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10-1.いつもの平穏

前回の「魔王と亡国の姫が造るキングダムロード」

 異世界の武器を所持していた傭兵アイズとカイが対峙した

 

 そして死闘の末、カイは傭兵アイズを撃破することに成功し

 無事アジトに向かう事に成功したのだった

「そういえばリーネ。俺達変装してたのにどうしてわかったんだ?」


「え? あれ変装してたの? カイのバカな案に乗っているだけだと思ったのだけれど・・・」


「この変装はリーネが提案したって聞いたんだが」


「許可はしたけど、提案はした覚えはないわね」


 あのバカは後で一発殴ろう。


「それに今の手配書って精度がめちゃめちゃ悪いからすれ違ったぐらいだったらバレないわ。むしろ変装して目立ってる方がリスク高いわよ」


「じゃあ、あのバカのアフロは一体何なんだよ」


「気に入っているからじゃないかしら。あとその金髪ロングは意外と似合っているわよ」


 リーネはニヤニヤしながら言ってきた。


 俺はとても腹が立ったのでその場で金髪のかつらを脱いで捨てた。


 二度と変装するか!!


 そんなこんなしている間に馬車は拠点についた。


 リーネはやることがあるとかでその場を足早に去っていった。


「まずは負傷者の手当てからだな」


「え、ちょっとゲイル。僕の腕を引っ張ってどこに連れて行こうというのさ」


「いや、だから負傷者の手当てしに行くんだよ」


「負傷者? ハユちゃんの事ならわかるけどなんで僕も行かなくちゃいけないの?」


「だってカイ。顔に切り傷あるだろ?」


「いやいやいや、このぐらいほっといても治るよ」


 カイの腕を持って引っ張っているがちっともビクともしない。


 無理やりは分が悪いか。


 力で無理なら言葉で動かすまでだ。


 俺はカイの目を真剣に見つめ真面目に話すふりをした。


「もし剣に毒が塗られてたら死んでしまうじゃないか。俺はお前が心配なんだよ」


「ゲイル・・・」


「大丈夫だ。そんな程度塗り薬で終わりだ。さあ一緒に行こう」


 カイは俺の言葉に絆されたのか引っ張ってもビクともしなかったその足が動き始めた。


 掛かった!


 フハハハ、これだからバカは扱いやすくて助かる。


「わかったよ。そんなに心配されたら仕方がないね」


 俺達はセレネの居る部屋の前まで移動した。


 前回俺はカイの策略によってセレネの着替えの最中に入って大変な目にあってしまった。


 だから今回はノックした後、声が返ってくるまではドアを開けない。


 そう俺は誓いを立てて目の前にあるドアにノックをした。


「セレネ居るか?」


「は~い。何ですか? ゲイルさん」


 セレネはドアを開けて可愛らしい笑顔で迎え入れてくれた。


 俺はカイとハユの二人と一緒に部屋の中に入り、ドアをふさぐようにドアの前に立った。


「重傷者二人だ。至急あれを作ってくれ」


 その言葉を聞いたセレネは「はーい」と返事をした後、調理場に向かった。


「重傷者二人・・・? はっ・・・! 謀ったねゲイル!!」


 さすがのバカにもわかったようだ。


 自分が窮地に立たされていることに。


 だがもう遅いぞ。


 調理場に向かったセレネは止まることはないからな。


「変装させた事のおかえしだ! あれリーネに聞いたら必要ないって言われたぞ!」


「そんなバカな・・・」


「バカはお前だよ」


 カイは観念したのか、近くにあった椅子に座ってぶつぶつと何か言っていた。


 そんなカイを見てハユは不安になったのか俺の服を不安そうに引っ張ってきた。


「ゲイル様。これから私は何をするのでしょうか?」


「ハユ。まずは体の治療からだ。それで元気になったらこれからの事を話す」


 ハユの体は傷だらけだ。


 服で見えないとこにも痣があるだろう。


 あの店主に蹴られてたからな。


「わ、わかりました」


「あとゲイル様ってのも嫌だな。なんかむず痒い。う~ん」


 俺は幼い頃に拾ってもらった師匠の事を思い出していた。


 俺は拾われてから師匠に何を教えてもらったのだろうか。


 そもそもなんであの人を師匠と呼ぶことになったんだろうか。


 俺は拾われた時の事を思い出していた。


 確か当時5歳ぐらいの時だったな。


 あの時は3日何も飲まず食わずで道端に行き倒れていた。


 そんなところに銀髪のいかつい30代ぐらいの女の人が俺に向かってこう話しかけてきたな。


「おいガキ。死にたくなければ俺を師匠と呼んで敬え。そうすればお前に生きる術を教えてやる」


 俺はそれから彼女の事を師匠と呼ぶようになったんだったな。


 今思えばとても生意気な女だったな。


 だが師匠の教えのおかげで今まで生きてこられたんだ。


 感謝はしている。


 まあ一回死んだんだけどな。


 俺はこれからハユに独り立ちできるように色々教えなくちゃいけない。


 そう考えると呼ばせ方は一つだな。


「よしハユ。今から俺の事は師匠と呼べ」


「し、ししょう?」


「そうだ。俺はこれからハユに俺が知る生きる術を教える。だから師匠だ」


「わ、わかりました。し、師匠」

次回の「魔王と亡国の姫が造るキングダムロード」


ゲイルはハユとカイにセレネの劇物料理を振舞った


逃げる事が出来ないカイ

何かを察するハユ


生き残る事が出来るのか?


更新話 10-2.いつもの平穏

       9月20日 更新

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