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18-3.アジト防衛戦

前回のあらすじ

 元クリスタリア王国将軍セラ・ファリストに対してリーネは圧倒的な力の差を見せつけていた

 だが、セラ・ファリストは自らの命と引き換えに根源解放エンゲージジェネレートを成功させるのであった

 予想外のこの力にリーネは対抗できるのか・・・?

「命を消費した力の解放ね・・・。最後の足掻きとしては悪くないわね」


「最後? 何を言っているんだい? これからを切り開く最初の一歩さ!」


 セラ・ファリストは一歩踏み出し私に向かって殺気を放ってきた。


 さすがに根源憑依エンゲージジェネレートされたなら最大限警戒はしないとね。


 一歩間違えれば死ぬまであるわ。


水雷炎土(すいらいえんど)フューリーブレイダーの力は、水、雷、炎、土の四属性の魔法を剣と鎧にエンチャントさせることで発動するのさ」


「わざわざ教えてくれるなんて親切ね」


「敵が力を相手に自慢している時って言うのは勝ちを確信した時なのさ。つまりこれを聞いたところであんたに勝つ手段は無いんだよ!」


「それはやってみないとわからないじゃない?」


 私はこの危機的状況で余裕があるふりをした。


 ここで私が取り乱したら相手に完全に流れを持っていかれるわ。


「いや、これで終わりさ。雷脚(らいきゃく)


 セラ・ファリストの鎧が黄色く光った直後、セラ・ファリストは私の後ろに居た。


 あの一瞬で私の後ろに回ったって言うの!?


 目で追うのは諦めるしかなさそうね。


「雷を鎧にエンチャントすることで目にもとまらぬ速さを持つのさ。そして炎斬(えんざん)!」


 セラ・ファリストが持つ黒い剣が赤く発光し始めた。


 私はまずいと思い剣で受けるのではなく横にステップして避けた。


 セラ・ファリストが振り下ろした地面は煙を吐きながら溶けていた。


 熱で地面が溶けてるわ。剣で受ける事なんてできるのかしら?


「炎を剣にエンチャントすることでどんな物でも溶かしながら斬れる力を持つ」


「どんなに速くても、どんな物を斬れる力があろうと当たらなければ意味が無いじゃない。それに隙だらけなのよ!」


 剣を振り下ろして無防備なセラ・ファリストに結晶剣オーヴィタルプライズで斬りかかった。


 だがその剣は鎧によって弾かれた。


 硬った!


 この私でも斬れないなんて。


 常時あの状態だったら勝てないわね。


土硬(どこう)、土を鎧にエンチャントすることで鋼鉄をも超える硬さを持つ」


「だったらその鎧の隙間を狙うだけよ!」


 私は鎧が硬くて剣が通らないのであるならば鎧の隙間を狙って首元を斬った。


 斬った場所からは大きく血が噴き出した。


 恐らく動脈を斬ったのでしょう。


 だが、大きく噴き出したのは一瞬で傷があっという間に治っていた。


水復(すいふく)、水を鎧にエンチャントすることでどんな傷もあっという間に回復する力を持つのさ。どうだい全ての能力を味わった感想は? 勝てないと絶望したかい?」


 これだけ?


 根源憑依エンゲージジェネレートしてこれだけしか力を出せないの?


 フフフ、勝てるわね。


「いいえ、むしろ根源憑依エンゲージジェネレートしてもそんな程度しか力が出せないのねってほっとしたわ」


「だったらあたしを倒してみなさいよ! 雷脚(らいきゃく)!」


 セラ・ファリストはまたも一瞬で私の視覚外に移動した。


炎斬(えんざん)!」


 セラ・ファリストは剣を赤く光らせ私を斬ろうと剣を振り下ろす。


 私はそれを横に体をそらして避ける。


「いくら私の裏を取ろうと視覚外の攻撃をしようとね、技の切り替えタイミングまでが長いのよ! 避けてくださいって言っているようなものね」


雷脚(らいきゃく)!」


 セラ・ファリストはまたも懲りずに私の視覚外に移動する


炎斬(えんざん)!」


 そして赤く光った剣を振り下ろす。私は横に一歩移動し避けた。


「ダメよ。ダメダメね。当たらない技を無駄に使っても私には勝てないわよ。私に勝ちたければ同時に技を使いなさい」


「そんな事・・・」


「無理やり力を借りているあなたでは無理な話よね。剣にも認められず、自らの命を対価に力を引き出しているあなた程度では私の脅威にはなることは無いわ!」


水雷炎土(すいらいえんど)フューリーブレイダーもっと力をよこしな! ここで負けるわけにはいかないんだよ!!」


「力は借りれたかしら?」


「この・・・クソガキが!!」


 セラ・ファリストは怒りに任せて何もエンチャントすることなく私に向かって一直線に迫ってきた。


「待ってたわよ。怒りで力任せに一直線に来るこのタイミングを! 一ノ型・霞斬り」


 セラ・ファリストとすれ違う。


 そのすれ違う瞬間に一太刀をセラ・ファリストに浴びせる。


 その一太刀を受けたセラ・ファリストはその場で膝をついた。


「足が結晶に覆われて動けない・・・。でも致命傷には程遠い。剣の踏み込みが浅い! 剣が皮膚を斬っただけで終わっているのよ! まだあたしにもチャンスはある!」


 私はセラ・ファリストを踏み台にし空中に浮きあがった。


「いいえ、これで最後よ。もうこれで終わっているのよあなたは! 一ノ型派型・空突」


「終わっているのはあんただよ! その技はこの体には通ることは無い! 土硬(どこう)!」


 私の空突とセラ・ファリストの土硬がぶつかり合った。


 その結果、勝ったのは私だった。


「ど・・・うして、あたしの鋼鉄をも超える硬さを誇る鎧が簡単に・・・?」


「それはあなたに刺さっている剣を見ればわかるわ」


「こ・・・これは!?」


 セラ・ファリストの胸に突き刺さっているのは紫色の刀身だった。


「断罪剣ヴァルカンザードよ。魔力を使って鎧を硬くしたってこの剣にはただの鎧と変わらないわ」


「こ・・・ここまでなのあたしの戦いは・・・」


「ええ、ここで終わりよ。でも安心しなさい。あなた達の目的は叶えると約束するわ。多少違う形になるけど」


「そんなやり方で国を変えたって・・・グホォ。復讐を生むだけ。そんな国に未来なんてあるわけないわよ」


「未来なんて私にはわからないわ。それに未来がどうなるかはその時代に生きている人達が決める事よ。たとえ未来で私が取り返した国がもう一度崩壊しようと文句はないわ」


「あの世で見させてもらうさ。あんたの生き様を・・・。精々足掻く事ね」


 セラ・ファリストはそう言い残して死んでいった。


「言われなくても足掻くわ。もう立ち止まっている暇なんてないから・・・」


 私は断罪剣ヴァルカンザードを抜いてその場を後にした。

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