睨めつけながら近づいて行った。


 俺が近づいてきていることに気づいたリーネは兵士の手を握って上目遣いをしさらに可愛さアピールと頼っている感を出した。


「あ、メイド長が・・・お願いです。後で何でも致しますから・・・」


「・・・わかった。ここを真っ直ぐ行った突き当りを右に曲がってそこからさらに真っ直ぐ行けば大きな扉がある。そこに領主様はいらっしゃる」


 さすがに兵士もその押しには耐えきれなかったようだ。


「あ、ありがとうございます! このお礼は必ず致します!」


 リーネは兵士に向かって可愛らしい笑顔と手を振りながら兵士が教えてくれた道を進んだ。


 そしてその兵士が見えなくなった角で俺はリーネに疑問をぶつけた。


「・・・なあリーネ。これ俺必要なかったんじゃないのか?」


「何言ってんの、そんなわけないじゃない」


「だってさ俺、兵士睨みながら通り過ぎただけだぞ。別に見られる必要なかったんじゃないのか?」


「いいえ、それでいいの。あなたのメイド長っぽい雰囲気に押されて兵士が喋ってくれたんじゃない。それにあなたに疑いをもたれず通り過ぎる方法でもあったんだから」


「そうか。必要であったんならそれでいいんだ。俺のこの姿はあんまり人に見られたくなかっただけだし・・・」


 でも、俺要らなかった説はあった気がする。


 そんな事を考えていると兵士に教えてくれた領主が居るだろう部屋の前に来た。


「さあ着いたわよ」


「いよいよか」


 俺は付いたから変装する必要が無いと思ったのでメイド服を脱ごうした。


 だが、それはリーネになぜか止められた。


「ゲイル。何やってんの? さっさと行くわよ」


「いやちょっと待てよ。このままいくのか!? 雰囲気ぶち壊しだろ! いいシーンで決め台詞吐いた時にこの格好じゃあしまんねえよ」


「はいはい。そんなことをしている時間がもったいないの。さっさと行くわよ」


 リーネは俺の腕を無理やり引っ張ってきた。


「ちょ、ちょっとリーネさん。もしかしてお姫様抱っこで侵入したことまだ根に持ってます?」


「・・・さあ、何の事かしら」


 否定するまでに時間があったぞ!


 絶対根に持っているぞ!


 というかこの格好のままはマジでまずいから!


 そんな俺の思いもむなしくリーネは目の前にある大扉を勢いよく開けた。


「失礼するわ! 領主バード・ルーエンブル迎えに来てあげたわよ!」


「誰だ貴様は!」


 とても偉そうな頬に大きな斬り傷があるの茶髪で短髪な男が反応した。


 その男こそ俺達の今回の標的のバード・ルーエンブルだ。


「メイドが冥土へのお迎えに来てあげてるのよ。感謝しなさい」


「俺はそんな高圧的なメイドは雇った覚えは無いぞ。誰かそいつをとっとと追い出せ! 馬鹿に付き合っていられるほど暇じゃないんだ」


 その場に居た兵士数人が俺達を囲った。


 このままでは本当にただ追い返されそうだった。


 そんな時リーネはブロンドカラーの長髪のウイッグを上に投げた。


「そうね。自己紹介がまだだったわね。私の名前はリーネ・クリスタリアよ」


「何をバカなことを言っているんだ。リーネ・クリスタリアなら今戦場で戦っているだろ」


 バード・ルーエンブルはモニターに映されているリーネに扮したバレッタを映し出した。


 隅にはカイも映っていた。


「バカはあなたよバード・ルーエンブル。あっちが偽物に決まっているじゃない」


「何を言っている・・・」


「バレッタ。もうそのウイッグ脱いでいいわよ」


 リーネは小さな通信機にそう伝えるとモニターに映っていたバレッタは銀髪のウイッグを脱ぎ捨てた。


 その瞬間モニターに映っていたカイは口を大きく開け指をさして驚いていた。


 まるでこの世の終わりでも見るような感じだった。


 何も知らされてなかったんだなカイ・・・。

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