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18-1.アジト防衛戦

前回のあらすじ

 ゲイルはクライス・ディベルト将軍を打ち破った

 

 リーネ達が居るアジトはルーエンブル領の兵士達に攻め込まれていた。


 ここまで攻め込まれていたらさすがにリーネも戦わざるおえなかった。


「あらルーエンブル領の兵士さん。お宅の本拠地で何やら騒ぎがあったみたいだけど戻らなくてもいいのかしら?」


 ルーエンブル領の本拠地からはここからでもよく見える砂煙が舞っていた。


 ゲイルが戦いを始めたようね。


「ご心配なく。本拠地にクライス坊やがいるから大丈夫さ。それより自分の身の心配をした方がいいんじゃないの?」


「それこそ心配無用よ。こんな連中にやられるような鍛え方はしてないわ」


「私をセラ・ファリストと知ってもそんな事言えるの?」


 そう目の前にいるのはセラ・ファリストその人だ。


 彼女の見た目は腰まである長い赤髪で灰色を基本色とし赤のアクセントが入った鎧を着ている。


 腰には真っ黒な直剣をぶら下げていた。


「将軍職に付いていないあなたを脅威には全く思わないわ。たとえ六国大戦で活躍した英雄でもね」


「随分懐かしい事を知ってるじゃないか」


「ええ、知ってるわよ。六国大戦では二十五歳という若さで百人隊の隊長を務め、危機的状況にあった他の隊をあなたの機転で救った英雄でしょ」


「そうだよ。それにクリスタリア王国時代では将軍職に就いていたんだよ」


「でもクリスタリア王国が滅んでダリウス王国に変わった時に将軍職になるための条件に根源に辿り着いた者のみという項目が増え、あなたは将軍職を下ろされたそうね」


「ついでに言うとクリスタリア王国時代に部下だったクライス坊やが上司になったっていう笑い話付きさ」


 セラ・ファリストは大口開けて大笑いしていた。


「将軍職から降ろしたダリウス王国に何も思う所は無いの?」


「何も無いと言うと嘘になるが、クライス坊やの野望を聞いたら納得せざるおえないね」


「内側から国を変えるって話かしら」


「そこまで知ってるんだったら話は早いじゃないか。あたしはあなた達にクライス坊やの下に付かないかって聞きに来たのさ。どうだい? 一緒にこの国を変えていかないかい?」


 セラ・ファリストは私に向かって手を差し伸べてきた。私はその手をはじいた。


「お断りよ」


「なんでだい? この国を変えたいっていう根底は一緒のはず、手は取りあっていけると思うんだがね」


「理由は簡単よ。私がクリスタリア王国の王女だからよ」


「それは一体どういう事?」


「クライス将軍はこのダリウス王国は維持しつつ国のあり方だけを変えようとしているようね。だけど私は違うわ。このダリウス王国を認めない! だってお父様とお母様を殺めた王が作る国なんて許せるわけないじゃない」


「ただの復讐心でこれだけの事をやろうとしているって言うのかい。クライアットに言っていた希望になるっていう話は一体何だったんだい?」


「ただの口実よ。人を動かすには大義名分っていうのが必要じゃない?」


「とんだ詐欺師じゃないか。悪びれもせず、人を利用するために堂々と嘘を付くなんて」


 私は薄っすらと笑った。


「詐欺師? 上等よ。ダリウス王国に復讐するためだったらなんだってやってやるわよ!」


「良いのかい? こんなことをあたしにペラペラ喋って。もしこの話をクライアットに聞かせでもしたらあんたの計画がパーになるんじゃないのかい?」


「好きにすればいいじゃない。どうせそんな事をしても彼らは止まらないわ。クーデターは彼らが元々計画したものなのよ」


「・・・そう。でもあなた達がクライアットに協力した所であのルーエンブル領を落とすなんて無理よ」


「そうね。確かに私達だけでは無理でしょうね。協力者がいない限り」


「あなた達みたいなのに協力する奴が居るって言うのかい?」


「ええ、居るわよ。この国の有り方を良しとしない者達がね」


「そんな者達の情報をどっから・・・」


「そういえばクライス将軍はこの国を変えるために色々な軍関係者に協力を仰いでいるそうじゃない?」


「まさか・・・」


 セラ・ファリストは驚きのあまり開いた口がふさがらなかった。


「クライス将軍に協力している軍関係者は協力者を作るためにとても役に立ったわ」


「あんたみたいな怪しい奴が来たって取り次ぐ者はいるはずがないじゃない!」


 セラ・ファリストは大きな声を上げて私の言葉を否定した。


 まるで現実を受け入れたくないかのように。


「クライス将軍の名前を出したら簡単に会えたわよ」


「そんな!? あり得ない!」


「人間ってね悪事がバレた時に焦って思考を乱す傾向が多いのよ。私が話をしに行った者達も例外じゃない、乱れた思考に付け入るのは簡単だったわ」


「あたし達行動は悪ではない! 正義さ!」


「正義っていうのは国によって形を変わるのよ。その国の有り方を否定しようとしているんだから十分悪じゃない」


「じゃああんた達のやろうとしている事だって悪っていう事になるじゃないか!」


「私の行動が正義だとは思ってないわよ。ただこの国が気に入らないから変えるだけ。その過程でどんなに血を流そうと関係ないわ」


「クライス坊やが十年間どんな思いで協力者を作ったのかわかっているのかい! 血を流さず国を変えるためだよ!」


「そんな事わかってるわ。だからこそ彼にはちゃんと報いるつもりよ。この国を変えるという形でね」

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