1-3.魔王降臨
前回のあらすじ
ゲイルは自分が人ではないという事を知るのであった
「ゲイル様は既に人族をやめられています」
「聞き違いじゃなかった・・・。という事は俺にもツノとか翼とか尻尾が生えているのか」
俺は頭や背中や尻を触る。
だが、特に変なものが生えている様子はなかった。
「いえ、そう言ったものは遺伝とかで生えてくるものなのでゲイル様には生えてませんよ」
俺はアンダーのその言葉に少し安心した。
よかった。変なものが体から生えてきてたらどうしようかと思ったぞ。
・・・だが、これだと俺が魔族だって証明できなくね?
「それじゃあ人族と見分けが付かないんじゃないのか?」
「そうですね。見た目だけでは見分けはつきません」
「俺はどうやって魔族の頂点に立つ魔王だって示すんだ?」
「それについては安心してください。人族と魔族には決定的な違いがあります」
アンダーの顔は自信に満ち溢れていた。
「決定的違い・・・それは一体?」
「それは魔法が使える事です」
「魔法って人族は全然使えないのか?」
「・・・武器の力を使えば魔法も使えないこともないですね」
そこは使えないって言う所じゃないのか。
魔法は魔族特有のアイデンティティにしてほしかったぞ。
「それじゃあ違いとは言えないな」
「では魔力量の多さとかはどうでしょう?」
「その違いってどうやって示すんだ? ・・・まさか魔法を沢山使って証明するとか言わないよな?」
「はい。そうです。さすがゲイル様」
俺はため息を吐いた。
アンダーは俺が吐いたため息になんで? みたいな顔をしていた。
こいつもしかして天然入っているのか。
「それは結局証明するのは困難という事には変わりないんだな」
結局、魔族と人族の違いについて目立ったものはなかった。
「こんなぽっと出の奴が魔王なんて反対する奴が沢山いるんじゃないのか?」
「そこは抜かりありません。魔王とは魔力量が一番多い者にしかなれませんから」
「つまり俺はここにいるすべての魔族よりも魔力が多いということか?」
「そうですね。私よりも魔力量は多いので魔力の使い過ぎで倒れるとかはあり得ないですね」
「なんで俺はそんなに魔力量が多いんだ?」
「魔力量は戦えば戦うほど上がっていきます。よってゲイル様を魔族の体に変換した際に過去の戦闘経験値に応じた魔力量になるので多いのですが・・・。ゲイル様は一体何時から戦っておられるのですか?」
「師匠に五歳の時に拾われて、そこから修行と言って戦争に参加させられたりして十二年ぐらい戦い続けていたかな」
「じゅう・・・十二年。大変でしたね・・・」
アンダーはそう言って俺の顔を胸に抱きよせ頭を撫でてきた。
一瞬心地よかったが、我に返って恥ずかしくなりアンダーを突き飛ばした。
「お、俺はそんな年じゃない!」
今回は短いですけど許してくださいm(>д<・.)m