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9-4.危険な帰り道・・・?

前回の「魔王と亡国の姫が造るキングダムロード」

 盗賊団を嗾けてきたのはハユを虐めていた店主だった

 その盗賊団が使えないと言い今度は傭兵アイズを嗾けてきた


 その傭兵アイズは異世界の武器所持者だった

 傭兵アイズの攻撃によってカイは押しつぶされ絶体絶命のピンチなのか?

「潰れたか・・・。あっけないものだったな。あれだけの大口を叩いていたのにこの程度とは」


「なあリーネ。あれ不味くないか? カイの居た場所、完全にあの鉄球に潰されているんだが。今すぐ助けに行った方がいいんじゃないか?」


「大丈夫よ。あんな程度でカイが倒れることは無いわ。カイ! いつまでやっているの! 早く終わらせなさい!」


「何言ってんだ。あいつはもう死んで・・・」


 一切動かなかった鉄球が動き出し、そして鉄球が空に打ちあがった。


 空高く打ちあがった鉄球はアイズの間隣にズドンッと大きな音を立てて落ちていった。


「なんだと!?」


「ひどいなぁリーネ様。せっかくどうやって登場したらかっこいいか考えていたのに。ネタ晴らしが早すぎるんですよ」


 鉄球があった穴からカイが飛び上がって出てきた。


「な、なんで生きているんだお前は!」


「なんでって、鉄球が当たるタイミングで地面を切って砂状のクッションを作ったからダメージはなかったよ」


 カイはさらっと滅茶苦茶なことを言っていた。


「な!? ・・・そ、それでもだ、この鉄球は1トンあるんだぞ。最後の鉄球を跳ね上げたのはどうやった!」


「それはね、僕の武器、幻光剣(げんこうけん)レプティカルバロメントのおまけ効果なんだけど。使用者が必要とした体の限界値の身体能力を与えるっていう効果なんだ」


「お、お前も異世界の武器所持者(ユニークホルダー)だったのか!?」


「そうだけど、武技は発動してないよ。こいつの武技は色々制限があって使いづらいんだ」


「こ、この俺が武技も発動すらしていないおまけ効果だけで戦っている奴に負けるはずがない!」


 アイズはカイの滅茶苦茶に心が折れそうになったのか自らを鼓舞し気力を保っている。


「そろそろ終わりにしないとね。じゃないとうちの姫様がお怒りになってしまうしね」


「そうだな。こっちの店主も不安になりかけているし終わりにしないとな。最後にお前の名前を聞いていいか? 俺の名前はアイズ・グラッド」


「僕の名前はカイ・シェールストーン」


 カイは自らの名をアイズに教えた。


 これはカイなりにアイズを認めたという事だろう。


 二人の間に緊迫した空気が流れる。


 互いににらみ合い攻撃の機会を伺っている。


 武器の間合い上、カイは詰めなければいけない。


 一方アイズは突っ込んできた所を潰せばいい。


 一見カイの方が不利に見えるがアイズは一撃でも外せばそのままカイに間合いを詰められて終わってしまう。


 どちらも油断できない状況だ。


「・・・行くよ」


 先に動いたのはカイだ。


 カイは間合いを詰める為にアイズに向かって真正面に飛び込んだ。


 アイズはカイの行動を読んでいた。


 というかカイにはそれ以外選択肢が無いのだ。


 それ故にカイの行動に対して即座に反応した。


 アイズは真正面から来るカイに向かってその手にある巨大な鉄球を高速で投げつけた。


「終わりだ!!!!」


 アイズには一つの考えがあった。


 この攻撃はほぼ間違いなく弾かれるだろう。


 だが、弾いた後必ず油断する。


 その瞬間に弾かれた球を繋がれている鎖で操って二撃目を叩き込む。


 それで終わりだ。


 カイはアイズの思惑通りに球を弾いた。


 アイズはその瞬間ニヤリと笑い勝ったと思った。


 そして、アイズは予定通りに弾かれた球を鎖で操ってカイに向かって叩きつけようとした。


 その時、アイズは気づいたのだ足に踏ん張りが効かない事、そして自らが宙に浮いている事を。


「何!?」


 アイズは自らが空中にいる理由を理解できていなかった。


 いや理解したくなかったと言った方がいいだろう。


 じゃあなぜアイズが浮いているのかって?


 簡単だ。


 カイが迫ってきた鉄球を力に任せて思いっきり高く打ち上げた。


 そのせいで鎖で繋がっている棒を持っているアイズはそのまま上に引っ張られたってわけだ。


 アイズは空中にいる間は何もできない。


 その無防備な瞬間にカイは距離を詰め切り自らの間合いにアイズを入れた。


 そしてカイの剣がアイズを捉え、アイズの左肩から斜めに深い一撃が入った。


 アイズはカイの一撃によって大きな出血をし死にかけていた。


「危なかったよ。もう少し鉄球の速度が早かったらやられていたのは僕の方だったよ」


「っへ、嘘つきめ。そもそも鉄球を受け止める必要はなかっただろう」


「それは・・・」


「お前なりの優しさだろうが、俺に言わせれば余計なお世話だ。・・・せいぜいその優しさで死なないよう気をつけな」


 そう言い残しアイズは死んでいった。


 カイはアイズの言葉に何か思うことがあるようなのかアイズの死体をじっと見つめていた。


 10秒ほど見つめていただろうか、そうした後、カイは尻もちをついている店主の元にゆっくりと歩いて向かった。


「次はあんただ。店主」


「クソ! 来るな! バケモノ!」


 店主は後ろに後退り、カイから離れるも背中に木が当たりそれ以上後ろに下がれなくなった。


 カイは店主に近づき剣を大きく振り上げた。


 店主はその瞬間、カイの腰にぶら下げいる鞘に刻まれている紋章に気が付いた。


 刻まれている紋章は石に掘られた貝殻のようだった。


「その紋章はクリスタリア王国の六大将軍の一人。シェールストーン家の紋章! なんでお前みたいな小僧が持っている!?」


「それは僕がシェールストーン家の一人だからだよ」


「シェールストーン家はクリスタリア王国が滅亡した時に一緒に滅亡したはず。なんでその生き残りがこんなところに・・・。まさかあの馬車にいる人間の一人がクリスタリア王家の・・・」


「いい死に土産が出来たじゃないか。あの世で自慢するといい。あのシェールストーン家の一太刀をもらったってね」


 カイは振り上げた剣を振り下ろした。


 店主は真っ二つにされ死んだ。


 そしてカイはすべての死体を片付けリーネの元に戻った。


「お待たせしましたリーネ様」


「お疲れ様。死体の処理はどうなっているのかしら?」


「すべての死体を細切れにして森に投棄しましたので見つかる心配はありません」


「そう。ならいいわ。拠点に帰るわよ」

次回の「魔王と亡国の姫が造るキングダムロード」

無事アジトに戻ったゲイル達


傷だらけのハユを見たゲイルはとある行動に出た

ついでにカイは道連れになった


その行動とは・・・?


更新話 10-1.いつもの平穏

       9月18日 更新

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