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16-1.クライス・ディベルト軍との戦い

前回のあらすじ

 ルーエンブル領のクライス・ディベルト軍がアジトに向かって進行した

 だが、リーネの作戦によって思うように進行させることはできなかった

 そしてクライス・ディベルトは障害となる魔獣の森を焼き払うように部下に命じたのだった

 一方リーネの方はというと、一人の隊員の報告を聞いていた。


「リーネ様、報告致します! 敵軍がジャミング装置を破壊、その後魔獣と交戦し撤退していきました。一軍を除いて」


「そう、おおむね予想通りね。その一軍はそのまま放置して引き寄せなさい」


「敵側は撤退してますし勝ったも同然ですね」


「油断しないで。それに敵はまだ何もしていないわ。このまま終わるとは思えない」


「ですが、道中は魔獣寄せの香のおかげで敵の進行を完全に防ぐことが出来ています。仮に敵軍が魔獣をすべて倒してからこちらに攻めてこようと疲弊した兵に劣る我らではありません」


「わかっているわ。だからこそ油断して敵の予想外の行動に翻弄されて倒されましたじゃいけないのよ」


 そんな時に事は起こった。


 空中に半径十メートルはある赤い魔法陣が浮かび上がっていた。


 とても嫌な予感がするわ。


 普通に考えたらこのアジトを直接攻撃するための物だけど、それは断罪剣ヴァルカンザードでどうにかなるわ。


 一番最悪なパターンとしては進行に邪魔な森を焼き払う事って事かしら。


「至急魔獣の森から持ち場を放棄してもいいから撤退と全員に通達しなさい!」


「かしこまりました! 全員撤退だ! すべてを放棄してアジトに戻れ! これは姫の命令である!」


 その命令に従い全ての隊員達はアジトに引き返した。


 全ての隊員達がアジトに引き返したのと同時に魔法陣から火炎が森に向かって放射されていた。


 そしてアジトと領軍の間にあった魔獣の森という壁がなくなった。


 今のままでは領軍に雪崩れ込まれるわ。


 それだけは避けないと。


「結晶剣オーヴィタルブライズ・武技解放(ヴァリアント)


 結晶剣オーヴィタルブライズで横なぎに剣を振った。


 剣から出た斬撃が地面にぶつかった瞬間、刺々しい結晶が地面から生えてきた。


 それを数カ所に行い簡易的な壁を生成した。


「全員戦闘準備! ゲイル達が敵将を討ち取るまで耐えるのよ! その間、誰であろうが死ぬことは許さないわ。あなた達の死に場所はこんな所ではないのよ! 私の作る未来を見るために必死に生き残りなさい!」


「「は!!」」


 隊員の気合の入った声が響き渡った。


 私自身隊員達の心配はしていないわ。


 でも、一番心配なのは・・・。


「ゲイル・・・。大丈夫よね」


***


 一方そのゲイルはというと、領軍の本陣の目の前にある森に潜伏していた。


「なんだあれは。アジトは大丈夫か?」


「木の上から目視で確認しましたが、森が焼けただけでアジトには被害は出てないみたいですね」


 ブロンドカラーの髪で戦場なのにメイド服で来ているバレッタが俺の疑問に答えた。


 焼けた部分はアジトと領軍の間にある一部の森だけで領軍の本陣の目の前の森は焼かなかったようだ。


 なぜか燃え移らなかったみたいだが燃え移らないように術者が調整したのだろうな。


「森が焼けたってヤベェじゃねえか。戻るか?」


「ダメだよゲイル。リーネ様はこれも承知で僕達を敵本部行かせたんだから戻ったら全部水の泡だよ」


 俺の隣に居たカイがまともなことを言っていた。


 珍しいな。


「確かに、敵の撤退に合わせて前進したから気づかれずに敵本陣の目の前までこれたんだもんな」


「そうだよ。だから僕達は僕達のやることをしっかりやるだけだよ」


「ああ、そうだな。すまんな取り乱した。もう一度作戦を確認するぞ。まずはバレッタ。お前の事はリーネから聞いた。何でもできるんだって?」


「ええ。私はハルト・クリスタリア様に拾われた後、リーネ様のすべての要望に答えれるように教育を受けておりますので、暗殺、諜報、変装と大体の事は出来ます」


「それは頼もしい限りだ」


「ですが、この力を使うのはリーネ様の為だけです。決してあなたの言う事を聞いているなどと思わない事です」


「わかってるよ。今回はリーネの為だからおとなしく命令に従ってもらうぞ」


「ええ。リーネ様の為とあれば」


「話が脱線しちまったな。話を戻すぞ。まず作戦としてカイが騒ぎを起こして注意を引き付ける。その間にバレッタは背後から兵を暗殺し、数を減らしていってくれ」


「かしこまりました」


 バレッタはその作戦に何の疑問も持たず受け入れていた。


 バレッタには割と負担の大きい役割なんだが何も言わないか。


 それほど自信があるのか。


 頼もしいじゃないか。


「その作戦に文句は無いけどその間ゲイルは何をするの?」


 カイが俺の役割を聞いてきた。


「カイとバレッタの援護と指示だ」


「なるほどゲイルはこの隊を預かる隊長という立場になるんだね」


「隊ねえ、この人数じゃあ隊とは呼べなくないか?」


「良いんだよそんなのは。気分の問題ってね隊長」


「そうだなカイ隊員。俺の言う事をちゃんと聞いてきびきび働いてくれよ」


「任せておいてよ。・・・それより緊張しすぎてお腹が痛くなってきたんだけど・・・」


 カイの顔は少し青ざめていた。


 まあ、我慢の限界なんだろうな。


「だったら早くそこらへんでして来いよ。大丈夫だ。俺は気にしねえよ」


「いや、ダメでしょ! 僕がしようとしているのは大きい方なんだよ! 匂いでバレちゃうよ!」


「じゃあ、カイがした後に俺が水魔法と風魔法使って匂いとブツを別の所に流してやるから」


「それも嫌だよ! 僕のブツを他人に見られるなんて嫌だよ!」


「ブツなんて出してしまえばどれも一緒だろ。・・・はあ。んじゃあ、どうすんだよ? 我慢すんのか?」


「我慢なんてもってのほかだよ! ここぞって時に力んだ瞬間に出ちゃうでしょ? 出た状態では気持ち悪くて戦えないよ。・・・トイレ借りてくる」


「敵陣にか!? 馬鹿なのか!? すべての作戦が台無しになるだろうが!」


 俺がカイを羽交い締めをしながら止めているとバレッタから報告が入った。


「敵も動き出しました。こちらも」


「時間か・・・。カイ、トイレは我慢しろ。力んでも出さない努力をするんだ。作戦開始するぞ」

次回の「魔王と亡国の姫が造るキングダムロード」


ゲイル達の作戦が始まった


時間を稼ぐためにカイを囮にしたのだが


そんな方法で囮になるわけねえだろ!?


更新話 16-2.クライス・ディベルト軍との戦い

          10月10日 更新

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