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5-3.新しい仕事・・・

前回の「魔王と亡国の姫が造るキングダムロード」


覗きの罪によって裁判に立たされたゲイル


野次馬の中には原因を作ったカイの姿が!?

知らぬ存ぜぬで蚊帳の外から楽しもうとするその姿に

ゲイルは黙っていることはできなかった


カイを道連れにした後

どこかよくわからない場所に連れてこられることになったのであった


 カイの訴えは通ることは無く、男どもはカイとゲイルを担ぎ、崖の近くにゲイルとカイを移動させた。


 崖の下には森が広がっておりここから飛び降りようものなら即死するレベルの高さだった。


「ここがお前達の墓場だ」


「まさか、この崖から飛び降りろとか言わないよな?」


「お前達の罪はこの崖を飛び降りる事によってその恥らしい自分を殺してやっと解放されるんだ。さあ自らの足でその罪深き体を清めるのだ」


 裁判長の目は輝いていて、まるで神を崇め、神のためなら何でもする信徒のような狂気を纏っていた。


 マジだ、冗談とかではないマジで落とす気だ。


「おい、カイ。あの目マジだぞ。本気であんなこと言ってるがこの隊大丈夫なのか!?」


「これもまた・・・定め」


 カイはまるで悟りを開いた坊主のように清らかな顔をしていた。


 つまり、こんなことはしょっちゅうあり考えることが面倒くさくなった。


 そういう事なんだなとカイの顔を見て思った。


「そういえばカイもこの隊の一員だったな」


「いざ清めの時だ!」


 男たちはカイとゲイルを立たせ崖の目の前に移動させた。


 紐はそのままで手は動かせず、足のみ動かせるような状態だ。


「ん? ちょっと待て。もしかして体を紐で縛ったまま落とす気なのか!?」


 カイとゲイルは背中を押され崖に紐なしバンジーをする羽目になっていた。


「おいおいおいおいおい、これマジで死ぬ奴だろ! カイ! 大丈夫なのか!?」


 カイはとても余裕そうにゲイルの質問に返した。


「ああ、大丈夫だよ。これまで死んだやつは一人もいないから」


「これからの保証は!?」


「・・・未来を語れるほどの能力は僕にはない」


「いや安全性を保障するだけだろ!」


 カイは体に巻き付けられている紐を周りの木の枝を使って切った。


 そして枝を掴みながら落ちる速度を減速させ崖と地上の半分ほどの高さで太い枝に掴まり、枝を軸に一回転して枝の上に乗っていた。


 あいつの身体能力半端ねえな。


 ていうか俺も何とかしないと死ぬな。


「ゲイル、真面目に何かしないと本当に死ぬよ」


 俺は落ちながら考えていた。


 魔法を行使して情報を与えるリスクとこのまま考えた一か八かの方法で生還して情報の与えるリスクを減らして死ぬ確率が高い方法を選ぶかを。


 考える時間は実に一秒。


 もっと時間があれば俺は後者を選んだだろう。


 だが今死ぬリスクは背負いたくない。


 なので俺は目の前に青い魔法帯を出現させ円状の形にして魔法の準備をした。


飛翔(フライ)


 魔法名を言うとゲイルの作った魔法陣から風が出てゲイルは飛び上がりカイの居る近くの枝に着地し、紐を近くにあった尖った枝で切った。


「ゲイル。それ魔法かい?」


「ああ、そうだが珍しいのか?」


「そりゃあそうだよ。普通武器の力を使わないと魔法なんて使えないからね」


「なるほど。この世界の人間はそうなっているんだな」


 いい情報だ。


 これを利用すれば歴戦の猛者にも不意を突くことが出来るな。


 俺が魔法を使えるという情報を与えてしまったが大丈夫だろう。


 こいつは何も考えてないバカだからな。


「ゲイル。君は一体何者なの?」


「俺か? ただの魔王さ」


「ははは、ゲイルったら冗談キツイよ」


「・・・」


「え? 本当なの? ねえゲイルってば!」


 俺はカイの言葉を無視して飛翔(フライ)で上に上がり崖を掴んで登った。


 あくまで魔法が使えるのは他の奴には見せない方針でいく。


 登り切った俺を迎えてくれたのは裁判長だった。


「戻ったか。どうだ。罪を償った気分は?」


「そうだな。セレネに謝ればすべて償えそうだ」


「そうか」


「じゃあ、さっそくセレネに謝ってくる」


 俺は走ってセレネの居る洞窟に向かった。


 だが、前方不注意で何かにぶつかりそのままその何かに覆いかぶさる形で倒れた。


 倒れた後、甘い良い香りと手に気持ちのいい柔らかい感触が伝わってきた。


「あいたたたた。ん? なんだこの柔らかい感触は?」


 顔を上げるとそこには顔を真っ赤にしたリーネがそこに居た。


 真っ赤になったリーネはさっき会った凛々しいリーネではなく、可愛らしいリーネだった。


 そのギャップに不意を突かれて不覚にも見とれてしまった。


 そんなリーネの右の手は拳を固めて今にも俺を殴り倒そうとしている。


「ゲ・イ・ル!」


 リーネのものすごい勢いのパンチが俺の顔に直撃し、俺は地面を三回ほど跳ねて、ずさああぁあと地面を擦り付けながら止まった。


 リーネは殴った後ゲイルに冷たい視線を送り洞窟に向かっていった。


 まあ当然こんなもので終わるはずもなく、周りには先ほどの裁判長含む男どもが俺を囲んでいた。


 今回は弁明もする気もなく百パーセント俺が悪いので潔く二回目の紐なしバンジーを体験することになった。

次回の「魔王と亡国の姫が造るキングダムロード」


信頼を取り戻す為に仕事を探すゲイル


 そこにやってきた緊急事態

現れるリーネ


信頼を取り戻すチャンスなのか!?


次回 6-1.ついに見つけた新しい仕事

           8月25日 更新

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