8-1.いざパラダイスへ・・・と思ったが・・・?
前回の「魔王と亡国の姫が造るキングダムロード」
ルーエンブル領に着いたゲイルとカイ
そこでゲイルが見た光景はボロボロの街並みだった
その原因を聞くとダリウス王国にあるらしい
民はなぜ立ち向かわないのか?
その理由はクリスタリア王国の国王が処刑直後に言った言葉だった
そのクリスタリア王の言葉と行動には疑問しか出てこなかったのだった
そして二人は買い物を終えたのだった
カイは突然俺の両肩をがっちり掴み、俺の顔を真剣に真っ直ぐ見てきた。
「それよりもだよ。仕事が終わった後ってご褒美とか欲しくならない?」
何を真剣に話すのかと身構えたが、真面目な話ではなさそうだな。
だが、ご褒美とやらは興味があるな。
「まあ、欲しくなる時もあるな」
「そうでしょう。それにゲイルに紹介してないとっておきの場所があるんだよ」
「とっておき・・・だと!?」
「それはね・・・、綺麗な女の子達と楽しく飲める所があるんだよ」
「なんだと!? 詳しく教えろ」
そんなパラダイスがこの街にだと!
・・・いや待てよ。
街がこんな感じなんだ、外観もボロイはずだ。
あまり期待するものではない。
「階級持ちの人達を守る城壁の西側には貴族達が住んでいる場所にもかかわらず、平民達も入れる場所が存在するんだ」
「なるほど。そこに俺達のパラダイスが存在すると言う事なんだな」
「そう言う事。それに貴族達が住んでいる場所っていう事で外装、内装共に綺麗なもんさ」
カイの目は光り輝いていた。
そんな楽しそうなカイを見ていると期待が膨らみ、胸が高鳴っていた。
「小洒落た店で良い酒と良い女が楽しめるっていう事だな」
「そういう事さ」
「でもそういう店って高くないのか?」
というか俺、所持金0だけど大丈夫なのか。
「ふふふ、そこは任せておいてよ。どんなにお酒と女の子を二人で楽しんでも銀貨20枚以内で収まる穴場スポットを見つけたんだ」
おお、安・・・いのか?
「銀貨1枚分の相場を知らない俺には凄いかどうかわからないんだが」
「定食屋で出てくる一人前の料理の値段が銀貨1枚分ぐらいかな」
なるほど、俺のいた世界で言うと銀貨1枚は10$換算になるのか。
という事は200$で酒が飲み放題で女の子とイチャイチャ出来る。
「確かに風俗にしては安いな」
俺がそういう所に行った時は1000$は使ってたから安い安い。
「でしょ! 早速行こうよ」
「そうだな。いざパラダイスへ」
俺達は西門を目指して歩き出した。
西門に近づくにつれ人混みが多くなり活気も溢れかえっていた。
人混みの中を30分ほど歩いてようやく西門にたどり着いた。
西門は大きく開けられ誰でも通れるようになっていた。
そして西門の奥には煌びやかな風俗街が広がっていた。
先ほどの平民街と違って建物の構造はレンガのような石材を使っており外観は思ってたより綺麗だった。
「これが風俗街」
「そう、ここが欲望を解放できる唯一のパラダイスさ」
「じゃあ早速向おうぜ。激安優良店へ」
「そうだね。早速向おう」
俺達は煌びやかな大通りを外れ、細い脇道を歩いていた。とても怪しさ満点だ。
「確かこの脇道を潜った先にあったはず」
カイがうろ覚えの道を進んでいると、正面奥に黒髪ぼさぼさ頭の小太りの男とうずくまっている黒髪のショートカットの女の子が居た。
小太りの男の格好は金ぴかのスーツを着ていて金を持っているように見えた。
一方女の子はボロイシャツを一枚着ているだけだった。
何やら揉めているにも見える。
「・・・っ」
「なんだその反抗的な目は!? 大事なお客様に怪我させやがって!」
そういいながら小太りの男はうずくまっている女の子の腹に蹴りを入れていた。
「・・・なんだあれは?」
俺は胸糞悪い光景を見て思わず足を止めてしまった。
「ゲイル、ダメだよ。ああいったのには関わるとロクなことにならないんだ」
カイが足を止めた俺を引っ張って連れて行こうとしたが、俺がガン見しているのを小太りの男にバレた。
「なんだテメェら、文句でもあんのか?」
「すみません。直ぐにどこかに行きますんで。・・・て、ゲイル!? 」
俺は小太りの男に近寄って耳元で小さくつぶやいた。
「文句って言う訳じゃないんだが、あんまり怒りすぎるとハゲるぞ」
「うるせえ! 頭ならとっくの昔にハゲとるわ!」
そういって小太りの男は頭にかぶっていたズラを地面に叩きつけた。
禿げてたのか・・・。
それは申し訳ないことをしたな。
そう俺が反省をしていたところ近くにいた女の子が俺のズボンを引っ張ってきた。
「・・・た・・・助けて」
次回の「魔王と亡国の姫が造るキングダムロード」
ゲイルに対して助けを求める少女
その姿に昔の自分を重ねるゲイル
告げる衝撃の真実
少女の正体とは?
次回 8-2.いざパラダイスへ・・・と思ったが・・・?
9月6日 更新