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8-2.いざパラダイスへ・・・と思ったが・・・?

前回の「魔王と亡国の姫が造るキングダムロード」

 仕事が終わったゲイルとカイ


 次に向かった先はキャバクラのはずだった・・・

 道中では男が少女を虐める姿が見えた


 それを見かねたゲイルは止めに入ったのだった

「・・・た・・・助けて」


 その小さな言葉は精一杯の声を振り絞るようだった。


 体は満身創痍で今にも倒れそうなぐらいだ。


 そんな姿が昔の孤児だった時の自分と重なってしまい、過去の嫌な記憶がフラッシュバックしイライラが募っていった。


 その言葉を聞いた小太りの男は怒り、大声で女の子に怒鳴りつけた。


「助けてだと? おい! 誰のおかげでここまで生きてこれたと思っているんだ! この恩知らずが!」


 小太りの男が拳を振り上げ、女の子を殴ろうとした。


 女の子はその拳をかばうために顔の前に腕をクロスさせ受け止める姿勢を取っていた。


 だが、小太りの男の拳が女の子に振り下ろされることは無かった。


 あまりにも見てられなかったので俺は小太りの男の腕を掴んで殴るのを阻止していた。


「はあ、もうそのぐらいにしといたらどうだ?」


 小太りの男は俺の方に振り向いて睨みつけてきた。


 強い殺気を感じるがこの程度、戦場に比べたらへでもない。


「ああん? テメェ・・・、やけにコイツを庇うじゃねえか。まさか、子供だから可哀想とかって言うんじゃあねえだろうな!」


「可哀想だと? ハッハハハハ」


「何を笑ってやがる!」


 この俺が子供一人に対して可哀想?


 あり得ないな。


 戦場で出会った子供はすべて敵だった。


 そんな子供に対して感情なんか持ってたらすでに死んでるぞ。


 ・・・まあ、別件で死んだんだがな。


 だが、なぜがこの女の子がいたぶられているのは見ていられない。


 というかイライラする。


 なぜだ・・・。


 そうかわかったぞ。


「違うぞ、オッサン。俺はただ昔の俺を見ているようでイラついたから止めただけだ。勘違いするなよ」


「だったら早くどこかに行きな! 今の内だったら何も聞かなかったことにしてやるよ」


 小太りの男はシッシと手を振ってどこかに行くように促していた。


「そ、そうですか。では僕達はここで。・・・ちょっとゲイル、何やってんの?」


 カイが俺の腕を持って無理やりどこかに行こうとしたが、女の子は俺のズボンの裾を力なく持っていた。


 まるで小さな最後の抵抗のようだった。


 そんな姿を見てしまったら置いて行くわけにはいかなくなったじゃねえか。


 俺はカイの腕を振り払った。


「悪いが、立ち去る事は出来ねえな」


「何だと!?」


「コイツを置いていく訳にはいかなくなった」


「はっ! 口では何だかんだ言っていたが、結局このガキが可哀想で見捨てられねぇってか! よく見ろこのガキを! このガキはな、亜人なんだよ!」


 女の子をよく見ると頭に犬のような耳が生えていた。


 その姿は子犬のようで愛らしく、差別する要素など一つもないように見えた。


「亜人? 何だそりゃ?」


「所詮、世間知らずのお坊ちゃんか。いいだろう教えてやるよ。亜人てのはな魔獣と人間が交配し出来上がった人の皮を被ったバケモノなんだよ! つまりそのガキは人ですらねえんだ!」


 魔族よりマシだろ。


 あいつらは角とか翼とか生えているし。


 頭に犬の耳が生えているぐらい可愛いもんだよ。


「バケモノか・・・。じゃあ別に気にする必要は無いな。なんたって俺もバケモノって部類にいるからな」


 魔族だしな。


 人ですらねえ。


「最後にもう一つ良いことを教えてやるよ。ここら一体のトラブルはアズーダ商会が対応しててな、呼べば直ぐに駆けつけてくれるのさ」


 小太りの男が手を上にあげ、指でパチンと鳴らすと俺達の前と後ろに巨大な斧を持った屈強な男が二人ずつ現れた。


「ここでの罪の重さは店主が決めて良いことになっている。お前達の罪は商品窃盗。よって死刑をくれてやる!」


「望むところだ!」


「いや、望まないから! ダメだよゲイル。ここは逃げるんだよ!」


「心配すんな。あんな雑魚、一撃で終わる」


「違うよゲイル。確かにゲイルならあんな雑魚一撃で終わらせることは出来るかもしれないけど、ここでこの人達を倒したら面倒なことになるの! だからここは即座に逃げる一択だよ」


 面倒なことって一体なんだ? ん~・・・。もうここに来れなくなるという事か。


「確かにそれは面倒だな」


「ゲイル・・・」


「だったら・・・後ろの雑魚を倒して一点突破で逃げるぞ!」


 俺は女の子を脇に抱え、俺とカイは互いに目を合わせ一斉に後ろの男たちに向かって突進しようとした。


 その時、その行動を阻止するように大きな聞き覚えのある声がその場に鳴り響いた。


「そこまでよ!」


「誰だ!」

次回の「魔王と亡国の姫が造るキングダムロード」


 少女を脇に抱えその場を脱出しようとするゲイル達


 彼らの行く手を阻む謎の人物


 そいつは敵か? 味方か?


 次回 8-3.いざパラダイスへ・・・と思ったが・・・?

                   9月8日 更新

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