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14-2.ルーエンブル領軍に取り囲まれているわけとは・・・?

前回の「魔王と亡国の姫が造るキングダムロード」

 ルーエンブル領の軍に囲まれているのは実はリーネの作戦だった


 だが、囲まれている事実は変わりなく危機的状況に見える

 どうするつもりなのか・・・?

「ゲイルが居た世界は知らないけど、この世界の戦力は人数では無いの」


「じゃあ戦力は何で測るんだよ?」


異世界の武器所持者(ユニークホルダー)の数がこの世界の戦力としての指標よ」


「だがその武器を活かしきれていなければ戦力としては数えられないだろ」


「そうね。けど、ルーエンブル領には異世界の武器所持者(ユニークホルダー)の中でも最強と呼ばれる根源憑依者エンゲージジェネレーターが三人居るわ。一人は領主。そして残りの二人はルーエンブル領軍の将軍二人よ」


「つまり今回の戦で釣りたい相手っていうのはルーエンブル領の将軍の一人っていう事か」


「そういう事よ。今回の作戦は将軍の一人を殺すことが一番の肝になってくるわ」


「だが、将軍が来なかったらどうするんだ。元も子も無いだろ」


「いいえ。絶対送り込んでくるわ」


「どうしてそう言い切れる」


「私が予言王の娘で武技解放者(ヴァリアンサー)だからよ。確実に打ち取るには将軍を一人は出さないと勝てないと思うからよ」


 予言王? ああ死に際に呪いの言葉を残した奴か。


武技解放者(ヴァリアンサー)だから警戒するのはわかるが予言王の娘ってのは脅威には思えないんだが」


「それはゲイルが予言王が予言王と言われる由縁を知らないからよ」


「由縁だと?」


「予言王・・・いえ、ハルト・クリスタリアの作戦はまるで予言よ。相手の作戦を読んだ上の作戦を立て相手を翻弄し、勝つ。これが予言王と呼ばれる由縁よ」


「確かにそれが引き継がれていればとても厄介だ。警戒するのも納得はいく」


「だから敵の戦力を釣り上げる作戦は完璧よ。でも本番はこれから。この戦いで確実に相手の将軍を殺すわ」


「だが誰がそんな大役をするんだ?」


「ここに呼ばれた理由、薄々わかっているんじゃないかしら?」


 俺は不敵に笑った。


 勇者との戦闘以来の緊張感が俺の体を漂う。


 今までののんびりとした生活もよかったが、やっぱり生と死の間際をうろつく方が性に合っているらしい。


 久々の戦闘だ。


 体がなまってないといいがな。


「ああ、もちろんだ。俺が将軍を殺ろう」


「良い返事ね。あとカイとバレッタを連れて行きなさい。必ず役に立つわ」


「それはありがたいが、そんなに戦力をこっちに振り分けて大丈夫なのか? そっちの守りが薄くなるんじゃないのか?」


「こっちにも作戦はあるから大丈夫よ」


「それは頼もしいな」


「でも、あまりのんびりされても困るんだからね」


「ああ、わかっている。ちゃっちゃと終わらせるさ。じゃないと心配性な弟子が起きちまうからな」


「ゲイル。この作戦はあなたにすべてがかかっているの。失敗は許されないわよ」


 リーネは真剣な眼差しで俺に言ってきた。


 その目には心配なのか揺らいでいた。


 自信が無いのだろうか。


「おいおい。俺が失敗しないからこの作戦があるんだろ? もうちょっと自分の作戦に自信持てよ」


「そうね。あなたへの言葉を間違えたわ」


 リーネはすーと息を吐いて一旦自身を落ち着かせた。


「これは命令よ。敵の将軍を必ず殺してきなさい!」


 リーネの声には気迫がこもっていた。


 自信を取り戻したのだろう。


「良いだろ。その命令受け取った!」


 その後、リーネからあらかた作戦を聞いて持ち場に行こうとした時、リーネに呼び止められた。


「ゲイル。断罪剣ヴァルカンザードは置いていきなさい」


 俺は露骨に嫌そうにした。


 こいつには俺を追い詰めたという実績があるんだ。


 何かしらの拍子で敵に渡ってしまったら最後、今度は勝てないかもしれない。


 そんな不安があるからあんまり手放してくないんだ。


 だが、これも何かの作戦の内かもしれない。だから俺はリーネに理由を聞いた。


「なんでだ?」


「いいから。無くても勝てるでしょ?」


 リーネは俺の質問をはぐらかし煽るように逆に質問してきた。


 理由を言わない理由は大体察せる。


 俺も傭兵としてどこかの隊に一時的に所属した事もあるからな。


 大体こういう時は理由を話すとそこから作戦がばれてしまうからか、話す必要が無いかの二択だ。


 こういった状況で質問を繰り返すのは意味は無い。


 つまり俺は断罪剣ヴァルカンザードを置いていくほか無いのだ。


 まあ実際に戦闘で活躍してた事は敵側の時だけだしな。


「確かに無くても勝てるとは思うが・・・」


 だが、無いなら無いで心配だ。


 確かにリーネならこの武器の有用性と危険性を理解しているから敵側に渡ることはしないと思うが、やはりリスクが・・・。


「そんなに心配ならこれあげるから」


 リーネが渡してきたのは円盤の鉄の塊と丸っこいボタンだった。


「何これ?」


「爆弾よ。そのスイッチを押すと爆発するわ」


 戦闘における心配では無かったんだがな。


 まあ貰えるんだったら貰うか。


「保険代わりに貰っておく」


 俺はリーネが渡してきた爆弾を懐に入れ代わりに断罪剣ヴァルカンザードをリーネに手渡した。


「これで準備は整ったわね。敵ももう動き出している頃合いよ。気合い入れなさい! 作戦開始よ!」


 リーネの作戦開始の合図とともに隊員達の気合の入った声が森にこだました。

次回の「魔王と亡国の姫が造るキングダムロード」


ついに動きだすルーエンブル領軍


アジトは包囲され逃げ場はない


どう対処するつもりなのか?


更新話 15.ルーエンブル領軍の進行

         10月6日 更新

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