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10-2.いつもの平穏

前回の「魔王と亡国の姫が造るキングダムロード」

 変装はリーネの案では無かったことを知ったゲイル


 ゲイルはカイを言葉巧みに操り

 ハユと一緒にセレネに料理を作ってもらう事にした


 何も知らないハユはどうなってしまうのか・・・?

「よしハユ。今から俺の事は師匠と呼べ」


「し、ししょう?」


「そうだ。俺はこれからハユに俺が知る生きる術を教える。だから師匠だ」


「わ、わかりました。し、師匠」


 ハユは目を輝かせながら俺をじっと見つめてきた。


 そんな時、ハユのお腹からぐ~っと音が鳴った。


 ハユは恥ずかしいのか顔を真っ赤にして俺から目をそらした。


「まずは食事だ。腹が減っては戦はできんと言うからな。たらふく食べてくれ」


「は、はい!」


 そんな時だった。


 セレネが料理を持ってきた。


 とてもいいタイミングだ。


「さあ出来ましたよ。今回は子供用にみんな大好きハンバーグにしてみました」


 セレネが持ってきたハンバーグにはデミグラスソースのようなものがかかっていてとてもいい匂いがした。


 匂いと見た目だけは完璧だ。


 そう匂いと見た目だけはな。


「おお、旨そうだな」


「あ、ゲイルさん。よかったら味見します?」


「お、俺は今はお腹は空いてないからな・・・残念だな・・・いや~残念だ」


「し、師匠」


 ハユは俺の服をつまんで引っ張ってきた。


「どうしたハユ?」


「こ、これは本当に食べ物なのでしょうか?」


「どうしてそう思うんだ?」


「この食べ物から刺激臭みたいなのがして、本能が警告を出してるんです」


 なるほど亜人というのは鼻が良いみたいだな。


 俺はハユの顔を真っ直ぐ見つめとても真剣な表情で話しかけた。


「ハユ」


「は、はい!」


「これは最初の試練なんだ」


「し、試練ですか」


「そうだ。これを乗り越える事で今の自分を変えることが出来るんだ。辛いかもしれないが俺も辛いんだ。こんな試練をハユに受けさせなければいないことが」


「し、師匠。・・・わかりました。この試練、見事乗り越えて見せます」


「よく言った」


 ハユはハンバーグを一口サイズにして口に入れた。


 ハユは涙目になりながら声にならない悲鳴を上げてこのゲテモノ料理を食べきった。


 食べきった後はその場で白目をむいて倒れた。


 俺は倒れたハユを両手で抱えた。


「カイ、俺はハユをベットまで運んでくるから。後はがんばれ」


「ちょっとゲイル。待って!」


「カイ君。できましたよ。今回はとても大活躍だっと聞きましたので特別に量を倍にしてみました。いっぱい食べてくださいね」


「ワ、ワーイ。ヤッター・・・」


 これほど悲しいやったーは聞いたことが無い。


 大活躍したのにこれほど報われないとは悲しいな・・・。


 そんな絶望に染まり切ったカイを置いて俺はベットのある部屋までハユを運んだ。


 ハユをベットに寝かした後、俺はやることが無く暇すぎて座った椅子でそのまま寝ていた。


 俺は何者かに体を揺らされて起きた。


 当然犯人はハユだ。


 目を開けると普段のニッコリ顔のハユではなく、むすっとしたちょっと怒った顔のハユだった。


「寝てたのか・・・」


「師匠。私に何か言う事とか無いんですか?」


「ああ、おはよう。ハユ」


「おはようございます。・・・でも違います」


「ん? なんだ? 他に言うことあったか?」


「あの料理は一体何なんですか! 匂いもそうですけど、食べた瞬間おかしな味がしましたし食べ物じゃないですよね?」


 俺の無神経な言葉にハユは完全にキレていた。


「わかる。わかるぞ。俺も最初食べさせられた時同じこと思ったからな」


「じゃあなんで食べさせたんですか!?」


「いいかハユ。あれは薬なんだ」


「最初食事って聞きましたけど・・・」


「・・・」


「・・・」


 ハユの冷たい視線が俺の胸に刺さる。


 答えても良いが食事と偽った理由を言うと多分ハユをもっと怒る可能性があるしな。


 俺は無理やり話題を変えることにした。


「体の痛みとか消えてないか?」


「無視ですか!? 無視なんですか!? ・・・確かに痛みとかは全くありませんが」


 ハユは起き上がってぴょんぴょん跳ねて体に異常が無いことを確かめた。


 俺が見てもどこも異常が無いのがわかるぐらい元気に跳ねていた。


「俺があれを食べさせた理由はそれだ」


「で、でも薬だったら粉とか液状の物とかあるんじゃないんですか?」


「今の所見たことないな」


「なぜあの方はあのような形で薬を作るのでしょうか?」


 そういえばなぜだろうな。俺も聞いたことが無い。


「俺も知らないな」


 二人して頭に疑問符を浮かべていると急に扉があいた。


 そこには元気なカイの姿があった。


 頬にあった切り傷も綺麗に無くなっていた。


 いや本当にあの料理何でも治せるな。

次回の「魔王と亡国の姫が造るキングダムロード」


セレネの料理を食べさせられ不満たっぷりのハユ


セレネがどうして料理にこだわるのか?

そこに現れたカイが真相を語る


その真相とは? 味が全く改善しない理由とは?


更新話 10-3.いつもの平穏

       9月22日 更新

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