22-1.ダース・バックス将軍戦
前回のあらすじ
ゲイルとリーネは城に侵入するために別行動をとった
そしてカイとバレッタは東門を落とすべく向かうのであった
リーネもとい変装したバレッタ達は東門へ向かっていた。
だが東門に近づくにつれルーエンブル領の兵士の数が多くなっている。
「やっぱり予想してた通り多いですね」
「でも、しのぎ切れないほどの事ではないわ。このまま数を着実に減らして東門に到達するわよ」
東門へ向かっていると東門から怒涛の勢いでこちらに向かってくる人影が見えた。
「な、なんだあれは?」
「どけどけ! ここか、強者の匂いがするぞ!」
グレーカラーのオールバックなごつい男が僕達の前に現れた。
あれは・・・。
「ダース・バックス将軍。東門を守っていたはずじゃあ・・・」
「お前か? クライスを殺したのは?」
ダース・バックス将軍はバレッタに詰め寄った。
「残念だけど私じゃないわ。クライス将軍を殺したのはこのカイ・シェールストーンよ」
「そうか。この小僧が・・・」
ダース・バックス将軍は僕を舐めまわすように見た。
ひぇえ、目が血走ってるよ。
「だが、俺には女のお前の方が強者の匂いを感じるぞ」
「彼は実力を隠すタイプなのでそう見えるのでしょうね。でも彼が我々の最高戦力なのは間違いないわ!」
「ふん! まあいいだろう。戦ってみればわかる。この小僧を殺したら次はお前だぞ女!」
ダース・バックス将軍は動物の骨でできている柄が特徴の曲剣を二本を鞘から抜いて戦闘態勢に入った。
「殺せるものなら殺してみなさい!」
「それ僕のセリフですよリーネ様!」
リーネ様は僕の話を無視して後ろに下がった。
後は任せたっていう感じだった。
はあ、わかりましたよ。
後は何とかします。
「お前も異世界の武器所持者なのだろう? さあ力を開放して見せろ!」
「悪いんだけど僕の武器はそんな使い勝手のいい物じゃないんだ。だけど必ずこの戦いの中で見せることは約束するよ」
「そうか! それは楽しみだな! 俺は最初から全力で行かせてもらうぞ! 後が詰まっているからな! 双牙剣激ウェルンバイト・根源憑依!」
ダース・バックス将軍が光に包まれた。
そして光が解き放たれた時、そこに居たのは狼の顔をしたダース・バックス将軍だった。
足や腕は狼の毛を纏っているが人としての形は残っていた。
人の長所と狼の長所を組み合わせたようにも見えた。
その両手に持つ曲剣からは黒いオーラが流れ出ていた。
「どうした? かかってこないのか?」
「僕は慎重派なんでね。行動を見てから行動するタイプなんだ」
「だったら、こっちから行くぞ!」
ダース・バックス将軍が地面を蹴って一足で僕の目の前まで詰め寄ってきてその両手の曲剣で斬りかかってきた。
「・・・速い! でも防げないほどではない」
僕はダース・バックス将軍の重い一撃を剣で防いだ。
防いだ時に重すぎて地面になっているタイルがひびを入れながら割れた。
「やるではないか、これを防いだか。これならどうだ!」
ダース・バックス将軍は後ろに下がって再度詰め寄り右から横なぎにするように曲剣を振った。
あまりにも見え見えの剣。
ただの力押しにしか見えない。
フェイントも考えたが剣の勢いからあり得ない。
僕は素直に右から来る剣を防ぐように構えた。
「そんな見え見えの攻撃簡単に防げ・・・」
ダース・バックス将軍の曲剣が僕の剣に当たる瞬間、左から死の気配を感じた。
何もない場所から漏れ出る気配にあり得ないと僕は否定した。
だが今までこの手の気配が気のせいだったことは一度もない。
だから僕は曲剣が当たる直前に後ろに下がった。
その瞬間左側から僕の腕を掠めるように何かに斬られた。
「当たる寸前で引いたか。なかなかいい嗅覚をしているな」
傷は浅く出血も少なく済んだけど引く判断を一歩でも遅かったらこれぐらいじゃ済まなかっただろうね。
でも、何もない所から斬られたのは一体?
「どういう事かな? 攻撃の反対側からも剣で攻撃されたような跡があるんだけど。これが君の能力って事かな?」
「それがどうした? お前では俺の能力を見極めることはできん」
否定しないってことはダース・バックス将軍の能力って事かな。
別の人間が援護をしている可能性もあるけどあの性格だしあり得ないか。
「じゃあ次はこっちから行かせてもらうよ!」