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14-1.ルーエンブル領軍に取り囲まれているわけとは・・・?

前回の「魔王と亡国の姫が造るキングダムロード」

 ダース・バックス将軍によってクライアットの人間は何人か殺された


 そしてもう一人の将軍クライス・ディベルトは魔獣の森にあるリーネ達のアジトに攻撃を仕掛けるための準備をしていた


 リーネ達はこの危機的状況をどうするつもりなのか・・・?

 クライアットというレジスタンスを仲間にした次の日の朝。


 また朝から隊員たちがドタバタしていた。


 また何かあったらしい。


 昨日は帰った後、ハユが遊びたいとわがままを言いだして森を散策したりして疲れているんだがな。


 ハユは疲れすぎて今もベットでお休み中だ。


「はあ、またか。今度は何なんだ?」


 周りを見渡すと昨日の比ではないぐらいピリピリしていた。


 それはもう殺気が駄々洩れ状態のようだった。


「こいつはただ事ではなさそうだな」


 そんな中、カイが俺を見つけるやいなや手を振ってのんきに歩いて俺の元までやってきた。


「あ、ゲイル居た。リーネ様が呼んでいるから付いてきて」


「カイ。これは一体何事なんだ? どうにも昨日よりも隊全体が緊張してるように見えるんだが」


「ルーエンブル領の軍に囲まれているからね。いつ戦いが起こっても不思議じゃない」


「軍に囲まれたって・・・軍の行動早すぎじゃないのか?」


「僕も理由はわからないんだ。だからそのへん含めてリーネ様が話すためにゲイルを呼んでいるんじゃないのかな」


「そうだな」


 カイが俺を連れ案内した場所は洞窟の中にあるリーネが居る部屋の前だ。


 カイはノックをして要件を言った。


「カイ・シェールストーンです。ゲイル・リバスターを連れてまいりました」


「入りなさい」


 リーネの言葉の後、カイは扉を開けて中に入った。


 リーネは落ち着いた表情でこちらを迎えてくれた。


「状況は大体聞いているわね」


「ああ。軍に囲まれているそうじゃないか」


「ええ。その通りよ」


 リーネは冷静に答えた。


「それにしても軍の動きが早すぎるんじゃないのか? 昨日の今日だぞ」


「すでに目星は付けていたんでしょうね」


「それになんであいつらはここを襲うんだ。リーネがクリスタリア王国の姫だってことはあの場に居た人間しか知らないはずだろ」


「それは簡単よ。あの場所に軍の密偵が居たからよ」


 リーネはニッコリ顔で返答した。


 密偵が居るってわかっているならそれなりの行動しろよ。


「それがわかっていたのならなんで見逃した」


「これも作戦の内よ。大きな獲物を釣るためにはそれ相応のエサはぶら下げておかないといけないじゃない?」


「自らを囮にして敵の戦力を引きずり出したって言いたいわけか」


「そういう事よ」


 リーネは大正解と言わんばかりの笑顔で小さく拍手をしていた。


「だがそれはあまりにもリスクが高すぎる。対応できない人数送り込まれたらどうするんだ」


「それについても大丈夫よ。相手の指揮官がまともならなおさら」


「どういうことだ」


「軍はこの場所に何者かが潜伏していることは目星は付いていたのよ。だけど軍が目星をつけるのは場所だけかしら」


「人数・・・いや、この対応の速さからいくと戦力も把握されているとみてもいいな」


「半分正解といったとこかしら」


「あと半分は何だよ」


「私は異世界の武器所持者(ユニークホルダー)には力は使うなと命令してあるわ」


「つまり戦力を把握していたとしても偽の戦力情報という事か」


「そういう事。ルーエンブル領主が飛び切りのバカでない限り大げさな戦力はここには送り込まないわ。だからこそ今の敵戦力は二百人程度。それでも多いほうだけど対応できないほどではないわ」


「なるほど、部の良い賭けを・・・いや、そこまで言うんだ。当然ルーエンブル領主の事も調べ上げているんだろう?」


「当然」


 胸を張って自信満々にリーネは答えた。


「相手の行動を読んだゆえの行動。確かにこれは作戦だな」


「でもね、釣った獲物は敵戦力二百じゃないのよ。むしろそっちはおまけよ」


「どういうことだ。戦力=人数じゃないのか?」


「ゲイルが居た世界は知らないけど、この世界の戦力は人数では無いの」

次回の「魔王と亡国の姫が造るキングダムロード」


敵軍に囲まれているのはリーネの作戦の内だった


だが、自らを危機的状況に追い込んで何がしたいのか?


更新話 14-2.ルーエンブル領軍に取り囲まれているわけとは・・・?

                 10月4日 更新

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