9-3.危険な帰り道・・・?
前回の「魔王と亡国の姫が造るキングダムロード」
助けた少女、ハユと仲良く談笑していた帰り道
盗賊団が目の前に現れ対峙することになった
相手は20人、そしてそれに対するのはカイだった
この人数差では苦戦を強いられるのではないかと思ったが
カイが圧倒的な強さを見せて盗賊団全員を倒したのだった
盗賊団を全滅させたので帰ろうとした時、茂みから見たことのある小太りの男が現れた。
「クソ! 何が無く子も黙る盗賊団だ。やられてんじゃねえか! 高い金だして雇ったのに使えねえな!」
「あんたは、ハユをいじめていた店主じゃないか。・・・まさかこれはあんたの仕業なのかい?」
「それがどうしたよ」
「なんでこんなことをするんだ!」
「そんなの、お前達が気に入らないからに決まっているだろうが! 俺のおもちゃを持っていきやがって!」
「おもちゃだって・・・? あんたは人を蔑まないと生きていけないのか!」
「人だって? アハハハハ、言っただろ。あのおもちゃは人じゃない。魔獣なんだよ!」
「わかった。お前はこの僕の手であの世に送ってあげるよ」
カイは本気の殺気を店主に向かって放っていた。
今にも殺しそうな勢いだ。
そんな殺気に当てられ店主は一歩後ろに下がっていた。
「・・・く。おい! 出てこいアイズ! 仕事の時間だ!」
そう店主が言うと茂みからもう一人男が出てきた。
その男は鋼の鎧を着ていて顔に切り傷のあって歴戦の戦士のような風格を漂わせていた。
「おいおい、店主。まさかこんなガキが相手か?」
「そうだ! いいかすぐに殺すなよ。半殺しにして中にいる女が犯されている所を見せてからじっくり殺すんだ!」
「なるほど。なかなかの注文だな」
アイズは手にモーニングスターを持つと、予備動作なしに先端に付いているとげとげの鉄球をカイに向かって放っていた。
常人なら気づく前にその鉄球を食らうぐらいの速度だった。
だが、カイはこれを持っていた剣で弾き、相手の元まで返した。
「ほう、これを見切るか」
「いいから、さっさと本気で来なよ。時間の無駄だよ」
「いいだろう。店主、悪いな。本気を出さないと勝てそうにないみたいだ。あの注文を気にしながら戦うのは無理だ」
「何を言っているんだ! お前はプロの傭兵だろうが! 客の注文はしっかり聞け!」
アイズは店主の無茶な注文に対し頭に来て、店主の胸ぐらをつかんだ。
「店主! 注文はできる限り聞いてやる! だが、オプションは必ず勝てる相手のみだ! ・・・それともここで死にたいのか?」
アイズの怒りのこもった殺気と言葉を浴びた店主は怯えながら脱力した。
アイズはそんな店主をその場に捨ててカイの元に一歩一歩近づいて行った。
「待たせたな」
「いいよ。そこまで待ってないから」
「随分と余裕だな。無理もないか。俺が武技解放者だっていう事を知らないんだからな」
武技解放者? なんだそれ。
リーネに聞いてみよう。
「なあリーネ。武技解放者ってなんだ?」
「まず、この世界では異世界の武器を持っている者を異世界の武器所持者と呼ぶの。武技解放者っていうのは異世界の武器の熟練度が低い者の事を言うわ。それでもそこまで行くにもとてつもない苦労が要るのだけど」
ああ、勇者のような奴か。
「なるほど・・・不味くないか?」
「大丈夫よ。カイを信じなさい」
俺はリーネの言葉通りカイを信じることにした。
それに敵も勇者のように強いとかは無いだろ。
「ただの傭兵のくせによく持てたね」
「これを持っている時点でただの傭兵とはかけ離れていると思わないか?」
「貴族崩れの傭兵といったところかな」
「正解。とはいっても勘当された身だ。貴族の誇りだとかは持ち合わせていないがな」
アイズは互いの間合いに入ったところで足を止めた。
「もうおしゃべりはいいだろ。そろそろ殺し合いといこうぜ」
「来るなら早く来なよ。何があっても返り討ちにしてあげるからさ」
「ハハハハハ、その余裕の顔が消えるのが楽しみだな! 巨大星球ビッグバンスター! 武技解放!」
アイズの言葉の後、モーニングスターの先端に付いている鉄球はみるみる大きくなり最終的に直径5メートルぐらいの大きさになった。
その大きすぎる鉄球をアイズは片手で持っていた。
「この巨大星球ビッグバンスターの能力はこの武器を扱えるだけの力を使用者に与える能力だ! このデカすぎる球を使えないとか思うんじゃねえぞ!」
アイズはその大きな鉄球をカイの直上に投げ、カイの姿がその鉄球の陰に隠れた。
その時、アイズは紐づいている鎖を使ってカイに向かって空中に浮かんでいる鉄球を叩きつけた。
カイはその鉄球を避けることせずその場にじっと止まっていた。
当然何もしないため大きな鉄球はカイを地面事潰し、鉄球は地面に8割ほど埋まっていた。
「潰れたか・・・。あっけないものだったな。あれだけの大口を叩いていたのにこの程度とは」
「なあリーネ。あれ不味くないか? カイの居た場所、完全にあの鉄球に潰されているんだが。今すぐ助けに行った方がいいんじゃないか?」
「大丈夫よ。あんな程度でカイが倒れることは無いわ。カイ! いつまでやっているの! 早く終わらせなさい!」
次回の「魔王と亡国の姫が造るキングダムロード」
傭兵アイズと対峙するカイ
傭兵アイズは異世界の武器を所持していた
その武器を使いこなす相手に勝てるのか?
カイに秘策が?
更新話 9-4.危険な帰り道・・・?
9月16日 更新