5-2.新しい仕事・・・
前回のあらすじ
ゲイルはセレネの着替えを覗いた
「それでは裁判を始める」
ここにいる男の中で一番屈強で顔が濃いおっさんがこの場を仕切っていた。
周りの男たちは黒いローブを着て、所々で「死ね!」とか小言で言っているのが聞こえる。
「ちょっと待てぃ! いきなりこんな場所に連れてきて何がなんだがわからないんだが!」
「被告人は口を慎んでください」
「被告人って・・・」
「被告ゲイル・リバスター、あなたはセレネ・ワーランドの着替えを覗き、あまつさえその目でセレネ・ワーランドの裸体を舐めまわすように見た。この罪状は重く死刑が妥当だと考えます」
別の男が罪状を述べると周りの男どもも「死刑!」とか言って盛り上がっていた。
その中にはカイの姿もあった。
あの野郎、俺をはめやがったのか!?
「よしでは死刑!」
「ちょっと待てー!」
周りの男どもが俺を担ぎ上げようとしていた時、俺はそれを止めるように大声を出した。
「どうした被告人。最後に言い残したことがあるなら聞いてやらんでもないぞ」
「まず、大前提として聞くがこの死刑はどうあっても覆ることは無いんだな?」
「そうだ! 死刑が覆ることは無い!」
「だったら、今回の犯行を行うにあたって、犯行を促した人物がいる。その人物に共犯の刑を求める!」
「なんだと!? その人物とはいったい?」
「カイ・シェールストーン」
その人物の名前を出した瞬間、周りの男どもはカイに飛びかかり押さえつけた。
フハハハ、この俺をはめてただで済むと思うなよ。
「いやいやいや、僕関係ないよね?」
「被告人は黙っていなさい!」
「僕も被告人になったの!?」
「それで、ゲイル・リバスター。カイ・シェールストーンは何をやったのかを述べなさい」
「まず、俺はカイにセレネの元に行くように指示された。カイならセレネが着替えをしている最中であるとわかっていたはずだ。これは俺を貶める罠だった可能性がある」
「異議あり!! 人の行動を僕は理解しているわけではない! これは冤罪です!」
カイの意見は全く聞かれず審議は進む。
カイはその光景を見て半分あきらめたかのように顔を俯かせていた。
「それでは審議に入る。カイ・シェールストーンの死刑に賛同するものは立って拍手をせよ」
周りの男どもは全員が立ち上がって拍手をしていた。
その男どもの顔は私怨に満ちた笑顔をしていた。
まるで今までの鬱憤をここで晴らすかのように。
「満場一致で、カイ・シェールストーンも死刑とする」
カイはその周りの光景の可笑しさを訴えるかのように大声を出す。
「裁判長!! これはおかしいです! 明らかに普段の妬みが混じってます! 正当な判決をお願い致します!」
「あきらめろカイ。死刑は覆ることは無い」
「ゲイルは黙ってて!」
裁判長がカイに優しい笑顔で話しかける。
目の奥は笑ってないが。
「確かに普段お前だけセレネ・ワーランドと接触する回数が多いことに妬みはある! だがこれは裁判である。私情が入るのは仕方が無いのだ」
「いや、おかしいよね! 私情が入っていい裁判なんてこの世にあったらダメだよね!?」
「というわけで彼ら二人を例の場所にまで移動させろ!」
「は!!」
文字数が少なくて申し訳ございません。
もうちょっと書けたらよかったんだけど・・・ごめんなさい(m´・ω・`)m
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